コモンズ投信は「ひふみ投信」「さわかみ投信」「鎌倉投信」などと同じ独立系の投資信託です。独立系の投資信託は販売から運用まで一括で行う投資信託です。
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本日はコモンズ投信の旗艦ファンドであるコモンズ30ファンドについて紐解いていきたいと思います。
そもそもコモンズ投信とは?代表は渋沢栄一の子孫!?
コモンズ投信は2007年に長期投資に共感した人たちがより集まれる場所として設立されました。
名前の由来は共有地を意味する「コモン・グラウンド」です。共同創設者は現在会長の渋澤氏と代表取締役社長で最高運用責任者の伊井氏です。
渋沢健氏は昨年の大河ドラマで一世を風靡した渋沢栄一のひ孫です。たしかに面影が似ている気がします。
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。
山一證券で営業企画部に約10年間在籍し、マーケティングなど担当。その後、機関投資家向け債券営業。メリルリンチ日本証券、三菱UFJメリルリンチPB証券で法人・個人向け営業を約10年。コモンズ投信創業と共に現職。2012年7月からCIO兼務。
錚々たる経歴なのは分かるのですが、株式投資の経験がないのが懸念ですね。
コモンズ投信は赤字だけど大丈夫!?倒産の可能性を検証。
巷ではコモンズ投信は赤字で経営は大丈夫なのか?という声も聞かれます。
赤字というのは投資成績が赤字という意味ではなく、会社として純損失となっているという意味です。
つまり年間受け取る信託手数料が経費をまかなえていなかったという状態である状態となっていたということです。
実際、2020年3月期決算まで赤字経営となっていました。
2021年3月期までは貸借対照表でも繰越利益剰余金がマイナスという状態が続いていました。
しかし、2022年3月期には繰越利益剰余金はプラスに回復しています。要は過去からの純損失の積み上げを、2021年3月期と2022年3月期の利益の合計が超えたということを意味します。
現状、コモンズ投信が債務超過に陥って倒産するという兆候は見当たりません。安心してください。
コモンズ投信が運用するコモンズ30ファンドとは?
ではコモンズ投信が運用するコモンズ30ファンドについて詳しく見ていきましょう。
キーワードは「30年」「30社」
コモンズ30ファンドは「投資を通じて生活者と優良な企業をつなげることで、次の時代をつくる」というコンセプトで立ち上げられたファンドです。
コモンズ30ファンドの特徴は以下となっています。
- 1.投資の目線は30年とします。
- 2.投資対象は、原則として30銘柄程度とします。
- 3.企業との対話を重視します。
- 4.生活者(個人投資家)の参加する場を数多く提供します。
- 5.直接販売を主とします。
- 6.信託報酬の一部を社会貢献に活用します。
参照:コモンズ30ファンド
コモンズ30ファンドは超長期の30年間という目線での運用するとしています。
また通常の投信は50銘柄以上に投資します。しかし、コモンズ30ファンドの対象は30銘柄と比較集中投資をするファンドとなっています
以前投資した20銘柄に集中投資している厳選投資と似ていますね。
→ 【厳選投資】長期で高い成績が評判の投資信託「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」を証券アナリストが徹底評価!
コモンズ30ファンドの組み入れ銘柄
以下は最新の2023年6月末のコモンズ30ファンドの構成上位銘柄は以下となります。
三菱商事、丸紅など総合商社が上位を占めています。2021年末以降は資源バブルでしたからね。
以下は組み入れ銘柄の過去の異動です。10位以内で順位変動はありますが、実際はそこまで大きな変更はありませんね。
今後は資源バブルも終わり、不況が見込まれる中で、総合商社銘柄の順位が下がっていくかもしれませんね。
2023年6月末 | 2023年4月末 | 2022年12月末 | 2022年9月末 | 2022年6月末 | 2022年2月末 | |
1 | 丸紅 | 味の素 | 三菱商事 | 信越化学工業 | 信越化学工業 | KADOKAWA |
2 | 三菱商事 | 丸紅 | 丸紅 | 三菱商事 | KADOKAWA | 丸紅 |
3 | 味の素 | 三菱商事 | 信越化学工業 | 味の素 | 東京エレクトロン | 三菱商事 |
4 | ディスコ | 信越化学工業 | 味の素 | 丸紅 | カカクコム | 東京エレクトロン |
5 | 信越化学 | KADOKAWA | リンナイ | KADOKAWA | SMC | SMC |
6 | KADOKAWA | デンソー | セブン&アイ | SMC | 三菱商事 | 味の素 |
7 | 東京エレクトロン | セブン&アイ | デンソー | セブン&アイ | 丸紅 | ディスコ |
8 | デンソー | ディスコ | 東京エレクトロン | ダイキン工業 | ダイキン工業 | デンソー |
9 | コマツ | コマツ | ディスコ | カカクコム | ディスコ | 信越化学 |
10 | 日立製作所 | ダイキン | KADOKAWA | リンナイ | デンソー | ホンダ |
手数料は比較的安い
コモンズ30ファンドはアクティブ型の投資信託です。購入手数料はゼロとなっていますが信託手数料は年率1.078%となっています。
ひふみ投信やセゾン投信と同水準で比較的低い手数料率として設定されています。
掲示板やウェブ上での評判や口コミは良い
コモンズ投信の評判は以下の通りです。
Twitterの口コミ①
コモンズ30は、30年先の未来を見据えて成長できる銘柄30社に厳選投資する投資信託です。 2009年1月に設定されてからのパフォーマンスはTOPIXを上回ります。 運用報告書では保有している全企業の投資理由が書かれていて、長期投資の銘柄選別の参考になると思います。
Twitterの口コミ①
昨今の株高(というか円安)のせいで、毎月の投資はつみたてNISAしかやってない。 なお、円安で外株買いにくいから、日本株のアクティブファンド、コモンズ30ばっかり積み立ててる
Twitterの口コミ①
昨日の取材でも、推奨できる日本株ファンドとして「コモンズ30ファンド」の名前を挙げておきました。
しかし、以下の運用実績をみれば実態は凡庸なファンドであることがわかります。
なぜ、これほど評価されているのか疑問です。
コモンズ30ファンドの成績とは?
