2023年以降の新興国株式の今後の見通しは明るい?具体的にどこの国に投資するのがおすすめ?

株式投資の基本知識

2023年以降の新興国株式の今後の見通しは明るい?具体的にどこの国に投資するのがおすすめ?

2020年にCovid19を起点とし世界中の株式市場でコロナショックが発生。

このショックを機に、米国をはじめとした先進国の中央銀行によって異次元の「金融緩和」が行われました。そして、先進国の株価は大幅に上昇していきました。

金融緩和とは何ですか。

各国の中央銀行が行う金融政策の一つです。
不況時に国債の買い上げや、政策金利を引き下げて市場に出回るお金を増やすことで、景気を底上げする効果を図ります。

松井証券

 

しかし、金融緩和はもう終わり、現在は引き締めのフェーズに入っています。

上昇していった成長株などは2022年初頭から80〜90%など大幅な下落が続いています。

 

(ハイテク株が集中するNASDAQの株価チャート)

ナスダック総合指数の株価推移

(米国代表株価指数S&P500のチャート)

米国株S&P500の株価推移

 

先進国の株価が上昇するフェーズは終了しました。そして、現在敏腕投資家達が目をつけているのがまさに新興国です。

基本的に大きな資金が各市場の移動を続けることで、ここ3年間は米国株、次は新興国株と輝く市場は移り変わっていきます。

 

そして、米国株の上昇が終わった段階で目をつけられるのは、まだ資金が十分に流入していない新興国などになってきます。

実際に筆者のブログを読んでいただいている方々は他の投資先を考えていく中で依然として割安な新興国株式に気づいている人もいるのではないでしょうか?

 

データに目を向けてみましょう。実際に、近年の新興国の経済成長率は先進国を凌駕しているにも関わらず、先進国株式に劣後した成績となってしまっています。

先進国株式がここまで上昇したのは異次元の金融緩和により膨大な投機マネーが紛れ込んでいることも要因としてあります。このような市場は報いを必ず受けることになります。上手な投資家は上昇しきったところで資金を抜いて、次のステージを探します。

青:新興国全体
赤:先進国全体

先進国株式に対して劣後している新興国株式

 

新興国の経済成長の実態にそぐわない割安な株価は、チャンスと見ることもできます。

筆者は2023年以降もグローバルマクロ戦略の全盛期が到来すると考えています。そして、新興国、中国はその中でも核となる市場だと考察しています。

 

グローバル・マクロ戦略(Global Macro Strategy)とは、世界中の国または地域の経済、金融市場、政治情勢などをマクロの(大局的な)視点から分析して、グローバル(世界的)な株式、債券、通貨、商品(コモディティ)、先物市場など広範な金融市場で売買する投資戦略です。経済指標を用いてマクロ経済の動向を予測し、あらゆる市場・商品を対象にロング・ショート(買いと売り)を織り交ぜて投資する方法で、ジョージ・ソロスなど著名ヘッジファンドの運用手法として知られています。

グローバル・マクロ戦略 (グローバル・マクロせんりゃく)

 

序文が長くなりすぎましたが、今回の記事ではこれから新興国株式投資で大きなリターンを狙いたいと考えている方に向けて、あらゆるデータを用いながら新興国株式の今後の見通しについてお伝えしていきたいと思います。

 

拡大し続ける新興国の経済(=GDP)

株価が上昇するには「企業収益(売上高・純利益・フリーキャッシュフロー)」が増加する必要があります。

企業収益を増加させるには、国民の消費活動や生産活動が増加していくことが前提条件となります。

以下は2000年以降の先進国と新興国の経済水準の推移です。

オレンジ色が新興国GDPですが、新興国経済が急拡大していることが見て取れます。

新興国経済と先進国経済の拡大の推移

 

わかりやすく世界経済全体に占める比率を表したものが以下となります。

世界全体の経済に占める新興国経済の比率

 

2000年時点で新興国経済の占める比率は約20%というレベルにとどまっていました。

しかし、2023年時点で既に42%をしめており、徐々に世界経済の半分を占めるレベルまで進展していくことが見込まれています。

経済成長率も高水準を維持しています。

2020年代も新興国成長率4%以上を確保しています。先進国に変わって、新興国が世界経済の主役になるのも時間の問題といえるでしょう。

まさに眠れる獅子ですね。

 

先進国と新興国の経済成長率の比較

 

拡大し続ける人口と中間所得層

経済が拡大を継続するには、当然ながら人口の増加と所得の上昇が必要になってきます。

以下は世界人口の予測です。

2015年比較で、2030年までの15年間で11.5億人が増えることが想定されています。

世界の地域別の人口の推移

 

増加別でみるとアジアとアフリカで大半を占めています。

所得水準から考えて今後の世界経済を牽引していくのはアジアの新興国達であるといっても過言ではないでしょう。

急激に増加するアジアの人口

 

そして、重要なのは所得水準です。所得水準が高くならないと様々なものを購入することができません。

人々が消費を拡大することでGDPは拡大し企業収益も上昇しますからね。

企業収益が増加すれば所得も拡大して更に豊かになっていくのです。以下はアジアの所得の変化です。

 

新興国の所得階層別の人口の推移。拡大する中間所得層

参照:内閣府

 

2014年に比べてアジアの中間層と富裕層が大幅に拡大していくことが想定されています。

今後、アジアの新興国の勢いは更にましていくことが見込まれます。

 

先進国の長期停滞論(不要論)とは?

