直近の運用リターンの評判が良い「クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)」を評価。そもそもクリーンテックとは何かについても

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直近の運用リターンの評判が良い「クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)」を評価。そもそもクリーンテックとは何かについても

2022年6月23日

以前にフードテックの投資信託の記事を書きましたが、今回はクリーンテックです。

テックをつけると突然に魅力を感じるのは、先進的なイメージが湧き立つからでしょうね。投資したい、と筆者自身も無条件で思ってしまいます。

しかし、投資は中身を精査せずに実行してはなりません。

 

今回は「クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)」を取り上げ分析してみたいと思います。

 

クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)の口コミ評判

色々と口コミを見てみました。評判と口コミをインターネットで見る場合に、覚えていてほしいのですが、例えば知らないアカウント(人)が株式銘柄や投資信託の良い口コミ、悪い口コミをしていてもそれを鵜呑みにしてはいけません。

その人が深い分析と考察をした上で出した結論であれば、参考にする意義はあると思われます。

 

今まで様々な投信を分析してきましたが、筍のようにテーマファンドが毎年生まれていきますね。

 

 

 

 

クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)とは?

それでは概要を見ていきましょう。大和アセットマネジメントが運用を担当するファンドです。

  • ファンドの目的:日本を含む世界のクリーンテック関連企業の株式に投資し、信託財産の成長をめざします。
  • ファンドの特色:日本を含む世界のクリーンテック関連企業の株式に投資します。

 

クリーンテック関連企業に投資するファンドです。

クリーンテックとは何かをまずは理解する必要があると思われます。

 

クリーンテックとは?

クリーンテックとは、環境にやさしい輸送手段の利用、代替エネルギーへの移行、より健康的な食生活と持続 可能な食糧供給の実現、水資源の保全や再利用、廃棄物削減などを促す活動を指すようです。

そして、そのような取り組みを事業化している会社をクリーンテック関連企業といいます。

 

太陽光発電やハイブリッド自動車、電気自動車などが入ってくると思われます。アメリカのテスラなどもポートフォリオに入ってくるのかどうか、注目ですね。

ESG投資とも言えるような建て付けですね。

 

クリーンテック株式ファンドのポートフォリオ構築方法とファンド方式

ポートフォリオ構築のイメージ

 

ポートフォリオの構築方法は一般的な方法ですね。運用はアクサインベストマネジャーズが担当するとのことでした。アクサは世界最大級の保険・資産運用グループであるアクサグループグループの一社です。

 

アクサインベストメント

 

アクサは元々はフランスの保険・金融グループですね。

 

ファンド方式はファンズ・オブ・ファンズです。つまりはクリーンテック株式ファンドが我々個人投資家の代わりに、クリーンテック株で運用しているファンドを選んでくれるということです。2つ手数料がかかることを意味するので、手数料は高くなる仕組みのはずです。

 

ファンドの仕組み

 

 

国・地域別構成と投資先業種比率

日本含む世界への投資となっていますが、国別の比率はどのようになっているのでしょうか?

ここからのデータは全て最新の5月末の最新データとなっています。

 

やはりテクノロジーで圧倒的な進化を誇る米国が最大の44.6%となっています。

日本が入っていないのはとても寂しいですね。やはりテクノロジー後進国なのでしょうか。

国・地域名 比率
アメリカ 44.6%
オランダ 7.8%
イギリス 7.2%
ドイツ 5.6%
スペイン 4.5%
カナダ 3.9%
フランス 3.0%
デンマーク 2.8%
台湾 2.5%
その他 2.5%

 

続いて投資先業種です。資本財・サービス、情報技術、素材、公益事業と想像通りの並びです。違和感を感じません。具体的な銘柄を見てさらに理解を深めていきましょう。

 

業種名 比率
資本財・サービス 35.6%
情報技術 17.3%
素材 12.2%
公益事業 11.1%
ヘルスケア 5.6%
一般消費財・サービス 5.4%
生活必需品 4.9%
金融 2.1%

 

 

保有銘柄・ポートフォリオ

では、実際にポートフォリオを見ていきましょう。

 

