2022年以降の資産形成に金投資(純金積立)はおすすめしない!ゴールドを買うメリット・デメリットを解説

まとまったお金の増やし方 投資信託

2022年以降の資産形成に金投資(純金積立)はおすすめしない!ゴールドを買うメリット・デメリットを解説。買い方は海外ETF(GLD IAU GLDM SGOL等)、国内投信などがある

2022年に入り、米国発の異次元金融緩和、サプライチェーンの混乱、ウクライナ危機などの要因によりコモディティ商品が高騰しています。

コモディティ商品の中でも注目されるのがいつの時代も「金(Gold)」ですよね。

 

特に、ウクライナ危機のような事象が発生したことにより、「金投資はどうなの?」という質問が筆者にも増えてきましたので、

 

 

金投資のそもそもの目的

金、ゴールドに投資する目的を理解する必要があります。大きく儲けよう、資産形成を本格的にしよう、と考えている人には向かない投資先であることをまずは伝えておきます。

金投資はあくまでも、富裕層一族などが選択する資産保全法であり、資産形成を本気で目指す人は手を出すべき代物ではありません。筆者個人の肌感覚ですが、5億円以下の資産で金への投資をするのは時期尚早かと思います。

 

堅実運用で資産を跳ねさせる方が優先だと思います。資産が十分に形成できた富裕層が着手するのが債券投資、金投資であり、まだまだその領域に辿り着いていない人は積極的に株式での運用(投資信託、ヘッジファンドなど含む)を考える必要があるのです。

歴史が証明しています。

 

金 債券 株式 株式投資の未来 過去推移

 

筆者のブログ読者には資産保全よりも資産形成を希望する人の方が良いと思われますが、なぜ金投資は資産形成に向かないかについてしっかり整理していきたいと思います。

 

 

金投資のメリット

メリットはとにかく有事の際の資産保全となることですね。

金融危機(リーマンショック)が起きた2018年、2018-2019年の米中貿易摩擦、Covidパンデミックの際には金価格が上昇しており、多くの投資家が資産保全のためにゴールドへ資金を移したことがわかります。

金価格と米ドル指数の比較チャート

 

また、株式・社債は企業が破綻すれば株式価値はゼロになります。

国債も国が破綻すれば紙切れになってしまいます。しかし金は価値がなくなることはありません。信用リスクがないのです。

 

国債は新興国でなければ基本的に問題ないですが(米国が破綻する時は世界の終わり)、つまりは新興国の富裕層はゴールドに資金を移す意欲が強いことも意味します。

また、ゴールドは実物資産であり、換金性が非常に高いです。家に延べ棒を保管し、キャッシュが必要になればすぐに換金可能です。

 

メリット

  1. 有事の際の資産保全
  2. 信用リスクがない
  3. 換金性が高い

 

 

デメリット

上記でゴールドは実物資産であり換金性が高いと述べました。

しかし、家にこんな延べ棒を保管しておくのも大変です。泥棒に遭えば一瞬で消える資産でもあり、日々緊張感が伴います。盗難に遭うリスクもよく考えればデメリットですね。

金の延べ棒

 

当然そんなことを思う人も多々いるので、保管業者が必ずいます。保管業者に頼む場合保管コストがかかることがデメリットの一つです。

田中貴金属工業が金の販売もしていますし、一気通貫で保管事業もやっています。田中貴金属は永遠に食っていけそうですね。素晴らしいビジネスを手にしたと思います。

 

田中貴金属のゴールド保管事業

手数料

持込預り手数料・・・・・・金地金

1kgあたり 5,500円(税込)・・・・・・プラチナ地金1kgあたり 5,500円(税込)

 

保管についてなぜか最初に挙げてしまいましたが、一番のデメリットは配当や利子などの収入がないことです。資産保全のための運用先なので、贅沢は言ってはいけませんね。

キャピタルゲインを狙うのも、相当タイミングが良くないと狙えません。これについては後述します。

 

 

デメリット

  1. 配当や利子などインカムゲインなし
  2. 物理的保有を選ぶと盗難リスクあり
  3. 業者に保管を頼むと保管コストがかかり利回りを圧迫

 

 

金とよく比較される暗号通貨(ビットコイン)の存在

2020年のパンデミックを発端とした米国発異次元金融緩和により、株式、コモディティ、不動産など実物資産は大きくその価値を上昇させました。

経済が加速、インフレ加速、人々の消費加速などと、基本に忠実といった形で社会は進みました。

 

