筆者は初めは投資信託を中心に運用していましたが、現在はヘッジファンドを始めとした長期複利運用を徹底しています。
長年の投資経験からこのスタイルに辿り着きました。ポートフォリオの中でも、最も投資額が大きいのがヘッジファンドとなります。(ポートフォリオ内容は以下の記事群で触れています)
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ただ、ヘッジファンドという言葉を聞いても、日本でもまだ黎明期故に、いまいち想像がつきにくいですよね。
今回の記事では、お馴染みの投資信託とヘッジファンドを比較する形でヘッジファンドとはどのような組織体なのか?を深掘りしていきたいと思います。
ヘッジファンドと投資信託の違い(簡易表)
簡易的に違いを述べると以下の通りです。
ヘッジファンド | 投資信託 | |
1.出資の募集と対象 | 私募(50人未満の投資家あるいは省令で定められた適格機関投資家) | 公募(不特定多数の投資家) |
2.運用方針 | 絶対利益追求型で、相場環境に関わらずリターンを追求する | 投資信託ごとの運用方針に基づき決定される |
3.投資戦略 | ・ロング・ショート ・アービトラージ ・イベントドリブン ・マルチストラテジーなど |
・インデックス運用(指数連動) ・アクティブ運用(指数を相対的に超える目標) |
4.投資コスト | ・管理手数料(保有期間中) ・成功報酬(運用成果が出た時) |
・購入手数料 ・信託報酬(保有期間中) ・信託財産留保額(解約時) |
5.換金可能な時期 | 3ヶ月、半年、1年に1度など 期間が限定されている | 休場日を除くほぼすべての日 |
6.最低投資額 | 1000万円~数億円 | 少額(100円~1万円程度) |
ここからはさらに大きなポイントを深掘りして書いていきます。
「公募・私募ファンド」投信とヘッジファンドは募集形態が異なる
「ヘッジファンド」と「投資信託」はファンド形態であるという点においては同じです。
「ファンド」とは投資家から資金を集め、株式市場を始めとしたマーケットに投資を行います。市場で獲得した利益を出資者に出資額に応じて分配します。
その分配方法が配当である場合もあり、またキャピタルゲインである場合もあります。
- ファンド・・・投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や 債券 などに投資・運用する
- 公募ファンド・・・一般的な投資信託。公に個人投資家を募集(少額投資の大衆向け、テレビでよくCM流れる)
- 私募ファンド・・・ヘッジファンドやPEファンドなど公に投資家を募集しない(機関投資家、富裕層向け商品)
ヘッジファンドと投資信託ではファンドという点では共通していますが、ファンドの形態が異なります。
投資信託とは?
投資信託は公募ファンドと言われるファンドです。第一種/第二種金融商品取引業や投資助言・運用業者としての登録を金融庁に対して行っております。
金融庁から運用方法に厳しい規制を適用される代償として公に募集宣伝を行うことを許可されています。
皆さんが金融機関の窓口やネット証券を通じて投資信託を購入することが出来るのは、投資信託が公の募集を許された公募ファンドである為なのです。
金融庁の規制を受けると、空売りやレバレッジを掛けた運用が出来なくなりますし、投資対象を株から不動産といったように変更することも出来ません。
これは非常に難しく、例えば新興国株特化投資信託であれば、新興国株しか買えないわけです。
しかし、マーケットは常に流動的です。
気づけば新興国株の旬は終わり、先進国株が旬になり、など臨機応変な対応をしないとリターンを獲得するのは難しいです。
誰がコロナショックを想像できたでしょうか?誰がウクライナとロシアが戦争を始めロシア株が暴落することを読めたでしょうか?投資信託は逃げ切れません。このような柔軟性のある運用が制限されています。
また、投資信託は投資ポジションをほぼフルインベストしている必要もあり、これだけでマーケットに於ける勝率はかなり低くなっていると思われます。
ヘッジファンドとは?