では実際にコモンズ30ファンドの成績について見ていきましょう。
コモンズ30ファンドの成績は凡庸な結果
コモンズ30ファンドの基準価格は運用開始した2009年1月19日時点から約4倍になっています。2022年は厳しい年でしたね。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2023年 | 11.28% | 15.78% | - | - | - |
2022年 | -3.35% | -7.61% | -0.14% | 1.52% | -9.47% |
2021年 | 9.93% | 3.35% | 3.59% | -0.05% | 17.64% |
2020年 | -15.50% | 13.84% | 7.24% | 12.00% | 15.54% |
2019年 | 7.15% | -0.88% | 3.06% | 8.92% | 19.23% |
2018年 | -2.09% | 1.14% | 4.67% | -19.84% | -16.92% |
一見すると素晴らしい成績ですが、日経平均とほぼほぼ同じ動きをしています。
因みに以下の日経平均は配当金拠出前なので実際には日経平均は更に高いリターンとなりコモンズ30ファンドを上回っています。
青:コモンズ30ファンド
赤:日経平均株価
特段、アクティブファンドとしてインデックスに対してプラスのリターンを出しているわけではないのです。
というか殆どインデックスと同じ動きをしながら手数料だけが高いので、投資する意味がないですね。
→ アクティブ型とパッシブ型(=インデックス型)の投資信託の違いとは?どちらのファンドがおすすめか徹底比較。現実を知っていれば大損地獄も回避可能
コモンズ30ファンドをひふみプラスなどのアクティブファンドと比較
他の独立系投信との比較を行っていきましょう。以下は代表的な独立系投信との比較です。
青:コモンズ投信
赤:ひふみ投信
緑:セゾン投信
黄:結い2101
紫:さわかみ投信
「ひふみ投信」や「セゾン投信」に対して劣後していることがわかりますね。
ただ、過去3年でみると殆ど同じ成績になっています。動き方も似通っていますね。
青:コモンズ投信
赤:ひふみ投信
緑:セゾン投信
黄:結い2101
紫:さわかみ投信
過去優れたパフォーマンスを残した独立系投信も運用資産額が大きくなると次第に日経平均と同様になる傾向があるのです。
以下、ジェイリバイブや眼力でも同じ傾向が見て取れます。
いずれも同じような値動きをしており、正直日経平均連動のファンドに投資していてるのと何も変わりませんよね。
筆者が投資しているBMキャピタルというファンドは市場平均に連動することなく、一度も今まで下落することなく安定して10%以上のリターンをだしています。以下で詳しくお伝えしていますので参考にして頂ければと思います。
【BMキャピタル】日本最大のヘッジファンド「BM CAPITAL」の評判や口コミを紐解く!運用実績・利回り・投資手法の実態とは?
コモンズ投信の今後の見通し
コモンズ投信の今後の見通しとは即ち日経平均の今後の見通しと等しいと言っても過言ではありません。
世界的にインフレが進んでいる中、株価が下落する中でも、日本は急激に進んだ円安の影響で比較的耐えています。
しかし、進展した円安も為替介入と世界的な景気後退ですでに円高は進んでいますがさらに進む可能性が高くなっています。
今まで米国の金融引き締めで金利が上昇し日米金利差が拡大したことでドル円は上昇しましたが景気後退すれば金利は下落してドル円は下落します。
現在の日本株を支えているのは円安です。円の価値が高くなると日本株は売られていきます。
また当然景気後退となると企業収益は下落します。今後、日経平均は下落していく確度が高くコモンズ投信もリスクが高くなっているとみるのが妥当でしょう。
まとめ
コモンズ30ファンドは長期投資目線で運用していますが、残念ながら投資リターンは日経平均と殆ど同じ内容となっています。
また、他のアクティブ型の投資信託と比べても劣後する成績となっています。
以下では今2022年時点で今後長期的な資産形成が期待できるファンドについてランキング形式でまとめていますので参考にしていただければと思います。