貯金が5000万円以上ある人は、どんな投資先で資産を運用すべきでしょうか?
5000万円といえば、筆者の周りでは40代、50代になり到達する人が多い印象を受けます。
さて5000万といえば、元本が大きい分、正しい資産運用をすれば資産は大きく伸びます。
そして、間違った運用をすればあっという間に減少してしまいますので、慎重に投資先は選びたいものです。
5000万円は一般的にはかなり大きい金額です。金額が大きいことから、投資先も豊富に選べる立場とも言えます。
様々な運用商品があり目移りしてしまいますが、確固たる投資先を選ぶようにしましょう。
今回は貯金5000万円以上を保有している方が選択肢として挙がりやすい、「投資信託」や「不動産投資」、「ヘッジファンド」など魅力的な投資先を比較検証していきたいと思います。
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真っ先に投資先として紹介されがちな【投資信託】
「投資信託」は日本でもっとも馴染み深い投資先なのではないでしょうか?
筆者も実家の両親や祖父母からよく投資信託についての質問を受けます。
投資信託は『金融機関が非常に儲かる』仕組みである為、日本中の銀行窓口や証券会社の営業員を通して積極的に販売されています。
銀行は近年の低金利環境下で金利の利ザヤで儲けることが出来ず、収益の獲得する幅を広げる為に積極的に儲かる投資信託を販売しているという、厳しい事情もあるのです。
アクティブ型とパッシブ型投信
投資信託で儲ける為に、金融機関が積極的に販売しているのが「アクティブ型」の投資信託です。
対象となるインデックスを「ベンチマーク」としてベンチマークに対してプラスのリターンを求める投資信託です。
TOPIXのリターンが年間5%であれば、6%を目指すといった具合です。
TOPIXや米国S&P500インデックスのような指数に連動する「パッシブ(インデックス)型」の投資信託とは異なります。
パッシブ型はTOPIXに連動する設定であれば、TOPIXのリターンが年間5%であれば、5%になります。
東証株価指数(とうしょうかぶかしすう)とは、東京証券取引所第一部上場全銘柄を対象として、算出・公表している株価指数のことです。TOPIX(トピックス。Tokyo Stock Price Indexの略)とも呼ばれます。日経平均株価と並ぶ、日本の代表的な株価指標です。東証1部上場の全銘柄(2020年1月21日現在、2,159社)を対象として、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計して計算しています。1968年1月4日を基準日として、当時の時価総額を100として指数を算出しています。
Source:SMBC日興証券
アクティブ型の投資信託はインデックスに対して高いリターンを求めるという名目で、パッシブ型の投資信託より高い手数料を徴取することができます。調査費、人件費などなどが含まれているイメージです。
アクティブ投信に投資をして、高い手数料を取られたとしても高い成績を残してくれれば全く問題ありません。
しかし、日本の投資信託は手数料が高くなれば高くなるほど成績が悪くなるという投資家にとって踏んだり蹴ったりの結果となっています。
著しく低い日本のアクティブ投信の平均リターン
以下は金融庁の資料ですが、アクティブ投信の平均リターンが「最大で」2.03%となっています。非常に低いリターンですね。
そしてなんと高い手数料(1.5%超2%以下)を支払っているアクティブ投信のリターンがマイナスの投信が37.6%あります。高い手数料を支払って、運用はさらにマイナスという実態があります。
安い手数料のアクティブ投信の方がマイナスが11.1%と低くなっているのはどういうことなのでしょうか?理解に苦しみます。
以下は日米のアクティブ投資信託の比較です。
売れ筋の投資信託を比較すると、米国アクティブ投信に対して日本のアクティブ投信は高い手数料であるにも関わらず運用成績は大幅にアンダーパフォームしている結果となっています。
米国のアクティブ投信が+5.20%の成績を出している傍ら、日本はなんとマイナス0.11%となっています。ダメ押しで手数料も日本の商品はべらぼうに高くなっています。
結果を出している分には、手数料が高いのは仕方ありません。しかし、マイナスリターンになっているのは驚天動地とも言える結果です。
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【2022年】個人投資家がアクセス可能な日本国内のおすすめヘッジファンドをランキング。個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
欧米と日本の資産形成の差は商品の差?
