日本の投信のカテゴリーの中で人気のものの一つに米国リートに投資をするものがあります。
有名なものでいうと、当ブログでも以前紹介したゼウス投信がありますね。
→ 【ゼウス投信】売り時!?配当利回りが高いが大損すると評判の投資信託「新光US-REITオープン」を徹底評価!運用実績(利回り)と今後の見通しを確認しながら紐解く!
本日は、そんな人気の米国リート投信の1つであるフィデリティUSリートファンドについて取り上げたいと思います。
フィデリティUSリートファンドの特徴とは?
フィデリティUSリートファンドの特徴についてみていきたいと思います。
投資対象は米国リート
投資対象は名前の通りUSリートです。USリートに投資を行う分散投資ファンドとなっています。
各リートは様々な物件に分散投資をしています。そのリートを更に分散しているのでファンド・オブ・ファンズ形式といっても差し支えないですね。
そもそも米国リートとは?
そもそもリートというのはReal Estate Investment Trustの頭文字で不動産投資信託と呼ばれます。
総収入の75%以上が不動産関連収入を得ている必要があります。以下は米国REITの要件となります。
上記の資格要件を満たす REIT は、法人所得計算上、配当利益の損金算入が認められる代わりに、各年度のキャピタルゲインを除く課税所得の 95%以上を配当しなければなりません。
つまりリターンの95%以上を配当金として拠出することでREIT法人は米国政府からの課税を免れることができるということですね。
上記の要件からREITは配当利回りが高くなる傾向にあります。
A(為替ヘッジあり)とB(為替ヘッジなし)とは?
フィデリティUSリートファンドには為替ヘッジをつけるAコースと、為替ヘッジなしのBコースがあります。
Bコースはドル円が上昇すると円建のリターンが上昇しますが、逆に円高が進むと円建のリターンは毀損します。
昨年日米の金利差を背景に152円まで上昇したドル円は130円割れまで急落しています。
今後も米国経済は景気後退懸念があるので米国金利は下落方向に傾きつつあります。
更に2023年4月に控える日銀総裁の交代を前に日本の緩和が出口に向かうのではないかという観測により日本側の金利も上昇し日米の金利差は更に縮小していきます。
すると、ドル円は下落する確度が高くなっているのです。
そのため、筆者としては今後は為替ヘッジを行うAコースをおすすめしたいと思います。
構成業種は住宅がトップ
米国の個別リートの名称をあげても恐らく誰もわからないと思いますので構成上位セクターの比率をお伝えします。
2022年6月末時点での構成上位セクターは以下となります。
2022年11月末 | 2022年6月末 | |
住宅 | 24.6% | 20.8% |
物流 | 12.0% | 13.8% |
小売 | 12.7% | 12.4% |
ヘルスケア | 9.6% | 12.2% |
データセンター | 11.3% | 10.9% |
特殊 | 6.5% | 9.0% |
倉庫 | 8.4% | 6.4% |
ホテル・リゾート | 6.8% | 5.6% |
インフラ | 4.5% | 5.0% |
複合施設 | 1.6% | 1.5% |
オフィス | 0.4% | 1.4% |
最も安定性が高い住宅を最も多く組み入れています。
景気に一番影響を受けるのは、物流や倉庫、ホテルリゾートなどですからね。
米国リートが保有する不動産の入居率は過去平均93%という非常に高い水準となっています。
最も景気の悪かったリーマンショックでも90%以上を維持していますから盤石といえるでしょう。
ただ、不況時には家賃が安くなる可能性もあるので必ずしも値下がりしないというわけではないことは留意しておきましょう。
ベンチマークはFTSE NAREIT Equity REITs インデックス
フィデリティUSリートファンドはインデックスに対してプラスのリターンを狙うアクティブ型の投資信託です。
→ アクティブ型とパッシブ型(=インデックス型)の投資信託の違いとは?どちらのファンドがおすすめか徹底比較。現実を知っていれば大損地獄も回避可能
そのため、比較対象となるインデックスが存在します。
フィデリティUSリートファンドはベンチマークをFTSE NAREIT Equity REITS インデックスと設定しています。
この指数はFTSE社によって算出されている米国の代表的なREIT指数です。米国の株式でいうところのS&P500指数と同じですね。
手数料水準(購入手数料と信託手数料)
手数料は以下の通りとなります。
購入手数料:3.85%
信託手数料:年率1.54%
アクティブ投信の中でもかなり高い水準ですね。
フィデリティUSリートファンドの運用実績!特別分配金をだしている!?
