将来性で買われている「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ(メタバース)」の評判は?ノーロード・インデックスファンド・シリーズを紐解く

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将来性で買われている「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ(メタバース)」の評判は?ノーロード・インデックスファンド・シリーズを紐解く

2022年8月9日

久しぶりにeMaxisシリーズを見ていきたいと思います。

eMaxisシリーズで一番有名なのはS&P500インデックスですが、バーチャルリアリティをテーマにした投資信託は同じく優秀なのでしょうか?

今回取り上げるのは、「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」です。

 

eMAXIS Neo バーチャルリアリティの口コミ評判

概要に入っていく前に評判と口コミをさらっと見て、情報を入れやすくしておきましょう。

総じて評判が良いですね。2021年はメタバースという言葉が流行し、まさにテーマ投信の一番の旬だったと思います。

 


あとで具体的に検証しますが、メタバースに期待することを筆者はかなり懐疑的です。

それは、META(FaceBook)の株価が示していますし、CEOのマークザッカバーグ自体が、厳しいかもしれない、と取れるようなコメントすらしているからです。

では具体的に、「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」がどのようなファンドなのかを見ていきましょう。

 

eMAXIS Neo バーチャルリアリティとは?

それでは概要を見ていきましょう。三菱UFJ国際投信株式会社が運用を担当するファンドです。

 

  • ファンドの目的:S&P Kensho Virtual Reality Index(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動す る投資成果をめざします。
  • ファンドの特色①:S&P Kensho Virtual Reality Index(配当込み、円換算ベース)※に連動 する投資成果をめざして運用を行います。
  • ファンドの特色②:主として、米国の金融商品取引所に上場している、日本を含む世界各国のバーチャルリアリティ関連企業の株式等(DR(預託証書)を含みます。)に投資します。

 

世界各国のバーチャルリアリティ関連企業への投資をします。バーチャルリアリティとはどういう意味なのかをまず理解しなければ投資はできませんね。

 

バーチャルリアリティとは?

コンピュータの作り出す仮想の空間を現実であるかのように知覚させる技術。また、そのように作り出された仮想的な現実。仮想現実。人工現実感。広義には、コンピュータ ゲームやアニメなどの電子メディアによる疑似体験も含める。

https://languages.oup.com/google-dictionary-ja/

 

仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などがありますが、要するにリアルとはまた別の次元を作り出す技術を持った企業がバーチャルリアリティ関連企業とも言えます。

メタバースはリアルとは別の世界をバーチャル空間に作り、そこで生活をするなど、若年層はもはやそちらの世界が人生の主体となっていたりします。

非常に画期的に感じますが、実際はこのようなムーブメントは2000年前半よりあり、メタバースの中での生活は楽しいのかもしれませんし、お金を稼ぐチャンスもあるのかもしれません。

 

しかし、筆者の感じるところでは、メタバースは遊びに終わり、産業革命、高度経済成長など、大きなムーブメントにはなり得ないと思います。人が生きる上で、役に立たないからです。居場所を見つける、自分とは違う人格をもう一つ作るなどは人が幸福を感じるためには大事なことかもしれません。

でも役に立ちません。役に立たないところには、お金に限らず、報酬は発生しません。そのことにもう人々は気づき始めていると筆者は勝手ながら感じています。

 

META 株価

GAFAMの中で最も暴落したMETA

 

 

eMAXIS Neo バーチャルリアリティのポートフォリオ構築方法とファンド方式

<運用プロセスのイメージ>

 

運用プロセスは至って普通です。為替ヘッジは行われませんので、留意しましょう。

スキーム

スキームは上記の通りですが、ベビーファンドで資金を集め、マザーファンドで運用するといった形ですね。

特に特殊性は見つかりません。

 

 

国・地域別構成と投資先業種比率

バーチャルリアリティ関連企業というと、半導体企業とMETAのような企業への投資がメインとなると考えられますが、この場合オランダと米国に偏ることがなんとなく想像ができますね。

実際に見てみましょう。以下は6月末時点のデータです。やはりほとんどアメリカでした。77.60%ですか。ついでケイマン諸島は節税スキームの結果だと思いますが、アメリカの比率にとにかく驚きました。

 

国・地域 比率
1 アメリカ 77.60%
2 ケイマン諸島 9.40%
3 イスラエル 4.30%
4 オランダ 3.70%
5 日本 3.60%

 

続いて投資先業種です。半導体、テクノロジー、ソフトウェアは当然ですね。具体的な銘柄を見てさらに理解を深めていきましょう。

業種 比率
半導体・半導体製造装置 31.10%
テクノロジ・ハードウェア・機器 20.00%
ソフトウェア・サービス 18.00%
耐久消費財・アパレル 9.60%
メディア・娯楽 7.20%
自動車・自動車部品 4.50%
資本財 4.30%
ヘルスケア機器・サービス 3.80%