新興国の経済は成長の一途をたどっています。そして、先進国の成長率は懸念されています。

 

2008年の金融危機(リーマンショック)以降、長期停滞論が沸き起こっています。

これは潜在成長率と自然利子率の低下が長期的に減少していることを言います。

まず、先進諸国で構成されるOECDの潜在GDPですが2008年を境にして軌道が大幅に下方に乖離してきています。

先進国の潜在成長率の推移

 

また、自然利子率についても見ていきましょう。

景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない、景気に中立的な実質利子率のこと。利子率にも名目と実質があり、名目利子率から期待インフレ率を差し引いたものが実質利子率。実質利子率は消費や投資に影響を与えるといわれている。中長期的な実質利子率は潜在成長率と類似するとされている。

参照:野村證券

 

以下は主要先進国の自然利子率の推移です。確かに近年日米欧の中央銀行はゼロ金利政策を敷いており殆ど名目金利はゼロで推移していることと整合的です。

自然利子率が低下しているということは潜在的な成長率も低下していることを意味します。

主要先進国の実質利子率の推移

 

日本においてはもっと悲惨です。自然利子率はマイナス圏を推移しており成長ドライバーがない衰退国家になっていく運命となってしまっています。

 

日本の自然利子率の推移

 

しかし、我々は幸運なことに海外に投資をする機会がある国に生まれています。

自国が成長しなかったとしても海外の成長のエネルギーを投資によって取り込むことができるのは不幸中の幸いであるということができるでしょう。

 

本当は、筆者としても日本に投資をして日本に貢献したいところです。これは本心から言っていますが、投資は感情を捨てなければ成功できません。

今後市場の成長が見込まれるところで投資はしなければなりません。沢山の選択肢の中から一つの選択肢に絞ってしまうのは機会損失が大きくなります。

また他者が大きくリターンを獲得している中、自分だけが置いてけぼりをくらってしまいます。

常に旬な市場を探し続ける必要がありますが今は新興国は非常にわかりやすく割安であり今後資金が流れ込む確率が高いといえる局面です。

 

企業収益も先進国を上回る成長率を維持!長期も非常に高いEPS成長率が予想されている

株価というのは「EPS × PER」で決定されます。

EPSは1株あたりの収益です。以下は先進国株式と新興国株式のEPS成長率の推移です。新興国の経済成長率は新興国を大きく上回っています。

新興国の経済成長率の推移を先進国と比較

 

特に成長株式の成長率が高くなっています。新興国のハイテク企業などが大きく収益を伸ばすことが見込まれているのです。

 

高い成長率を誇る新興国のグロース企業

 

重要なのは今後です。シーキングアルファによると2032年までの今後10年の配当を加味したEPSの年率成長率は12%-13%となっています。

以下は新興国全体の株式に投資しているVWOの現在のEPS(=1株あたり純利益)の配当を加味したEPSの年率成長率となります。

VWOのEPSの年率成長率

 

株価は「EPS×PER」で求められます。EPSは一定と仮定すると年率13%のリターンが見込めるという状況になっています。

また2000年代のような新興国株式の時代が到来することが見込まれますね。

 

新興国の株価は先進国に対して大幅に割安水準(各国市場とETF分析)

重要なのは現在の株価水準です。新興国と先進国と全世界の株価水準について比較していきたいと思います。

MSCI Emerging Market:新興国株式インデックス
MSCI ACWI:全世界株式インデックス
MSCI World:先進国株式インデックス

Worldが世界ではなく先進国というのが違和感ある名前ですが定義ですので仕方ありません。以下が上記の3つの株価の比較となります。

先進国に対して劣後する新興国株式市場

 

 

リーマンショック前後までは新興国株式がオーバーパフォームしていますが、その後軟調に推移しています。

特に2011年からの10年間でみると成績の軟調さが際立っています。10年間で殆どリターンがでていないのです。つまり割安になっているということですね。

新興国
MSCI Emerging
先進国
MSCI World
全世界
MSCI ACWI
過去1年 ▲20.09% ▲18.14% ▲18.36%
過去3年
年率リターン
▲2.69% 4.94% 4.00%
過去5年
年率リターン
▲1.40% 6.14% 5.23%
過去10年
年率リターン
1.44% 8.85% 7.98%

 

ただ、直近新興国株式が勢いを増してきています。ただ、直近2022年末からは先進国株を凌駕するパフォーマンスを上げています。

ただ、現在でも新興国株式は先進国株式に対して30%ほど割安に評価されています。

バリュエーション調整(=PER調整)がなされるだけで30%程度の株価の上昇余地があることとなります。

 