一方、ヘッジファンドは金融庁に対する登録を行わないファンド形態です。
投資信託と異なり、相場に連動して自由に運用を行うことが出来ます。しかし、その代償として公にファンドの募集をかけることは出来ないという欠点があります。
またヘッジファンドは出資者を募集できる人数に500人未満といった上限が設けられており、評判と直接の紹介等を通じて富裕層を中心に高い最低出資額を設けて出資を受け入れています。
500人が1人10万ずつしか出資しなかったら、5,000万円しか集まりません。5,000万円では規模を活かしたダイナミックな投資ができません。
ダイナミックな投資とはつまり、資本市場であらゆる戦略が取れないということです。100万円の投資で10%のリターンは10万円ですが、1億円の10%リターンは1000万円です。
この単純なる規模の話もバカにできませんが、それ以外にもアクティビスト活動など、株式銘柄の大量保有などで株主としての影響力を持ち、経営助言し株価上昇施策を打つなどの戦略もあります。
そのため、1人あたりの最低出資額を海外の著名ファンドでは少なくても1億、私の投資している国内のヘッジファンドでは1,000万円と設定しております。
欧米に比べればまだ良心的な最低出資額ですし、今後はさらに最低出資額は引き上げられる可能性もあります。
ヘッジファンド型投信はまだ運用実績が少ない、判断できず基本は投資しない方が良い
ヘッジファンド型投信も最近は増えましたが、まだまだ運用実績が少なく判断が難しいです。
ヘッジファンドのようなファンドではファンドマネジャーの過去の運用リターンで実力を測ることになります。
長期であればあるほど良いのですが、国内には長期で運用している先がほぼなく、基本的には見送るのが正解でしょう。
将来はわかりませんが、そもそもヘッジファンド型で運用しているのはサラリーマンファンドマネジャーであることには変わりないですね。
実際は、ヘッジファンド型には十分な運用履歴と運用実績のあるファンドが少なく、債券代替の投信といってもまだ「候補の候補」くらいの段階でしかない。その中で低リスク、かつ日本株投信と低相関だったのは「マイ・ウェイ・ジャパン」や「ロボット戦略Ⅱ 世界成長戦略ファンド」など、そして先進国株投信との相関が相対的に低かったのは「マクロ・トータル・リターン・ファンド」などだった。これらの投信についてはしばらく運用成績を観察したい。運用会社はぜひとも頑張って、債券代替のいいファンドを育ててほしいと思う。
投資失敗の末路とならないように、安易な投信選択はやめよう
筆者はさまざまな投信を分析してきましたが、どうしてもこれだ、という商品は見つかりませんでした。
過去に調べた投信は以下にまとまっていますので、参考にしてみてください。
投資信託を散々分析して、結局ヘッジファンドに落ち着いたわけですが、それはリサーチを始めて長い道のりでした。しかし、最終的には良い投資に巡り合えたと思っています。
筆者が投資信託ではなくヘッジファンドを選んでいる理由は以下です。
投信とヘッジファンドは「責任」を負う範囲が異なる
上記で述べた通り、投資信託はあらあじめ投資する分野が定められています。
例えば、中国株投資信託と謳われた投資信託であれば投資分野は中国株に限定されます。
そして中国株の市況が悪ければ、中国株に投資を行っている当該投資信託の成績が悪くても咎められることはないのです。
つまり投資信託を選ぶということは、投資をする分野を「個人投資家自身が自分で」選ぶということを意味しているのです。
一見プロに投資を任せているように思ってしまいますが、その実自分で一番重要な投資分野を選ばなければいけないのです。
一方、ヘッジファンドに出資する場合はヘッジファンドが取る戦略については個人投資家が選択をする必要があります。
しかしヘッジファンドは一旦戦略を選択したら、どのような市況環境であっても収益獲得を目指す絶対収益型の投資ファンドとして知られています。
例えリーマンショックのような全てのマーケットが沈むような状況においても、損失をミニマイズして収益獲得を狙うことが求められるのです。戦略云々の話ではなく、ヘッジファンドはとにかく「結果」が求められます。必死に、結果を出さないとならないという起業家精神旺盛な投資家がヘッジファンドではマネジャーを担っています。
投資信託とはプレッシャーが異なりますし、また投信でファンドマネジャーとして結果を出してきた人が独立し相場に立ち向かっている時点でその質は大きく異なります。
まとめると、投資信託が市況のせいと言い逃れできるのに対して、ヘッジファンドは収益獲得そのものに責任を持っているので言い訳が出来ないファンドであるということができます。
実際に「ヘッジファンドの帝王」とよばれ17兆円規模の資金を運用しているブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏は、市場平均に対してプラスのリターンを出すことがヘッジファンドの本質的な価値であると明言しています。
レイ・ダリオといえば以下の経済の仕組みの説明動画があまりにも有名です。
東京大学の経済学部生も、この動画で経済を学んだというくらい、非常にわかりやすい説明がされているのでおすすめです。
