2023年6月現在、日経平均株価は30,000円を超えてきて盛り上がってきています。
そのため、今回は日本株に投資をしている投資信託「フィデリティ日本成長株ファンド」について取り上げたいと思います。
名前から分かる通り、日本の成長株に投資をしていることが想定されます。
日本株といえば割安な銘柄が多いので、割安株投資が主流なのですが成長株投資をしているというのがアクセントが効いてますね。
同様のコンセプトで運用している眼力やジェイリバイブについても取り上げていますのでご覧いただければと思います。
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フィデリティ日本成長株ファンドの特徴とは?
日本株に投資をしているのはわかりますが、どのように銘柄を選択しているのかを見ていきましょう。
サステナブル・グロース銘柄を選定
フィデリティ日本成長株ファンドが選定するのはサステナブル・グロース銘柄です。
「サステナブル」と「グロース」にわけて考えていきましょう。
サステナブルというのは持続性を意味しています。ESGに優れた企業であれば成長が持続していく可能性が高いと考えられるからとしています。
ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、およびガバナンス(Governance)の頭文字を組み合わせた用語で企業や投資家が持続可能性の観点から事業や投資を評価するための枠組みです。
環境(Environment)は企業の環境への影響や環境リスクに関連する要素を指し、エネルギー効率、温室効果ガス排出量、廃棄物管理などが含まれます。
社会(Social)は、企業の社会的影響や社会的責任に関連する要素を指し従業員の健康と安全、人権、ダイバーシティ&インクルージョン、コミュニティへの貢献などが含まれます。
ガバナンス(Governance)は企業の統治構造や経営の透明性に関連する要素を指し、役員の独立性、コーポレートガバナンスの実践や内部統制などが含まれます。
グロース部分に関しては大きな構造変化を追い風として、高い競争力を武器として拡大する需要を取り込む業界の勝ち組企業を選ぶとしています。
定量的な基準ではなく、定性的な基準ですね。
長期的な成長が期待される5つの投資テーマとは?
グロースに関しては5つの投資テーマを対象とすると宣言しています。
その5つのテーマとは以下となります。
省エネ・省資源 | エネルギー資源を効率的に活用しつつ生活の質や水準の向上に貢献するような製品・サービスを提供している企業 |
自動化・省エネ化 | 製造業における自動化、省力化の手段であるファクトリー・オートメーションへの需要をとることができる企業 |
新興国事業 | 新興国の消費を捉えることができる企業 |
ヘルスケア | 世界的に65歳以上の人口の増加が加速し、高まる高度な医療への需要を取りに行くことができる企業 |
デジタル革命 | インターネットというプラットフォームで展開されるサービスを提供している企業 |
具体的にどのような銘柄を組み入れているのかという点について次の項目でみていきたいと思います。
フィデリティ日本成長株ファンドの組入上位銘柄
フィデリティ日本成長株ファンドの組入上位銘柄は以下となります。
キーエンス、ソニーグループ、東京エレクトロンと日本を代表する企業が多く組み入れられています。
ただ、三井ハイテックやミスミグループなど聞きなれない銘柄も組み入れられています。
組入銘柄は167銘柄となっているので1銘柄あたりの寄与率は高くありません。キーエンスだけは構成比率4.5%なので、それなりに大きくなっています。
キーエンスといえば現在ではトヨタ、ソニーに次ぐ第3位の時価総額となっている企業です。
時価総額は16兆円をこえてきており、ソニーと時価総額2位を争っています。
ただ、キーエンスが提供するサービスは個人用ではないため、残念ながら馴染みはない方が多いかと思います。
キーエンス(KEYENCE Corporation)はグローバルな自動化機器メーカーです。
同社は、高精度センサー、計測器、産業用カメラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)など、さまざまな自動化製品を開発・製造・販売しています。
キーエンスの製品は、産業界において生産効率の向上や品質管理の向上を支援するために使用されます。
同社の製品は、自動車、電子機器、食品・飲料、医療機器、半導体などのさまざまな業界で利用されており、高い信頼性と技術革新を特徴としています。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 | EPS |
2007/03 | 182,711 | 92,977 | 58,646 | 241.8円 |
2008/03 | 200,666 | 102,354 | 63,208 | 260.6円 |
2009/03 | 165,328 | 73,371 | 41,996 | 173.2円 |
2010/03 | 136,177 | 55,658 | 37,695 | 155.4円 |
2011/03 | 184,802 | 86,611 | 55,345 | 228.2円 |
2012/03 | 199,334 | 91,145 | 58,162 | 239.8円 |
2012/06 変 | 52,016 | 22,805 | 15,535 | 64.1円 |