重要なのは運用実績です。以下は基準価額と税引前分配金再投資した場合の基準価額(累積投資額)とベンチマークの比較です。
税引前分配金再投資後の基準価額でさえベンチマークのインデックスを大きく下回っています。
基準価額は3200円と運用開始時の10,000円の約3分の1となっています。つまり、元本を毀損する特別分配金を出しているということになります。
特別分配金が出ている投資信託を購入するということは、手数料を払いながら預金を引き出しているという状況になります。
また、仮に利益が出ている分から配当金が出ているとしても、配当金を拠出した瞬間に税金が20.315%かかります。
そして、再投資する場合には高い購入手数料もかかります。つまり、上記の税引前分配金再投資した場合の基準価額は実現しえないものとなっているのです。
フィデリティUSリートファンドはインデックスに劣りながら、高すぎる過剰な分配金を出しているという点でゼウス投信と同じ性質のリート投信であるということができます。
→ 【ゼウス投信】売り時!?配当利回りが高いが大損すると評判の投資信託「新光US-REITオープン」を徹底評価!運用実績(利回り)と今後の見通しを確認しながら紐解く!
2023年からの今後の見通しとは?
重要なのは今後の見通しです。
まず、以下は商業用不動産の価格推移です。2022年年央を境として大きく価格が下落しています。
これは米国の中央銀行であるFRBの金融引き締めが暗い影を落としているからです。
住宅を購入したことがある方ならわかると思いますが、金利が高くなると住宅購入を控えますよね。
そのため、金利が高くなると住宅価格自体も下落します。住宅価格と金利は切っても切り離せない関係にあるのです。
そして、現在米国では40年ぶりのインフレに対応するためにFRBは拙速な金融引き締めを実行しています。
以下をご覧いただければわかる通り、金利を引き上げてしばらくたつと大きく下落します。そして、現在既に下落に転じています。
この政策金利の引き上げに加えて、FRBはQTという市場からの資金の引き上げを実施しています。
このQTでは償還される米国債を再購入しないという処置なので長期金利が上昇する圧力が働きます。
つまり、ここからしばらく逆風が吹き荒れることが想定されているのです。
米国リートの利回りは米金利との差によって表されます。
米国リートの利回りが米金利より大きければ投資妙味がましますし、小さければ米国債への投資妙味が増しますからね。
以下ご覧いただければわかる通り、米金利と米国リートの利回りは消失しており、米国リートは既に割高水準となっています。
リートと米国10年債の利回り格差が1%以下であれば割高となりますが、利回り格差が0.2%となっており割高水準になっています。
半年前の水準が0.7%であったことを考えると0.2%に縮小しており割高感がたかまっています。
ここから米国リートに投資する妙味は少ないと言わざるをえないでしょう。
掲示板での口コミや評判
Yahoo financeでの掲示板や口コミは以下となります。
口コミ①
2011年からずっと長い事持ち続けてなんとかトータルプラスになってます。最近は特配続きでしたがなんとか分配してくれて安心感ありました。ですがそろそろ3,000円台が厳しそうなので売注文だしました。なんだか長年毎月通帳に安定して入金されてたので手放すのは寂しい気もしますけどね…
配当を出さなければ大きなプラスなのに、配当をだした結果12年投資してなんとかプラスを維持という悲しい結果になっていますね。
高配当の罠ですね。
金利上昇による価格下落とドル円の下落による基準価額の下落に悲鳴を上げている声も多くきかれました。以下は一例です。
口コミ②
117円↓は恐ろしい
3000円割れはあって欲しくない
米国の金利上げは景気下げ。
株価は下がり、日経も下がり、円建て米ファンドも下げ下げ
アメリカさん いい加減にきんりあげはよさんか!
まとめ
今回のポイントを纏めると以下となります。
ポイント
✔︎ 複数の米国リートに投資
✔︎ 住宅が最も投資比率の高いセクター
✔︎ 現在割高で今後の金利上昇を考えると投資妙味は低い