中国株に投資する評判の投資信託「HSBCチャイナオープン」を徹底評価!

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中国株に投資する評判の投資信託「HSBCチャイナオープン」を徹底評価!

中国は今後最も期待できる新興国の株式市場であると考えています。

 

【2023年】中国経済の今後の見通しはどうなる?終焉と謳われた過去を払拭し中国製造2025でハイテク産業重視にシフトしてGDPで世界の覇権を握る!

 

日本でも中国株に投資を行う投資信託が多く販売されています。

 

香港市場を通じて日本人投資家でも中国銘柄を購入できるので投資信託が組成しやすいのも影響しています。

今回はその中の一つ「HSBCチャイナオープン」について以下の点を中心にお伝えしていきたいと思います。

✔︎ HSBCチャイナオープンの概要
✔︎ 特徴と過去のリターン

 

HSBCチャイナオープンの特徴とは?

ではまずHSBCチャイナオープンの特徴についてお伝えしていきたいと思います。

ファンド・オブ・ファンズ形式で運用

HSBCチャイナオープンは以下の2つのファンドに分散して運用しています。

HSBCチャイナオープンの運用の仕組み

チャイナ
マザーファンド
中国国内で事業活動を行うものの登記が中国本土以外の国の企業を投資対象としています。つまり香港のH株やレッドチップなどが主な投資対象ということになります。
中国A株
マザーファンド
中国の本土で事業を行い中国本土で上場している銘柄に投資しているETFに投資しているファンド。

参照:中国株式市場は割安で投資する機会が到来!A株、B株、香港H株、レッドチップなどの違いについてもわかりやすく解説する。

 

つまり、HSBCチャイナオープンは上海市場・深セン市場や香港市場に上場している中国企業全般に投資している投資信託ということになります。

ただ、現在は殆どチャイナマザーファンドとなっており、中国A株マザーファンドは0.6%となっています。

今は殆どチャイナマザーファンドのみに投資していると考えておけば問題ないでしょう。

信託財産の構成

 

チャイナマザーファンドの構成上位銘柄と業種別構成比率

ではまずチャイナマザーファンドの構成上位銘柄と業種別構成比率についてみていきましょう。まずは構成上位銘柄です。

順位 銘柄名 業種 構成比率
1 テンセント ソフトウェア 9.7%
2 アリババ ソフトウェア 9.1%
3 美団 小売 3.9%
4 中国平安保険 保険 3.6%
5 中国建設銀行 銀行 3.2%
6 バイドゥ ソフトウェア 3.2%
7 トリップ・ドットコム・グループ 小売 3.1%
8 網易 ソフトウェア 3.0%
9 併多多 小売 3.0%
10 藥明生物技術 医薬品 2.6%
構成上位10社合計 44%

 

BATHと言われるテックジャイアンとが構成上位を占めています。

B:バイドゥ
A:アリババ
T:テンセント
H:ファーウェイ

業種別構成比率は以下の通りとなっています。やはり中国自体がハイテク化が進んでいることもあり、ソフトウェアの比率が高くなっています。

 

セクター構成

 

構成比率
ソフトウェア 27.2%
小売 12.6%
医薬品 7.5%
資本財 7.4%
食品 7.1%
銀行 4.9%
その他 32.6%
キャッシュ等 0.60%

 

中国A株マザーファンドの構成銘柄

今は全体の0.6%しか組み入れていないので中国A株マザーファンドの影響は少ないのですが、中国A株マザーファンドは殆どi Shares MSCI チャイナA UCITS ETFとなっています。

iシェアーズ MSCIチャイナA UCITS ETF 92.2%
iシャアーズ FTSE China A50 Index ETF 1.5%
キャッシュ等 6.3%

 

分配金を年一回拠出

HSBCチャイナオープンは分配金を毎年1回拠出しています。以下の通り基準価格が上昇するにつれて分配金が増加してきています。

HSBCチャイナオープンの分配金の推移

 

現在の基準価格31,000円から考えると、今の分配金利回りは約3.5%という水準となっています。

ただ、後でお伝えしますが本当に高いリターンを追従するのであれば分配金をださすに運用した方がよいのです。

分配金を一度拠出すると20%の税金が支払われるので最終的なリターンが大きく毀損することとなるのです。

購入手数料と信託手数料ともに高い水準

投資信託には購入時に発生する購入手数料と毎年年率で発生する信託手数料が存在します。HSBCチャイナオープンの手数料は以下となります。

購入手数料:3.3%(税込)
信託手数料:年率1.9789%(税込)

インデックスに対してプラスのリターンを狙うアクティブ型の投資信託の中でも高い水準となっています。

HSBCチャイナオープンの運用成績!