 

保有銘柄・ポートフォリオ

では、実際にポートフォリオを見ていきましょう。

銘柄 国・地域 業種 比率
1 VUZIX CORP アメリカ 耐久消費財・アパレル 9.60%
2 PTC INC アメリカ ソフトウェア・サービス 7.70%
3 NVIDIA CORP アメリカ 半導体・半導体製造装置 7.00%
4 XEROX HOLDINGS CORP アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 6.50%
5 MICROVISION INC アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 6.10%
6 UNITY SOFTWARE INC アメリカ ソフトウェア・サービス 6.00%
7 META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ メディア・娯楽 5.60%
8 HIMAX TECHNOLOGIES INC-ADR ケイマン諸島 半導体・半導体製造装置 5.10%
9 VISTEON CORP アメリカ 自動車・自動車部品 4.50%
10 AMBARELLA INC ケイマン諸島 半導体・半導体製造装置 4.30%

 

一位の企業が耐久消費財、アパレル企業で驚きました。絶対にエヌヴィディアだと思っていましたが、意外です。

エヌヴィディア、ユニティなどはメタバース筆頭ですね。METAが7位に入っておりますが、CEOのザッカバーグのあの大風呂敷を見た後だと、1位にしてもらえないのは少しかわいそうですね。

 

ポートフォリオ1位、2位銘柄の概要とリターン

1位のVUZIX CORPは耐久消費財・アパレルセクターの企業とされていますが、実際はユニクロのような会社だけではありません。

VUZIX CORPはテクノロジー企業であり、ウェアラブルディスプレイ技術、仮想現実、拡張現実のサプライヤーです。バーチャルリアリティど真ん中銘柄ですね。

株価はまさにバブルを迎え、バブルが崩壊したといった株価チャートをしています。

 

ビュージックス(Vuzix)

 

2022年8月時点で、ここ1年で35%も株価が下がっていますし、しばらく金融引き締め局面であることも手伝って株価は戻りそうにありません。

 

2位のPTC INCはどうでしょうか?同社はPLM(Product Lifecycle Management)関連のソフトウェアおよびサービスを提供する米国のソフトウェア会社です。

こちらも株価は冴えませんが、まだまだ下落余地がある様子です。金融引き締めはこれからが本番です。また株式市場も次々に企業決算が失敗に終わる中、まだ下落を織り込んでいません。

 

PTC株価

 

上位2つを見る限り、旬を終えて冴えない運用をしていそうですが、具体的に成績を見ていきましょう。

 

運用成績

ファンドの運用を見ていきます。

■基準価額および純資産総額の推移

 

やはり2022年より大きく下落していますが、これはちなみに為替ヘッジなしの投信ですので円安が含まれています。

年初来の円安は20%近くになりますから、本質的には基準価額はもっと下がっているはずです。そして、円高はこれからくるものです。そこで本当のリターンが明るみになります。

 

トータルリターン(利回り):

 

2022年よりバブルが思い切り崩壊していますが、それでも設定来+202%となっています。

1カ月 3カ月 6カ月 1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率) 設定来
トータルリターン 7.43% 6.70% -0.70% -14.60% 41.30% -- -- 202.60%

 

運用がはじまった2018年から持っていれば資産はバブルに乗り3倍になったということですね。

しかし、ブームは終わりました。またブーム再燃はあるかもしれませんが、その前に株式市場が今後待ち受ける止まらないインフレ、止まらないFRBの利上げ、そして止まらない株式市場の下落がくる確率がかなり高いと筆者は思います。

正直、ITバブル崩壊の時と同じ轍を踏んでいるようにしか筆者には見えませんし、これでも楽観的な方です。

 

テーマ投信はタイミングを間違えると暴落に巻き込まれて、これまでの利益を簡単に吐き出してしまうので注意です。

eMAXIS Neo バーチャルリアリティは問答無用に売りです。

 

まとめ

他ファンド比較するにも運用期間が短すぎるので控えます。

まだまだ新しいファンドではありましたが、コロナパンデミックで早めにバブルが到来し、あっという間に上昇をかき消すフェーズになってしまったのが「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」です。

次のブームまで触らない方が良いでしょう。

 

そもそも、投資とはブームに乗るのもいいのですが、堅実に積み重ねるのが賢者の運用です。

どの富裕層に聞いてもブームに乗るなんて話はしないので、まずは強欲を抑えることから始めましょう。

 

 

 

 

 

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

depression

 

資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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