名家のファミリー、一代で莫大な資産を築いた事業家、医者、一流企業職員など、資本主義の世界では富裕層と呼ばれるコミュニティが存在します。
そして富裕層に特化したサービスが世の中には多々存在します。
基本的にはそのようなサービスは人脈を伝って紹介されるか、明確な保有資産額フィルターを通過した人々のみに提供されます。
今回はその「富裕層」とはどのような階層の人々なのか、また実際にどのようなサービスが存在するのかを解説していきます。
富裕層とはどのような人々を指すのか?
資産家、お金持ち、ミリオネア、億万長者、などなど様々な呼び名が富裕層にはあります。
実際はどれくらいの資産額を保有していれば富裕層と呼ばれる水準なのでしょうか?
欧米では「ミリオネア」など具体的な1 millionドル(1億円程度)などわかりやすい金額で示されています。日本でも1億円程度が富裕層と呼べる水準と言えるでしょう。
例えば、いつでも話題に出る野村総研が発表している社会階層でも1億円以上の資産がある世帯を富裕層としています。
5億円以上は超富裕層となっています。富裕層以上は全体の2%程度です。100人世帯あれば2世帯くらいは1億円以上を保有していると考えられます。
ちなみに上記は「純金融資産」ですので、住宅ローンなどを組んでいる世帯はそのローン額を引き算する必要があります。
1億円の住宅ローンを組んでいるなら、2億円は純資産があれば富裕層であるということです。
ちなみに上記の基準の富裕層の世帯の数は上昇の一途をたどっています。
2005年時点では81.3万世帯でしたが、2019年時点では124万世帯と1.5倍に増えています。この理由について追ってお伝えします。
野村総研以外にも、RBCウェルス・マネジメントなどの調査による富裕層の定義は、主な居住用不動産、収集品、消費財、および耐久消費財を除き、
100万ドル以上の投資可能資産を所有する世帯としています。
蛇足ですが、World Ultra Wealth Report 2017では超富裕層が多い国は1位にアメリカ、2位に中国、3位に日本がランクインしています。
超富裕層の定義は3,000万ドルつまり40億円以上の資産を保有している人物のことをさします。
2017年の時点では日本は2位でしたが後退です。
都市 | 人数 |
米国 | 101,240 |
中国 | 29,815 |
日本 | 21,300 |
ドイツ | 15,435 |
カナダ | 11,010 |
フランス | 9,810 |
香港 | 9,435 |
英国 | 8,765 |
スイス | 7,320 |
インド | 6,380 |
都市で言えば、NYが一位、香港が二位、東京が三位となっています。
LAよりも東京が上であることは意外ではないでしょうか。NY、香港は流石ですね。
都市 | 人数 |
ニューヨーク | 11,475 |
香港 | 9,530 |
東京 | 8,345 |
ロサンゼルス | 6,360 |
シカゴ | 4,100 |
サンフランシスコ | 4,005 |
パリ | 3,765 |
ワシントンDC | 3,485 |
大阪 | 3,255 |
ダラス | 3,120 |
富裕層向けの金融サービスとは?
上記で富裕層の定義を確認しましたが、資産が1億円程度の資産家の方々に向けたサービスということですね。
そもそも富裕層の資産額が増え続けている要因は資産運用の賜物です。労働所得で得ることができる資産なんて微々たるものです。
自分のオーナーとして運営している会社が成長して株価が上昇したり、形成した資産を資産運用で増加させることで資産を飛躍的に増やしています。
富裕層世帯の金額規模になってくると、例えば自分で運用するにも失敗した時の損失の絶対額が大きいなど不都合が生じます。
安定運用とは簡単ではなく、非常に難しく、プロと呼ばれる人々でさえ日々の努力を怠らない競技なのです。
当然、運用は高い専門性が求められることから、大きな金額を動かす富裕層に特化したプロ中のプロが担当する金融サービスが存在するということです。
「運用をしない」という選択肢もありますが、正しい運用さえすれば効率的に資産をさらに飛躍させられる水準でもあるため、やはり運用をしたいと考えるのが自然です。
100万円を運用して10%利回りでも10万円ですが、1億円を運用して10%の利回りを出せば1000万円ですからね。
また、金額が大きくなることで相続などを実施する際に、親族間で争いが起きてしまうのも富裕層が抱える悩みの一つではないかと思います。
その際に、仲介人として資産を管理し、平等に、または意図を汲み取った分配を考えてくれる専門家がいれば大変心強いですよね。
富裕層向けサービスの特徴
最もよく挙げられるのが、担当者が優秀であることが多い点です。
欧米を中心としたウェルスマネジメント業界では、例えばUBS、クレディ・スイス、モルガン・スタンレー、メリルリンチ(バンク・オブ・アメリカ)のウェルスマネジメント部門などが有名です。
UBSのアカウントを開くには200万カナダドル(2億円程)が必要となっています。
1. UBS Wealth Management ($2.6 trillion in AUM)
The top dog … by size. A Swiss company, UBS operates in more than 50 countries and has 286 branch locations in the U.S. UBS Wealth Management Canada requires a minimum of CAD$2 million to open a managed account and offers extensive experience managing the wealth of individuals, families, entrepreneurs and executives.