2013/03 変 | 165,813 | 76,416 | 52,043 | 214.6円 |
2014/03 | 265,010 | 130,689 | 85,904 | 354.2円 |
2015/03 | 334,034 | 175,719 | 121,063 | 499.2円 |
2015/06 変 | 88,050 | 45,841 | 31,521 | 130.0円 |
2016/03 変 | 291,232 | 155,468 | 105,645 | 435.6円 |
2016/06 変 | 96,352 | 49,160 | 32,475 | 133.9円 |
2017/03 変 | 316,347 | 169,750 | 120,680 | 497.6円 |
2018/03 | 526,847 | 292,890 | 210,595 | 868.3円 |
2019/03 | 587,095 | 317,868 | 226,147 | 932.5円 |
2020/03 | 551,843 | 277,631 | 198,124 | 816.9円 |
2021/03 | 538,134 | 276,758 | 197,289 | 813.5円 |
2022/03 | 755,174 | 418,045 | 303,360 | 1,250.8円 |
2023/03 | 922,422 | 498,914 | 362,963 | 1,496.6円 |
株価も業績の伸長にともなって右肩あがりで増加しています。流石に2022年は大きく凹んでいますが。
業種別組入比率をTOPIXと比較
フィデリティ日本成長株ファンドの組入業種銘柄を比較したのが以下となります。
TOPIXに比べて顕著に電気機器の構成比率が大きくなっています。一方で金融関係の銘柄の比率はすくなくなっています。
購入手数料と信託手数料
購入手数料と信託手数料は以下となります。
購入手数料:3.30%
信託手数料:年率1.683%
アクティブ投信の中でも高い手数料水準ですね。
フィデリティ日本成長株ファンドの運用実績!TOPIXや日経平均と比較
フィデリティ日本成長株ファンドの運用実績は以下となります。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 8.17% | -- | -- | -- | -- |
2022年 | -9.64% | -7.03% | 0.86% | 0.83% | -14.57% |
2021年 | 4.28% | 1.25% | 7.52% | -1.43% | 11.89% |
2020年 | -18.50% | 18.79% | 10.35% | 12.63% | 20.32% |
2019年 | 12.20% | -0.74% | 3.82% | 11.41% | 28.81% |
ベンチマークはTOPIX(配当込み)なので、TOPIXを上回っているのは好感できますね。
ただ、以下の通り日経平均には劣後した成績となっています。以下の日経平均は配当をだしているので、実際はさらに劣後した成績となっています。
掲示板での口コミや評判
掲示板での口コミや評判は以下となります。
日経平均上がっているのに、ここは何で下がっているの? 選択銘柄間違ってない?
年金預けているのだから、皆に喜ばれる運用してくれ。
日経平均下落以上に下げ上げる時は平均以下。
本当、成長しねぇファンドだな。
日本株の中ではましな方ですよ。中小型株じやないんで、そんなに高いリターンは出ませんが、大やられはありません。
フィデリティ日本成長株ファンドの今後の見通し
フィデリティ日本成長株ファンドも結局以下の特性から日経平均と連動します。
- 超大型銘柄を多く組み入れている
- 200銘柄近くを組み入れている
正直言って、ここまで分散していたらアクティブファンドとしての特性を出すのは難しいです。ひふみ投信と同じです。
→ やめたほうがいい?やばい?不調にあえぐ「ひふみ投信」「ひふみプラス」の時代は終わった?まだ上がる?運用実績がひどくて今後の見通しも危ないという評判がたっている理由を分析して評価する!
日経平均が2023年6月現在上昇している要因は単に円安が進行しているからです。
円が安くなっているので海外投資家からみると日本株が安く見えて買い上げられているのです。
円安が進んでいる要因は米国が利上げをするなか、日銀が一貫して金融緩和を行い日米金利差が拡大しているからです。
米国では2021年末から1970年代後半以降の高いインフレが発生しており金利を高めてインフレを抑制しています。
一方、日本はインフレの立ち上がりが遅かったので、まだ日銀は動かずという状況になっています。
しかし、直近は日本のインフレ率が米国のインフレ率に追いついてきています。
そのため、今後は日銀も金融引き締めに動く可能性がたかまっており日米の金利差が縮小して円高になる確度がたかまっています。
そうなると、当然日米金利差の拡大を背景に上昇してきたドル円が逆回転を始める可能性が高まるということです。
ここから為替レートに影響をうけやすい大型銘柄に投資をしているファンドに投資をするのは危険でしょう。
海外比率が少なくファンダメンタルズがしっかりしている中小型株にこそ妙味があると考えています。
以下で中小型銘柄に投資をする魅力的なファンドについて取り上げていますのでご覧いただければと思います。
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