さて、欧米と日本では資産形成の伸長に大きく差があります。米国人が資産を2.7倍に増やしている中、日本はたったの1.4倍にしか増やせていません。
上記で日米の投信のリターンと手数料を比較しましたね。これはひとえに「日本の投資信託(金融商品)が粗悪だから」です。
上記は全て金融庁作成のレポートであり、金融庁も自国の投資信託の質の低さに嘆いています。
アクティブ投信のこの体たらくを炙り出しているわけです。
筆者が上記のデータと過去の経験から、長期投資に適した投資信託は「パッシブ型」の投資信託だと考えています。それも世界全体、若しくは米国全体をカバーするタイプが良いと考えます。
「パッシブ型」投資信託の欠点
しかし、それらパッシブ型にも欠点はあります。
まとまった資金。
例えば5000万円を運用するにあたり、タイミングを間違えると利益を確定する前に株式市場の暴落に巻き込まれ、資産を大幅に減らしてしまい、老後の生活も苦しくなるということです。
アクティブ投信と毎月分配型について
話を戻します。日本のアクティブ投資信託ですが、彼らは高いリターンを挙げることを目的として大々的に宣伝していますが、事実その成績は非常に芳しくありません。
寧ろ、成績は二の次でより多くの額投資信託を販売することに注力してキャッチーな宣伝タイトルで個人投資家を引き付けたり。
「毎月分配型」という投資家にとって不利益を被るような仕組みを構築してあの手この手でアクティブ型の投資信託を販売しているようにも思えます。
毎月分配型ファンドとは、1ヵ月ごとに決算が行われ、分配金を毎月支払う方針の投資信託のことです。ただし、運用状況によっては、分配金額が変わったり、分配金が支払われない場合もあります。
Source:SMBC
毎月分配型は、配当金が大好きな日本人が好んで買いますが、非常にリスクが高いです。こちらは別途記事にしたいと思います。
どうしても投資信託を買うのであれば・・・?
さて、どうしても投資信託を購入するのであれば、米国株に連動するバンガード社のETFであるVTI、VOOなどアクティブ投資信託に投資するの方が合理的な選択肢であるといえるでしょう。
しかし、投資信託の外に目を向けてみると、アクティブ投信は当然のこと、パッシブ投信より良い投資先はいくらでもあります。
投資機会に中々恵まれない【ヘッジファンド】も視野に
巷では、1000万円以上の資産があれば投資ができるBMキャピタルなどの日本発のヘッジファンドが賑わしています。
↗︎↗︎↗︎ BMキャピタルは怪しい?長年の安定実績が評判の老舗ヘッジファンド「BM CAPITAL」について長期投資家目線で徹底解説
ヘッジファンドは欧米では主流の投資ですが、近年は漸く日本でも投資ができるようになりました。
ヘッジファンドの特徴
ヘッジファンドは投資信託とは異なり公に出資を募集できないという制限を受けています。
テレビCMや雑誌で広告を見たことがある人はいないと思います。基本的に募集人員も限られているので、機関投資家、富裕層のみに門戸が開かれている投資先とも言えます。
ヘッジファンドの特徴として、欧米ではLLC(Limited Liability Company/合同会社)スキームが主流です。
日本でも合同会社形態で運営されているヘッジファンドが多数です。このスキームの特徴としては、規制が厳しくなく、投資リターンをトッププライオリティに置いた運用が可能になるといったメリットがあります。
出資できる人数の関係から一人当たりの出資の金額が高く、1000万円以上からの投資を可能としているファンドが多いです。
しかし、冷静に考えてみると、海外の著名なヘッジファンドが個人からの出資は最低出資額は低いものでも1億円からとなっています。
その点を考えると、日本はまだヘッジファンドの業界が黎明期であることから最低出資額が低く抑えられているようにも感じます。
ヘッジファンド投資のメリット
ヘッジファンドが着目される背景としては、株式市場平均と連動しないオルタナティブ投資で、価格変動の割合が少なく市場に危機が発生した場合でも損失が抑えられるという点です。
ポートフォリオの安定性をます投資先として欧米の富裕層や機関投資家を中心に選好されています。
日本のヘッジファンドについてはどのようなファンドがあるのかを以下のリンク先に総括していますので参考にしてみてください。
【2022年】個人投資家がアクセス可能な日本国内のおすすめヘッジファンドをランキング。個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
【不動産投資】という選択肢も考えられる
5000万円あれば不動産投資も考えられる方も多いのではないでしょうか。
不動産は来るべき日本のインフレをヘッジの手段としては有効な手段です。
日本の財政破綻懸念から日本円の価値が暴落した時に実物資産の価値は不変です。
日本円に対して急激に値上がりしますのでインフレの影響を和らげることが出来るのです。
しかし都内であれば不動産の最終利回りは2%未満となってしまいますし、如何に業者に騙されないかの戦いになってしまいます。
また、地方に関しても今後は既に確定している「人口減少」と「低い経済成長率」からリターンは株式に対して低くなることが見込まれます。
不動産で高い利回りを獲得したいのであれば、それは可能だと思いますがそれは資産運用という次元ではありません。
それは立派な事業であり、副業感覚で成功できるものではありません。
筆者自身、不動産に取り組んだことがありますし地方に高利回り物件を持っていますが、手練れの友人が手伝ってくれたことにより成功しました。
一人では無理ですし、そもそも競争相手は本業としている人達です。
相当な覚悟が必要になりますので、あまり不動産で不労所得という不動産業者の謳い文句には乗らない方が良いかと思います。
【個人で株式投資】を実行して配当生活は可能なのか?
