高い分配利回りに要注意!ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)の今後の見通しは?掲示板での評判などを含めながら徹底評価!

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高い分配金に余力はある?ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)の今後の見通しは?掲示板での評判などを含めながら徹底評価!

2022年12月11日

金融が発達するに従って株式や債券だけでなく様々な資産に投資ができるようになりました。

リートもそのうちの一つです。「リート(REIT)」は不動産投資信託のことです。

 

不動産を個別に買うには大きな資金が必要となります。

しかし、ファンドとして皆で資金を集めて購入することで少ない資金でも不動産に分散投資をすることが可能となります。

 

不動産投資信託(REIT)とは

 

リートは利益の90%超を投資家に分配することで法人税が免税となります。

上場企業の場合は利益に課税がなされた後に配当金と内部留保に分けられます。つまりリートの方が分配金の金額が大きくなるので分配利回りが高くなります。

 

リートが免税となる仕組み

 

今回紹介するのは日本のリートつまりJ-REITに投資をするダイワJ-REITオープン(毎月分配型)です。

  • どのような特徴の投信なのか?
  • 今後の見通しはどうなのか?

という点にお伝えしていきたいと思います。

 

ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)とは?

ではまず特徴について見ていきたいと思います。

Jリートに投資するJリート投信

名前からわかりますがダイワJ-REITオープンは日本のリート法人に分散するJリート投信です。

 

Jリート投信

 

Jリート投信ではリート法人が保有している賃料収入の増加や、不動産価格の上昇によって基準価額が上昇していきます。

また、新規出資や借入などで得た資金で新たな物件を購入して得られた利益は単純にリート価格が上昇するというわけではありません。

 

先ほどお伝えした通り、得られた利益の殆どを分配しているので新規出資者を募った場合は既存投資家の持分が希薄化します。

利益の上昇と希薄化の影響のどちらが大きいかによって大きく異なるのです。

 

東証REIT指数への連動を目指したインデックス投信

投資信託にはインデックスに連動するインデックス投信と、インデックスを上回ることを目指すアクティブ投信が存在します。

→ アクティブ型とパッシブ型(=インデックス型)の投資信託の違いとは?どちらのファンドがおすすめか徹底比較。現実を知っていれば大損地獄も回避可能

 

ダイワJ-REITオープンはインデックス投信です。TOPIXの不動産バージョンともいえる東証REIT指数への連動を目指して運用されています。

 

東証REIT指数とTOPIXの比較

不動産証券化協会

 

東証REIT指数とTOPIXは殆ど同じ動きをしていますね。ところどころ乖離している局面もありますが、概ね一致しているとみて問題ないでしょう。

不動産も株式もリスク資産なので同様の動きをするようになっているのです。

ただ、最初にお伝えした通りリートの方が多く分配するので予想配当利回りは4%程度と高くなっています。

≪参考≫東証REIT指数と予想配当利回りの推移 2003年3月31日~2023年3月31日

≪参考≫東証REIT指数と予想配当利回りの推移 2003年3月31日~2023年3月31日

 

ポートフォリオからみるセクター比率は?

2023年6月末時点の東証REIT指数の用途別構成は以下となります。2022年10月末からほとんど変化はありません。

 

2023年6月末 2022年3月末 2022年10月末
オフィス不動産 25.3% 26.70% 27.60%
各種不動産 26.0% 24.40% 24.70%
工業用不動産 20.0% 20.00% 19.60%
集合住宅用不動産投資信託 10.5% 10.20% 10.00%
店舗用不動産投資信託 9.8% 9.90% 9.70%
ホテル・リゾート不動産 5.8% 6.20% 5.70%
ヘルスケア不動産 0.4% 0.40% 0.40%

 

オフィス不動産の比率が高くなっていますね。具体的な銘柄は以下です。日本ビルファンド、ジャパンリアルエステイトなど大手を押さえています。

 

投資法人名 種別 比率
1 日本ビルファンド オフィス不動産投資信託 6.1%
2 ジャパンリアルエステイト オフィス不動産投資信託 5.2%
3 野村不動産マスターF 各種不動産 5.0%
4 日本プロロジスリート 工業用不動産投資信託 4.7%
5 日本都市ファンド投資法人 店舗用不動産投資信託 4.5%
6 GLP投資法人 工業用不動産投資信託 4.5%
7 大和ハウスリート投資法人 各種不動産 3.9%
8 オリックス不動産投資 オフィス不動産投資信託 3.3%
9 アドバンス・レジデンス 集合住宅用不動産投資信託 3.2%
10 ユナイテッド・アーバン投資法人 各種不動産 3.0%

2023年3月末からの構成上位の変遷は以下となります。あまり構成上位銘柄の顔ぶれは変わりませんね。

 

2023年6月末 2023年3月末
1 日本ビルファンド 日本ビルファンド
2 ジャパンリアルエステイト ジャパンリアルエステイト
3 野村不動産マスターF 日本都市ファンド投資法人
4 日本プロロジスリート 野村不動産マスターF
5 日本都市ファンド投資法人 日本プロロジスリート
6 GLP投資法人 GLP投資法人
7 大和ハウスリート投資法人 大和ハウスリート投資法人
8 オリックス不動産投資 オリックス不動産投資
9 アドバンス・レジデンス ユナイテッド・アーバン投資法人
10 ユナイテッド・アーバン投資法人 アドバンス・レジデンス