順位 銘柄名 国・地域名 業種名 比率
1 ダーリン・イングレディエンツ アメリカ 生活必需品 3.9%
2 ネクステラ・エナジー アメリカ 公益事業 3.8%
3 アメレスコ アメリカ 資本財・サービス 3.2%
4 シュナイダーエレクトリック フランス 資本財・サービス 3.0%
5 ウエイスト・コネクションズ カナダ 資本財・サービス 3.0%
6 エヴォクア・ウォーター・テクノロジーズ アメリカ 資本財・サービス 2.9%
7 ディア アメリカ 資本財・サービス 2.8%
8 サーモフィッシャーサイエンティフィック アメリカ ヘルスケア 2.8%
9 TSMC 台湾 情報技術 2.5%
10 トリンブル アメリカ 情報技術 2.4%

 

 

資本財を中核に生活産業、公共事業銘柄でアウトパフォームを狙っていくイメージですね。

 

ポートフォリオ1位、2位銘柄の概要とリターン

ポートフォリオ1位は生活必需品セクターのダーリン・イングレディエンツです。

アメリカの会社ですね。家畜処理時にできる副産物やレストランの調理油の再生利用に従事している企業です。まさにクリーン企業ですね。テクノロジーをきっと駆使しているに違いありません。

 

株価は以下の通り2022年はインフレの影響もあり好調でしたが、直近は大きく崩れていますね。

 

ダーリン・イングリーディエンツの株価

 

インフレ率を退治すべく金融引き締めを米FRBが実行していることから、今後もダーリンに対しては株式市場において逆風が吹き荒れるものと想像します。

 

ポートフォリオ2位のネクステラ・エナジーは公共事業会社です。フロリダ州で発電、送電、配電、小売事業を手掛けます。

株価は同じく厳しい状況にあります。ディフェンシブなセクターですが、金融引き締め時はひとたまりもありませんね。

ネクステラ・エナジーの株価

 

公共事業セクターの株が上昇するのは、金融緩和の後半局面であり、まさに2021年が投資時期でした。今は金融緩和は終わり、業績相場も終わりに近く、長くて3年〜5年ほどは景気サイクル的に株価が上昇する局面は来ないと思われます。

 

運用成績

ファンドの運用を見ていきます。

基準価額

クリーンテック株式ファンド基準価額

 

基準価額は設定が2020年7月31日で、10,000円。現在は13,704円となっており、設定来+37%となっています。インフレの波に乗り、まさにマーケットの地合いにうまく乗ったファンドです。

 

トータルリターン(利回り)

ここ半年は不調ですが、インフレに乗って好調です。

1カ月 3カ月 6カ月 1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率) 設定来
トータルリターン 2.43% 6.31% -8.95% 0.23% -- -- -- 37.04%

 

ただし、ポートフォリオ上位のダーリン、ネクステラエナジーの株価を見ると下落に転じています。

これは筆者が日々マーケットを見ても確信していることですが、インフレを材料に株価が上昇する局面は終わりました。それは2022年6月のエネルギー株の下落から実感できます。

 

以下は代表的な原油ETFである「SPDR S&P オイル&ガス・エクスポーション&プロダクション ETF」の価格推移です。大きく下落しています。

 

米国株: XOP

年初から株価を上げていたセクターはエネルギーのみでした。インフレ主導の上昇でしたが、インフレはまだ止まってもいないのにこのような下落になっており、とうとうコモディティ関連のセクターの旬は終わりを告げました。

クリーンテック関連ファンドも大いにインフレの恩恵を受けてのリターンを獲得していましたが、2022年以降3〜5年は厳しいのではないかと見ています。

 

まとめ

他ファンド比較するにも運用期間が短すぎるので控えます。

まだまだ新しいファンドでありクリーンテックは注目される分野であり面白いと思います。

ただ、面白さとリターンは別個であり、ポートフォリオの構成を見る限りでは金融引き締めの期間に絶対に投資をしてはいけない類のバスケットになっています。

このようなテーマ株を取り扱うファンドの購入検討はもう少し先で良いでしょう。

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

depression

 

資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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