上記のような金融機関は海外トップ大学出身者が、富裕層の運用、相続、節税スキーム考案などその頭脳を生かしてコンサルティングを行なっています。
ウェルスマネジメント部門社員のその人脈は凄まじく、富裕層から富裕層へと人脈を繋ぎ、ネットワークを拡大し、クオリティの高いコンサルティング(運用など全般)を実行しています。
日本でも三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三井住友トラストホールディングス、UBS証券、みずほ証券などがウェルスマネジメント業務を行なっていることで有名です。
元々はシティバンク、クレディスイス、HSBCなど外資系がこの領域は参入してきていました。東京は先ほど見てきた通り富裕層を大量に抱える都市ですからね。
しかし、2004年に金融庁からシティバンクが行政処分を受けたことを皮切りに外資系は撤退していきました。
その後、日本の一流金融機関が本格参入した経緯があります。
富裕層向けの金融商品一覧
プライベートバンク(ファミリーオフィス)
プライベートバンクはその名の通り各世帯専用の口座を持つ類のものです。
上記で一流機関のウェルスマネジメント部門を紹介しましたが、この部門がその口座を管理、コンサルティングし資産運用、保全に努めることになります。
例えば日本では任天堂のファミリーオフィス(プライベートバンクのさらに規模の大きい口座)が有名ですよね。遊び心満載でHPまで作ってしまっています。
プライベートバンクは金融商品というよりも、資産を運用・保全するためのパートナー契約を結ぶといったイメージです。
気軽に専門家に相談できるため、富裕層からすればかなり便利なのです。
ヘッジファンド投資
ヘッジファンド投資と言えば富裕層の醍醐味とも言える運用方法ですよね。
基本的に最低出資額が非常に大きく、一般人が投資するにはハードルが高い投資先です。
ヘッジファンドと投資信託を混同される方も多いですが、投資信託はネット証券などで容易に購入できる一方、ヘッジファンドは基本的には人脈などを活用して運用できる私募ファンドです。
- ヘッジファンド:私募ファンド
- 投資信託:公募ファンド
→ 失敗して大損しないための基礎知識:ヘッジファンドと投資信託の違いについて4つの側面からわかりやすく解説。ヘッジファンド型投信とは?おすすめ投資先は?
→ 【CMAブログ】投資信託だけで生活って可能!?配当金生活のリアルとは?投信の分配金で生活する際に考えるリスクや危険性をわかりやすく解説!
私募ファンドは規制により公に出資者を募ることができません。
しかし、その代わりに金融庁からの規制は緩く「運用の自由度の高さ」が大きなメリットとなります。
投資信託では目論見書に記載した通りに運用を実行しますし、ショートポジションなどを持つことはできません。
ヘッジファンドは制限なく、ファンドマネジャーの判断次第で投資先を決め瞬時にリターンを最大化させていきます。
また、1銘柄の保有比率に制限もなく大株主となり経営陣に提言して能動的に株価を引き上げるアクティブスト投資なども実行できます。
ヘッジファンドについては以下の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。
欧米で活発なヘッジファンド投資ですが、日本でも徐々に日本発のヘッジファンドが知名度を上げてきています。
【2022年】管理人が考えるおすすめヘッジファンドランキング!(投資信託・ETFを含む)個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
仕組債
仕組債の定義は以下です。IFAの方々がよく販売されているイメージが強いです。
「仕組債」とは、文字通り、一般的な債券にはみられないような特別な「仕組み」をもつ債券です。
この場合の「仕組み」とは、スワップ(※1)やオプション(※2)などのデリバティブ(金融派生商品)を利用することにより、投資家や発行者のニーズに合うキャッシュフローを生み出す構造を指します。こうした「仕組み」により、満期やクーポン(利子)、償還金などを、投資家や発行者のニーズに合わせて比較的自由に設定することができます。
証券会社によっては100万円程度から運用が可能となりますが、近年はあまり良い噂も聞かないため、この項目では詳しい説明は割愛します。できればあまり手を出してほしくありません。
資産は守り育てるものです。
まとめ
富裕層の定義と富裕層向け金融サービスを紹介してきました。
富裕層に到達することで様々な機会に恵まれますが、時に判断を誤り、資産を減らしてしまう人が後を絶ちません。
正しい運用をできるよう、種々検討していきましょう。