 

手数料

手数料は以下となります。

購入手数料:2.2%
信託手数料:年率0.792%

 

ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)の運用実績

さきほどお伝えしたとおり東証REIT指数とTOPIXをアンダーパフォームしています。

ただ、特別分配金を出し続けているので基準価額は散々なものとなっています。

分配金をもらって喜んでいたら、解約した時には元本が4分の1になっていたという悲惨な状況となっているのです。

ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)の運用実績

 

また、分配金を出していない前提での基準価額もベンチマークに大きく劣後しています。

これはインデックス投信として連動を目標とするインデックスとの乖離が大きいことを意味しており許容することはできません。

 

ダイワJリートの高すぎる分配金は今後余力あり?

毎月分配金で毎月50円ずつ分配金をだしています。年間では600円となっています。

現在の基準価額が2500円であることを考えると分配利回りは24%という馬鹿げた水準となります。

 

4%しか配当利回りがでないにも関わらず、24%もの配当金を出しているということは元本を取り崩す特別分配金を出しているということになります。

毎月分配型で特別分配金を出しているということは、信託手数料を支払って預金を引き出しているようなものです。

全く合理的ではなく、このように毎月特別分配金をだし投資家を半ば騙しているような投信は日本にしか存在しません。

 

他にも特別分配金をだしているファンドについて取り上げていますのでご覧いただければと思います。

 

 

ダイワJリートオープンのYahoo掲示板での口コミや評判

分配利回りの異常さに気付きながらも、深刻さに気づいていない書き込みが多く見られます。

 

口コミ①

専門家の間では20円くらいが妥当な分配金らしいけど
50円も出してもらえてありがたいやら少し怖いやら

 

口コミ②

投資信託に関して謎の部分が多いのですが、このファンドでの儲けの
ほとんどを出せば出すほど運営母体は税金を払わなくて良い制度があるのかな?
基準価格が下がり続けているのは不満ですが、分配金が払われなかったとした
分配金込み基準価格は3年スパンで5000くらい10年だと15000だからまあまあ
資産総額も増えてるのは悪くない。

 

ただ、真実に気付き警鐘を鳴らしている方もいらっしゃいます。

 

口コミ③

何だこれは?分配利回りは27.8%もあるのに年間トータルリターンはマイナス2.78%って毎月50円も分配金あるから注目してたけど、ものの見事にタコ足銘柄だね。国内では、こんなに良い分配金出すのは他には無いから注目してたけど買うのは躊躇してしまうわ。

 

今後の見通しをマクロ環境を踏まえて考察

それでは今後の見通しにお伝えしていきたいと思います。

日本の長期金利は上昇の可能性がある

現在、日銀のイールドカーブコントロール付質的量的金融緩和のおかげで10年債も0.5%近傍で抑えられています。

以下は2023年7月(0.45%)と1ヶ月前の2023年6月(0.36%)と1年前の2022年7月(0.20%)のイールドカーブを並べたものです。

日本のイールドカーブの推移

 

1年前に比べて10年以上の長期の金利が全体的に大きく上昇していることが見て取れますね。住宅ローン金利に近い30年金利は0.3%程度上昇しています。

そして、これからも更に上昇していく可能性があります。なぜなら日本国内でインフレが進展してきているためです。

なんと2023年7月時点で米国のインフレ率を上回ってしまっています。

日米のインフレ率が逆転

 

日銀総裁は植田氏となりましたが、今後新体制によってイールドカーブコントロールが撤廃される可能性があります。

イールドカーブコントロールが撤廃されると今まで低く抑えられていた長期金利が跳ね上がります。

長期金利が上昇するとローンを借りて不動産を購入するインセンティブが低下するので不動産価格は下落していきます。来年は不動産市況にとって不透明性が強く危険な環境といえるでしょう。

 

グローバルリセッションとなる可能性がある

また2023年は2021年末から続く世界的なインフレと、金融引き締めによってグローバルリセッション(=世界的な景気後退)となる可能性が高くなっています。

リセッションとは人々が使えるお金がない状態で、経済が急速にしぼむ経済環境のことを指します。

 

人々が失業し所得がなくなり経済活動を行うことができないので、全ての資産も値下がりしていきます。当然、不動産も例外ではありません。

リセッションとなるとリーマンショックほどとはいいませんが、今まで堅調に推移してきた不動産価格にとっては手痛い打撃となることが想定されます。

  ハーバード大学教授でブルームバーグテレビジョンに定期的に出演しているサマーズ氏は、「ある程度かなりの信用収縮があるとの感触を得つつある」と述べた。「この時点でリセッションの公算は大きくなっている」とし、連邦準備制度は極めて難しい決断を迫られているとの見方を示した。

米リセッション確率上昇、利上げ局面の終了近い-サマーズ氏

 

まとめ

今回のポイントをまとめると以下となります。

 

ポイント

  • 東証J-REIT指数に連動を目指すも乖離率が高い
  • 毎月高すぎる分配金をだし特別分配金を出し続けている
  • 今後は金利上昇とリセッションという観点から不動産市場は厳しい環境が見込まれる

 

相場環境によらず安定したリターンが望めるファンドに関しては以下でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

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資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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