話を戻しますが、投資をする上で、市場平均のリターンでよければ、市場平均に連動するパッシブ型の投資信託かETFを購入すれば良いだけです。投資成果に拘るのがヘッジファンドの特徴であるということが出来るでしょう。
個人投資家の希望に沿った運用形態と言えます。
手数料形態が異なり、ファンドマネジャーの意欲に差がある
ヘッジファンドと投資信託では根本的にことなります。
共通点はどちらも購入時の購入手数料がかかるという点です。
投資信託には「ノーロード」という購入手数料がかからないものもあります。
しかし、一般的には購入時に手数料は発生します。アクティブ投信なんかは必ずかかります。
手数料がかからないのはインデックス(パッシブ)投信ですね。
購入手数料以外にも信託報酬があります。これは毎年、投資資金全額に対して何%という手数料形態です。
例えば信託報酬が年率2%であれば、1,000万円を預けた場合年間の手数料は20万円になります。
一方ヘッジファンドの手数料形態は成功報酬型の手数料形態となります。
つまり、例えば30%の成功報酬型ということであれば、1,000万円を1,300万円に増加した場合300万円の30%つまり90万円が成功報酬の手数料となります。
さて、この二つを比較して投資信託の方が手数料が少なそうだなと考えられた方が多いのではないのでしょうか。
確かに大きな利益をあげたときにはヘッジファンドへの手数料は大きくなりますが、成績が悪く元本割れした時の成功報酬手数料は発生しません。
一方投資信託は信託報酬2%とすると1200万円に増やしたら24万円と少ないですが、800万円に減ってしまった場合も16万円の信託手数料が発生するのです。
ここから分かる通り、ヘッジファンドは成果に責任を持っているのに対して、投資信託はいくらの資金を投資家から集めるかに躍起にならざるを得ないという違いが読み取れます。
貴方が、ファンドマネージャーになったと考えてください。
獲得したリターン次第で報酬が変動するヘッジファンド。
獲得したリターンに関わらず報酬が変わらない投資信託。
後者では、モチベーションがそもそも大きく違ってくるのがご理解いただけるかと思います。
重要なのは手数料をいくら支払うかではありません。
どれだけ資産を増やしてくれるかということです。本質を見失わないようにすることが重要です。
人材の違い(サラリーマンorプロフェッショナル)
投資信託はサラリーマンとして資産運用会社に入社した新卒社員が経験を積んで、ファンドマネージャーになるケースが殆どです。つまりサラリーマンファンドマネージャーということですね。
サラリーマンファンドマネジャーの顧客は出資者ではありません。上司です。必然的に運用は上司の方を向いて実行することになりますが、こんなことで高い運用リターンが出るはずがありません。
怒られない(左遷されない)ための運用ですから、周囲の投信の成績と同じくらいであれば良いわけです。そもそも固定給なのですからやる気が出るわけがありません。
一方、ヘッジファンドは外資系の金融機関などで経験を積み、確かな実績をもった優秀な方が独立をしてファンドマネージャーとなるケースが殆どです。つまりヘッジファンドのマネージャーはファンドマネージャーであると同時に経営者でもあるのです。
投資信託のファンドマネージャーがスペシャリストではないサラリーマンであるのに対して、ヘッジファンドのファンドマネージャーは資産運用のスペシャリストなのです。
またモチベーションの問題としてファンドマネージャーは利益を出すか損失を出すかで、成功報酬手数料の違いが出てくるので大きく収入に影響が出てきます。
損失を出しても首にならず、給料もあまり変わらないファンドマネージャーと生活がかかっているヘッジファンドのマネージャーではマーケットに向き合う真剣さも自ずと異なってくるでしょう。
さらにヘッジファンドのマネージャーとファンドの社員は自分の資金もヘッジファンドに入れているケースも多いです。
ファンドマネジャーの確かな腕に引かれて入社する場合がほとんどだからです。
つまり、ファンドを運営している全員が同じ船に乗っている状態です。
ファンドマネジャー以外の社員も機関・富裕層投資家と同じ目線で真剣に取り組んでおり、例えばファンドマネジャーのためにリサーチ、投資先企業への資本政策助言材料集めなどサポート業務は多岐に渡ります。
資金を預ける側としても、同じ立場でマーケットに向き合っている方に大切な資金を預けたいですよね。
まとめ
あらゆる面でヘッジファンドの方が投資信託よりも収益を挙げることに特化したファンド形態であるということができます。
日本の市場平均に対してプラスのリターンを追求するアクティブ型の投資信託は、手数料を含めるとマイナスのリターンが半数を以上を占める低品質なもので、投資信託への投資は指数に連動したものに限定した方がよいでしょう。
ヘッジファンドが投資信託に秀でている部分について今回は触れましたが、実際にヘッジファンドを選ぶ場合の基準についても以下の記事で記載しているので参考にしてみてください。
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