しかし、まだ金融緩和、経済加速している2021年中に金の価格の上昇は止まりました。

理由として最も挙げられるのが暗号通貨の存在です。以下の通りゴールドを置き去りにし、ビットコインは果てしない上昇を見せました。

金とBTCの比較

 

基本的に、暗号通貨に投資している投資家と金に投資する層は大きく違うと思います。

言葉を選ばずに表現するとすれば、資産を守りたい老人が金に投資をし、野心のある若者達が暗号通貨に資金を突っ込む。

 

つまり、それぞれがそれぞれの目的を達成しているのですが、本来はインフレが続くと思われた場合、野心的な投資家が収益機会を狙ってゴールドへの資金流入をさせていたのではないかと思います。データの裏打ちはないのですが、ゴールドがアンダーパフォームしているのは事実としてあります。

 

金価格は本来上昇すべき局面でしたが、実際には5年で+45%と投資環境を考えるとあり得ないほどに低いリターンで終わりました。

つまり、これまではタイミングさえ合えばキャピタルゲインが見込める投資対象だった金が、本当に保全のために存在する投資対象となってしまったのではないかと考えられるわけです。

 

資産形成に金投資をおすすめしない理由(純金積立含む)

さて、すでに上記で金はもはやキャピタルゲインも見込めない保全用の資産であると述べてしまったばかりですが、明確におすすめしない理由をここでも述べます。

まずは上記の暗号通貨の誕生により金への資金流入が相対的に減少し、キャピタルゲインが見込めなくなってしまったこと。これは短期的な見通しではなく、長期的に魅力が損なわれたという意味で書いています。

 

そして、短期的な見通し(5年ほどのスパン)からも、金への投資を今から始めるのはあり得ないと考えます。

理由は、2022年6月現在は金融引き締め局面であり、インフレ→デフレに経済が進んでいきますので金投資をするタイミングとしては最悪であるということです。

 

後述しますが、まずはシンプルな点を挙げます。

 

金価格が変動する大きな要素にアメリカFRBの金融政策があります。金はコモディティであり、コモディティはインフレ率が上昇している時にその価格を上昇させます。

インフレ率が上昇し始める頃が最も金を買うには良いタイミングであることを意味します。

 

アメリカFRBがインフレ率上昇を主導し始める時期を見極める必要があります。それはアメリカが不況に陥り、FRB議長が金融緩和を宣言した時です。

現在は金融引き締め真っ最中であり、今から金投資するのは非常に危険であることが容易に理解できますね。実際には株式市場が暴落したり、米リセッションが本格的に実現し始めるとそこから金価格は上昇を始めますが、そこを狙い撃ちするのは難しいです。

 

そして、今は暗号通貨の存在もあり、金価格はそこまで上昇せず、むしろビットコインが上昇を主導してしまう可能性すらあります。

 

金投資をおすすめできない理由

  1. 現在は世界的に金融引き締めが進んでおり、コモディティの定石通りの買いタイミングではない
  2. 暗号通貨の存在によりキャピタルゲインの獲得機会が大きく減少、あくまで保全資産として確立したように見受けられる
  3. 2の影響により、資産保全であれば魅力あるも、資産形成(資産増加)には全く向かない投資対象である

 

 

金価格が上昇するのはどんな時?

ここまですでに金投資について解説してきましたが、金価格の変動要因となる基本を押さえておきましょう。

 

戦争・テロなど地政学リスク

有事の金、と言われるだけあって、戦争やテロが発生し、世界の先行きが見通し不明となった時に、ゴールドは買われます。

わかりやすく、第二次石油危機、イラン革命、911のテロ騒動、リーマンショックやCovidパンデミックの際に金価格は上昇していますよね。

 

ゴールドの価格変動要因、イベント

 

他にも天災、災害なども影響します。

 

インフレ率の変動・金融政策

インフレ率の上昇が金価格に影響することはすでに上記で述べた通りですね。

コモディティに投資をする場合は世界の中心である米中央銀行の動向は常にチェックしておく必要があります。

 

金の採掘量

単純に金の採掘量が減少するようであれば、その価格は上昇します。

需要と供給の話ですね。現在は世界で中国が最大の採掘国となっています。2021年は370トンの採掘量で5年ぶりの増加です。

 

