世界的に環境意識は高まり続けています。地球温暖化を食い止めるために二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を削減する方向に世界は進んでいます。
我々世代ですと京都議定書が記憶にありますが、世界的にCO2削減を取り決めても一向に減少せず増加の一途を辿っていました。
風力発電や太陽光発電なども行われていますが、まだまだ化石燃料に頼った発電が世界の中心となっています。
しかし、そのような流れに一石を投じることが期待されているエネルギー源として水素が注目されています。
水素は酸素と結合して水ができる過程でエネルギーが発生するのです。水素は発電以外にも様々な用途があり、関連事業の規模は莫大となります。
そんな水素関連ビジネスを行なっている企業に投資する投資信託としてグローバル水素株式ファンドが組成されています。
本日はグローバル水素株式ファンドの特徴を紐解いた上で運用実績や今後の見通しについてお伝えしていきたいと思います。
水素が脱炭素社会の立役者として期待されている理由
では、水素が脱炭素社会の立役者として期待されているかみていきたいと思います。
魅力①:枯渇リスクがない
石油や石炭や天然ガスなどの化石燃料は将来の枯渇リスク懸念されています。
しかし、水素は水を原料に製造できます。さらに水素と酸素からエネルギーを発電する際に水が生成されるので枯渇するおそれはありません。
また、水素は余った電力で水を電気分解することで水素を製造し、水素として貯蔵することが可能となり貯蔵可能ということも大きな魅力です。
魅力②:活用できる事業が幅広い
水素は宇宙ロケットや燃料電池車などにも幅秘匿活用されています。
以下の通り、「製造」「製造施設」「貯蔵・輸送」「水素を活用した関連事業」と様々な経済圏を広げています。
結果として産業全体での水素の需要は2050年には2020年の10,000倍になることが想定されています。
まさに可能性は無限大に広がっているのが水素関連ビジネスというわけです。
構成上位銘柄
2022年10月末時点での構成上位銘柄は以下となります。
銘柄 | 比率 | カテゴリー | 概要 |
CHART INDUSTRIES INC | 5.6% | 運ぶ貯める | 貯蔵用聞きを製造する金属機器メーカー。真空断熱格納器、熱交換器、コールドボックスに特化し水素の配送と貯蔵分野で事業を伸ばしている |
PLUG POWER & CHEMICALS | 5.4% | 使う | 燃料電池システムメーカーで世界有数の燃料電池モビリティ運営会社の一つ。大規模な水電解装置の提供とグリーン水素プラントや水素ステーションの運営を開始予定 |
KBR INC | 5.4% | 運ぶ貯める | 科学・技術・エンジニアリングソリューションを提供 |
WORLEY LTD | 5.3% | 運ぶ貯める | 資源およびエネルギー分野のエンジニアリング会社 |
LINDE INC | 4.6% | つくる | 産業ガス供給会社で売上高世界上位 |
AIR PRODUCTS | 4.3% | つくる | 産業ガス供給会社で商用向け水素の売上高世界首位 |
BLOOM ENERGY | 4.3% | 使う | 固定参加燃料電池の固定型発電システムメーカー |
AIR LIQUIDE | 3.9% | つくる | 産業ガス供給会社で売上高世界上位 |
SCHLUMBERGER LTD | 3.8% | 運ぶ貯める | エネルギーサービス会社。 |
COMMINS INC | 3.7% | 使う | エンジンメーカー。既存のディーゼルエンジンと天然ガスエンジン事業の延長として水電解事業を展開 |
正直、米国株投資をしている筆者でもPLUG POWERしか聞いたことがないです。
かなりマイナーな銘柄群に投資しているということがわかりますね。
実際、中型株の比率が多くなっています。
比率 | |
超大型株(500億ブロック 以上) | 21.7% |
大型株(100億米ドル以上500億米ドル未満) | 26.7% |
中型株(20億米ドル以上100億米ドル未満) | 39.8% |
小型株(20億米ドル未満) | 9.2% |
為替ヘッジはなし
為替ヘッジはありません。つまり円安が進行すれば基準価額は上昇し、円高となれば基準価額は下落します、
2022年は年初からドル円は115円から152円まで30%以上、ドル高円安が進行しました。
これは米国がインフレを抑え込むために金利を引き上げ日米金利差を拡大させてきたことが要因です。
しかし、ここから米経済のインフレと利上げによる失速が鮮明化すると金利は下落していきます。
つまり、日米金利差はこれから縮小に転じるのです。結果としてドル円も急激に下落していきます。
H2の基準価額の下落要因となるのです。
グローバル水素株式ファンドの運用実績と利回り
グローバル水素株式ファンドの運用実績は以下となります。1年経過して元の価格に戻ってきた感じですね。
そして重要なのは、上記はあくまでドル円が30%上昇した追い風を受けての結果であるということです。
残念ながら株価自体は大きくマイナスであるということになります。
そして、ここから円安は一転して円高調整へと傾きます。逆風が吹き荒れる中でしっかり株価自体をあげていけるかが重要になってきます。
ちなみに円建のS&P500指数と比較したのが以下となります。
青;グローバル水素株式ファンド
赤:S&P500指数(円建)
円建のS&P500指数に大きく劣後していますね。アクティブ投信としてはイマイチの結果といえます。
掲示板での口コミや評判
全然上昇しておらず、掲示板も盛り上がっておらず、期待と落胆が混在していました。
口コミ①
まだこれからの分野だからジワジワと上がっていって欲しいね。
口コミ②
とーぶん上がらんよ。
今後の見通しは不透明
このようなテーマ型の投信は盛り上がる時は急激に上昇しますが、ブームが終わると基準価額は暴落していきます。
当サイトで以前お伝えした以下のテーマ型投信も盛り上がったあと暴落しています。
関連
また場合によってはブームも到来せず、ずっと低迷することもあります。
テーマ型投信をするのであれば盛り上がり始めてから投資を行い、ある程度上昇したら利確することをおすすめします。
どのような局面でも安定的なリターンが狙える投資先については以下でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。