株式投資を個人で、それも5000万円を活用して実行するのはとても危険なので絶対にやめてください。
個別株に投資をするのであれば100万円からといったミニマムな金額から、最低でも5年ほど経験値を積んでから大金を使うようにしましょう。
株式投資を個人で行うリスク
何度でも言いますが、株式投資はとてもリスクが高いです。専業のプロですら一瞬で大金を失ってしまうような場所です。
世の中には軽々しく株を買う人がいますが、正気の沙汰だと筆者は思っています。
これも、証券会社の宣伝(株式売買で儲かる)、株式雑誌(適当なおすすめ銘柄を掲載すれば売れる)などの影響によるものだと考えています。
「配当利回りの高い銘柄であれば安全」の罠
「配当利回りの高い銘柄であれば安全」と言った人も多いので焦ってしまいます。
「高配当利回り」とはどのような状況なのかを理解すべきです。
そもそも企業とは成長を求められます。事業の成長が求められ、稼いだキャッシュは事業に注ぎ、さらに成長していく。
この成長サイクルを見てプロの投資家はその銘柄に投資をしていくのです。
しかし、配当とはこの成長の原資になるキャッシュを株主に配ってしまう行為です。
これはつまり、「もう成長できる余地がない会社である」と自分で言っているようなものなのです。
プロの投資家は企業が配当を始めた段階でその企業の銘柄を売却します。
その売却先は配当欲しさにその株を買う個人投資家です。
配当を出す企業の末路は決まっており、それは株価の低迷です。株価が低迷し、さらに低迷することで「配当利回り」がめでたく高くなるという仕組みです。
最終的にはその「ダメな株」を企業は売るために「高配当利回り」と謳います。
証券会社も売買手数料が欲しいので「魅力的な高配当利回り」と大々的に発信します。
株雑誌も「魅力的な高配当利回り特集」を掲載すれば雑誌は飛ぶように売れるので特集します。
最後に泣くのは高配当利回りに飛びついた個人投資家です。配当を貰いながら元本を毀損していくことになり、結果的にマイナスで終わることでしょう。
長くなりましたが、株をやるのであれば安易な投資はOUT、難易度の高い投資は時間がかかる、といった具合です。
投資信託やヘッジファンドなどプロに任せるしかないと思います。
まとめ
5000万円貯金があった場合の本日ご紹介した投資先毎の用途は以下になります。
筆者はヘッジファンド運用を主体として、それ以外は個人で少額バリュー株投資を学びながら実践しています。
・投資信託:
日本のアクティブ投信には投資をしない(米国の投信は日本在住では買えない)。
投資をするのであれば、市場平均連動型のETFに限る。しかし、40歳〜50歳代の場合タイミングが難しく、最悪なタイミングで暴落してしまうと老後が危うい。
・ヘッジファンド:
市場平均よりも高い成績が見込め魅力的な投資先。どのヘッジファンドを選ぶかによるが、堅実な投資先を選べば長期で良い資産形成が可能。
・不動産:
真剣に取り組む覚悟がない限り、高値で掴まされて終わるので注意。