世界の主要金産出国

出典:U.S.Geological Survey - Mineral Commodity Summaries 単位:トン

 

2021年金産出量上位国と産出量(前年比)、前年産出量、シェアは以下のとおり。

1位:中国 370t(+1.4%)365t 12.3%
2位:豪州 330t(+0.6%)328t 11.0%
3位:ロシア 300t(-1.6%)305t 10.0%
4位:米国 180t(-6.7%)193t 6.0%
5位:カナダ 170t(0.0%)170t 5.7%
6位:ガーナ 130t(+4.0%)125t 4.3%
7位:メキシコ 100t(-2.0%)102t 3.3%
7位:南アフリカ 100t(+4.2%)96t 3.3%
7位:ウズベキスタン 100t(-1.0%)101t 3.3%
10位:インドネシア 90t(+4.7%)86t 3.0%

11位以下は、ペルー(90)、スーダン(90)、ブラジル(80)、カザフスタン(60)、パプアニューギニア(50)。上位15カ国で世界全体の74.7%の金を産出。

 

金の国別産出量の推移

近年はオーストラリアで採掘量が増えているようですね。

この採掘量に変動があるようであれば、価格変動が起きる可能性がありますので、常日頃から金業界の動向は追っておきましょう。

 

 

金に投資する方法

最後に金に投資する方法です。

 

海外ETF・国内投信

ゴールドに投資できるETFは多くあります。

海外ETFは以下の通りです。想像通りパフォーマンス悪いですね。年初来(YTD)でまともなリターンを出している銘柄がありません(2022年6月23日時点)。

Symbol ETF NAME Total Assets ($MM) YTD
GLD SPDR Gold Shares $63,397.30 0.20%
IAU iShares Gold Trust $30,333.00 0.32%
GLDM SPDR Gold MiniShares Trust $5,144.83 0.41%
SGOL abrdn Physical Gold Shares ETF $2,621.90 0.40%
IAUM iShares Gold Trust Micro ETF of Benef Interest $1,073.92 0.36%
BAR GraniteShares Gold Shares $1,008.89 0.39%
OUNZ VanEck Merk Gold Trust $657.59 0.39%
AAAU Goldman Sachs Physical Gold ETF $605.07 0.39%
UGL ProShares Ultra Gold $254.45 -2.11%
DBP Invesco DB Precious Metals Fund $110.48 -2.14%
DGP DB Gold Double Long Exchange Traded Notes $85.79 -1.30%
DGL Invesco DB Gold Fund $67.61 -0.61%
IGLD FT Cboe Vest Gold Strategy Target Income ETF $42.14 0.53%
IAUF iShares Gold Strategy ETF $41.81 -0.62%
GLL ProShares UltraShort Gold $31.97 -3.60%
PBUG Pacer iPath Gold Trendpilot ETN $23.07 4.05%
BGLD FT Cboe Vest Gold Strategy Quarterly Buffer ETF $13.89 -1.79%
DZZ DB Gold Double Short Exchange Traded Notes $5.27 -2.07%
DGZ DB Gold Short Exchange Traded Notes $3.43 0.31%
WGLD wShares Enhanced Gold ETF $0.52 -4.65%

 

一番王道のETFはGLDです。

国内投資信託は以下のようなものがあります。この他にも色々ありますが、大差ないと思います。

 

国内投信 三菱UFJ 純金ファンド 【愛称:ファインゴールド】
国内投信 ピクテ・ゴールド(H有)
国内投信 iシェアーズ ゴールドインデックス(H無)
国内投信 ゴールド・ファンド(H有)
国内投信 ゴールド・ファンド(H無)
国内投信 ゴールド・ファンド H有(SMA専用)
国内投信 SMT ゴールドインデックス・オープン(H無)

 

純金積立の方法

色々見ましたが楽天証券が一番サクッとできそうですね。現物引き取りも可能なようです。

金・プラチナ取引を始めるには

 

 

まとめ

金投資について述べてきました。

基本的には、資産形成にも向いていない投資先であり、投資をするにしてもタイミングも今は悪く、またタイミングが良くても上昇余地が少ないという点で、わざわざ投資をする必要はないのではと筆者は考えています。

 

 

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

depression

 

資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

-まとまったお金の増やし方, 投資信託

© 2023 アーリーリタイアを実現する資産運用ブログ〜Art of Investment〜 Powered by AFFINGER5