では肝心の運用成績についてみてきましょう。以下は運用開始来のHSBCチャイナオープンのチャートです。

HSBCチャイナオープンの運用実績

 

上記の赤は分配金を再投資した場合のリターンです。分配金を税金を支払う前に再投資した場合のリターンですので、実際は赤の通りにはいきません。

つまり分配金を出さなかった場合のリターンが赤ということです。

実際には分配金に対して20.315%の税金がかかるので投資家がえるリターンは黒と赤の間になります。

実績をデータとしてみると以下となります。

 

1年 3年
(年率)
5年
(年率)
10年
(年率)
トータルリターン -6.12% -0.24% -1.74% 6.40%
標準偏差 29.45 24.25 22.92 22.99
シャープレシオ -0.21 -0.01 -0.08 0.28

 

10年間の年率リターンと標準偏差から今後1年間で予想されるリターンは確率毎に以下の範囲に収まることが見込まれます。

確率毎のリターン

【68.2%の確率】
△16.59%(6.40%-22.99%) 〜 29.39%(6.40% + 22.99%)

【95%の確率】
△39.58%(6.40%-22.99%×2) 〜 52.38%(6.40% + 22.99%×2)

【99.7%の確率】
△62.57%(6.40%-22.99%×3) 〜 75.37%(6.40% + 22.99%×3)

 

非常にリスクが大きくリターンは小さいので割に合わない投資となっています。

正直おすすめしませんが、念のため新興国株指数、中国株指数や他の中国の投資信託とリターンを比べていきたいと思います。

 

上海総合指数と香港ハンセン指数と比較

まずは中国の株価指数である上海総合指数と香港ハンセン指数との比較を通じて成績をみていきたいと思います。

以下は10年間の運用成績の比較です。

青:HSBCチャイナオープン
赤:上海総合指数
緑:香港ハンセン指数

HSBCチャイナオープンと上海総合指数と香港ハンセン指数のチャート推移

 

香港ハンセン指数に比べると大幅にプラスのリターンをだしていますが上海総合指数にはやや負ける結果となっています。

長期で見るとまずまずの結果となっています。ただここ半年の結果も合わせてみてみましょう。

この半年のHSBCチャイナオープンと上海総合指数と香港ハンセン指数のチャート推移

 

今度は、上海総合指数と香港ハンセン指数の両者に大幅に負ける結果となっています。

HSBCチャイナオープンは一時期は指数を大きく上回る結果を残していましたが、直近では大きく下落してしまいました。

この大きな要因としてはHSBCチャイナオープンがハイテク銘柄を多く取り入れていることが挙げられます。

このようにハイテク銘柄に投資すると良い時は良いのですが、悪い時は悪くなかなか安定しない投資となってしまいます。

 

他の中国投資信託と比較して評価

では他の中国株投資信託とリターンとリスクを比較していきたいと思います。中国投資信託として同じ分類の以下の投資信託と比較したものが以下です。

 

  • 三菱UFJチャイナオープン
  • 三井住友・ニューチャイナファンド
  • 中華圏株式ファンド
  • MSCI中国指数

HSBCチャイナオープンと他の中国投資信託の比較

HSBC
チャイナ
オープン
三菱UFJ
チャイナファン
三井住友・ニュー・
チャイナ・ファンド
中華圏株式
ファンド
(毎月分配型)
トータル
リターン
1年
-6.12% -5.47% -7.12% -4.85%
トータル
リターン
3年(年率)
-0.24% -1.14% 2.51% 2.73%
トータル
リターン
5年(年率)
-1.74% -0.99% -0.55% 1.37%
トータル
リターン
10年(年率)
6.40% 6.93% 6.81% 6.51%
標準偏差
1年
29.45 33.70 29.75 23.32
標準偏差
3年
24.25 26.73 23.78 20.43
標準偏差
5年
22.92 24.34 22.03 20.81
標準偏差
10年
22.99 22.08 21.10 21.21

2023年3月末現在

 

値動きを見ていただければわかるとおり、殆ど同じ動きとなっています。

特に10年リターンを見るとほぼ一緒ですね。特段どのファンドが優れているというわけではなく横一線となっています。

ただ、どのファンドも値動きの荒さを示す標準偏差が大きいので最大△40%程度のマイナスを覚悟する必要があります。

 

筆者は中国株式市場を今一番魅力的な投資対象であると考えています。

ですが、だからといって安易に中国株の投資信託で運用すれば良いという訳ではありません。

投資信託はハイテク株などのリスクが大きい銘柄にメインに投資してしまうので、運任せになってしまう部分もあります。

中国株に投資するなら、プロの目線で銘柄選定ができるヘッジファンドがおすすめです。

 

以下でヘッジファンドを含めた魅力的な中国株式に投資する投資信託について纏めています。

 

【2023年】中国株式に投資するおすすめの投資信託をランキング形式で発表!

 

まとめ

HSBCチャイナオープンにつうてまとめると以下となります。

 

ポイント

  • ファンド・オブ・ファンズ形式で運用
  • 殆どは中国本土に登記していない中国本土で事業を行なっている会社に投資
  • BATHなどのテックジャイアントに多くの比率を割いている
  • リターンは指数にまさっているが他の投信と同様の動き
  • 標準偏差(=リスク)が大きいのが難点

 

悪くはないですが、あえて新興国株式の中心に添える内容ではないかなと筆者は評価します。

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

depression

 

資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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