割安水準に放置されている新興国株式

 

また、当然成長率が高い方が期待が大きくなるので新興国の方がPERが高くなるのが正常です。

今の状態で現在より株価は50%程度上昇しても自然であるとみることができます。

 

先進各国の大規模な金融緩和が新興国株式に追い風

新興国の株価は先進国の資金が流入してくることで上昇していきます。実際、2021年に入って先進国から新興国への資金流入は加速し始めています。

 

新興国への資金流入が異例のペースになっている。2021年の新興国の株式と債券への資金流入額は5月までの過去20年間で最も大きくなった。米実質金利のマイナスが長期化したことで、利回りを求めてリスクの高い新興国に資金が流れ込む構図だ。

参照:日経新聞

 

先進国から資金が流入する要因は二つあります。

 

✔︎ 金融緩和で資金がじゃぶじゃぶで運用先を探している
✔︎ 先進国の金利水準が低く高い利回りを求めて新興国に目がいく

 

2点目についてはコラムの長期停滞論でお伝えした通り、今後も先進国の利回り水準は低い状態が継続していきます。

今後、世界の成長市場である新興国により熱視線が向けられるのは自然の理といえるでしょう。

そして着目する点は1点目です。リーマンショック以降日米欧の先進国の中央銀行は継続的に金融緩和を行ってきました。

そして、コロナショックを機に更に苛烈に金融緩和を実施しています。

 

世界の主要中央銀行の金融緩和

 

上記ご覧のとおり中央銀行のバランスシートの拡大に応じて世界の株価も上昇していっています。

そして、2022年は一時的にバランスシートを凹ませました今後も継続的に先進国の中央銀行の拡大傾向は継続していくことが見込まれています。

 

以下は世界最大のヘッジファンドを運用し経済学者でもあるレイダリオが著した「パラダイムシフト」の内容です。

今後、先進国の借金は積み重なるばかりで実質的に返済は不可能となります。では政府としてどのような行動を取るのが合理的か考えてみましょう。

それは借金の価値自体を小さくしてしまうことです。

 

借金の価値を小さくするには紙幣自体の価値を下げればよいので、今後も中央銀行はお金を刷り続けるということを述べています。

中央銀行には通貨発行権がありますからね。

つまり、今後も拡大し続け溢れ出る資金が高いリターンを求めて新興国に流れ込む構図が出来上がっているのです。

2020年代は再び新興国株の時代がくると考えています。

 

新興国の中で株価値上がりが見込めるのはどこの国?

今まで新興国株式の見通しが明るいことを以下の点からお伝えしてきました。

 

✔︎ 経済成長率が高く今後の世界経済を牽引する
✔︎ 株価自体が先進国に比べて割安
✔︎ 先進国が金融緩和で資金が流入しやすい環境が整っている

 

では実際にどの国が今後大きな株式のリターンをもたらしてくれるのでしょうか?

多くの方はインドが来ると考えられていると思います。しかし、残念ながらインドはまだまだ株式が上昇する水準ではありません。

 

インドはまだまだ貧しく1人あたりのGDPでいうと日本でいうところの1960年代の水準です。国民が貧しい状態だと国民は株式を購入することができません。

更に、外国人が直接インドの株式を購入することはできずADRという特殊な仕組みを使って購入する方法しかないのです。

つまり資金が大量に流入する環境が未整備という状態なのです。2020年以降最も魅力的な新興国は中国です。

魅力的な新興国はどこの国?

 

中国は既に減速していると思われがちですが経済成長率は新興国の平均を大きく上回り続けています。

更に株式市場はこの10年間GDPが3倍に拡大しているにも関わらず20%程度しか上昇していないのです。

その間の日経平均と比べると如何に割安に放置されているかがわかりますね。

日経平均と上海総合指数

 

 

しかも中国は先ほどみてきたEPSの成長力が高い企業を多く抱えています。

割安なPERが見直されるだけでも大きな上昇が見込まれますし、企業収益の改善も追い風となり大きく株価が羽ばたくことが見込まれます。

更に香港市場を通じて海外投資家の資金も流入する環境が整えられているのもポジティブな点ですね。

 

【2023年】中国経済の今後の見通しはどうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!

 

筆者は中国株にオリエント・マネジメントというファンドを通じて投資を行なっています。

オリエントマネジメントのファンドマネージャーは、その時々の情勢に合わせて最も魅力的な新興国に投資を行い高いリターンをだしています。

以下は過去投資した新興国でのリターンです。

オリエントマネジメントの実績

 

そして、今まさに2023年以降は中国株の時代と狙いを定めて投資を開始しています。以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

 

【オリエントマネジメント】「ゼロコロナ」政策を大幅緩和し評判の中国株に投資をするヘッジファンド「Orient Management」の魅力をわかりやすく評価!

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

depression

 

資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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