高分配利回りが掲示板の口コミで評判のリート投信「J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)」を徹底評価!今後の見通しは魅力的?

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高分配利回りが掲示板の口コミで評判の「J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)」を徹底評価!Jリートの今後の最新の見通しは?

2022年12月11日

前回、東証J-REIT指数に連動することを目的としたJ-REITのインデックス投信を分析しました。

→ 高い分配利回りに要注意!ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)の今後の見通しは?掲示板での評判などを含めながら徹底評価!

 

今回紹介するのはアクティブリート投信です。取り上げるのはJリート・リサーチ・オープン(毎月決算型)です。

今回はJリート・リサーチ・オープン(毎月決算型)がどのようなリート投信かお伝えした上で、今後の見通しについても分析していきたいと思います。

 

そもそもリート(=REIT)とは?

そもそもリートとは、どのようなものなのかという点についておさらいします。

REITは「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとったもので直訳すると不動産投資信託ということになります。

米国では1972年にリートが組成されましたが、日本では2001年にJ-REITが初めて上場されました。

 

J-REITを活用することで個人投資家が購入できないオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産に分散投資をすることができます。

 

不動産投資信託(REIT)とは

 

通常の上場企業は利益に対して法人税を支払い、事業拡大のための内部留保を残した上で配当を行います。

リートの場合は得られた利益の90%以上を分配することで免税にすることが可能となります。

そのため、リートでは利益の殆どを分配するので分配利回りが高くなります。

 

リートが免税となる仕組み

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の特徴

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の特徴についてみていきたいと思います。

Jリートに分散投資をするアクティブ投信

J-REIT・リサーチ・オープンはインデックス投信ではなく、厳選したJリートに投資してアクティブなリターンを狙うアクティブ投信です。

→ アクティブ型とパッシブ型(=インデックス型)の投資信託の違いとは?どちらのファンドがおすすめか徹底比較。現実を知っていれば大損地獄も回避可能

 

三井住友トラスト基礎研究所がスクリーニングした上で、三井住友トラスト・アセットマネジメントが最終的に銘柄を吟味しています。

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の銘柄選定プロセス

 

三井住友トラスト基礎研究所は不動産に関する専門の調査・研究機関として1988年に設立された専門機関です。

長年の不動産関連リサーチの蓄積を基礎に不動産投資の評価分析に関する研究をおこない独自のコンサルティングを展開しています。

 

用途別の組入比率

2023年6月末時点でのJ-REIT・リサーチ・オープンの用途別組入比率は以下となります。

用途 組入比率
総合型 61.40%
オフィス特化型 17.26%
物流特化型 10.84%
住居特化型 6.78%
商業施設特化型 1.73%
ヘルスケア施設特化型 1.34%
ホテル特化型 0.65%

 

構成上位銘柄

同じく2023年6月末時点での構成上位銘柄は以下となります。予想配当利回りは4.31%となっています。

構成銘柄 比率 予想配当利回り
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 5.73% 3.53%
積水ハウス・リート投資法人 5.62% 4.52%
ヒューリックリート投資法人 5.38% 4.32%
平和不動産リート投資法人 5.33% 4.33%
日本プライムリアルティ投資法人 4.71% 4.36%
NTT都市開発リート投資法人 4.02% 4.67%
大和ハウスリート投資法人 3.91% 4.06%
森ヒルズリート投資法人 3.85% 4.50%
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 3.68% 4.39%
アクティビア・プロパティーズ投資法人 3.67% 4.65%

 

2022年10月末からの異動は以下です。上位の順位が少し上下していますが、大きくは変わっていません。

3月からは順位は変わっているものの顔ぶれは全く同じです

 

2023年6月 予想配当利回り 2023年3月末 予想配当利回り 2022年10月末 予想配当利回り
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 3.53% 平和不動産リート投資法人 4.10% ケネディクス・レジデンシャル投資法人 3.78%
積水ハウス・リート投資法人 4.52% ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 4.04% 積水ハウス・リート投資法人 4.21%
ヒューリックリート投資法人 4.32% ヒューリックリート投資法人 4.65% 平和不動産リート投資法人 4.04%
平和不動産リート投資法人 4.33% 積水ハウス・リート投資法人 4.77% ヒューリックリート投資法人 4.00%
日本プライムリアルティ投資法人 4.36% 日本プライムリアルティ投資法人 4.36% 日本プライムリアルティ投資法人 3.84%
NTT都市開発リート投資法人 4.67% NTT都市開発リート投資法人 4.67% 大和ハウスリート投資法人 3.73%
大和ハウスリート投資法人 4.06% 森ヒルズリート投資法人 4.13% NTT都市開発リート投資法人 3.75%
森ヒルズリート投資法人 4.50% 大和ハウスリート投資法人 4.13% 森ヒルズリート投資異邦人 3.74%
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 4.39% アクティビア・プロパティーズ投資法人 4.95% 日本ビルファンド投資法人 3.48%
アクティビア・プロパティーズ投資法人 4.65% ラサールロジポート投資法人 4.01% アドバンス・レジデンス投資法人 3.31%

 

毎月分配型で特別分配金をだしている

名前にも記載されているとおり毎月分配金を拠出しています。2023年5月現在、毎月65円ずつ分配金を出しています。年間ベースだと780円となります。

基準価額が5,661円であることを考えると13.7%の分配利回りとなります。

 

ここで先ほどお伝えしたJ-REIT・リサーチ・オープンの組み入れ銘柄の平均分配利回りが4.31%だということを思い出していただければと思います。

4.31%しか分配利回りがないにも関わらず、13.7%の分配をだすということは元本から払い出しているということを意味します。

つまり信託手数料を支払いながら預金を引き出しているという状態と変わらないのです。このような分配金を特別分配金と呼びます。

 

他にも特別分配金を出している投資信託を当サイトでも分析していますのでご覧いただければと思います。

 

 

手数料(購入手数料/信託手数料)

手数料は以下となります、アクティブ投信としては一般的な水準ですね。

購入手数料:税込3.3%
信託手数料:年率1.1%

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の運用実績

以下はJ-REIT・リサーチ・オープンの運用実績は以下となります。

 

J-REIT・リサーチ・オープンの運用実績

 

J-REIT・リサーチ・オープンは配当金再分配前では参考指数である東証REIT指数に対してアウトパフォームしています。

とはいえ、殆ど同じ動きになっているので、リートによって大きな差がないことがわかります。

そもそも総合型がおおいので、ポートフォリオ自体がインデックスと同等といえるでしょう。

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の持続不可能な分配利回り

前回お伝えしたダイワJ-REITオープンよりは特別分配金は抑えられてはいますが分配金を出した後の基準価額は大きく下落しています。

特別分配金をだしており、経済合理性があるとはいえません。

配当金基準価額はもともと設定されていた10,000円の半分になっています。

J-REIT・リサーチ・オープンの運用実績

現在、毎月65円の分配金をだしているので年間ベースで考えると780円となります。

5000円の基準価額で考えると16%近い利回りになります。過去10年の年率リターンが7.1%であることを考えると明らかに出し過ぎですね。

複利効果も毀損していますし、手数料を支払って元本から払い出されている特別分配金を受け取っているので合理的ではありませんね。

 

理解度の低い掲示板での口コミや評判

以下は掲示板での口コミです。

特別分配金をたしかに課税はされませんが、ただ信託手数料を支払って預金を引き出しているだけです。

普通分配金を出して税金を出す方が通常の状態なのです。

 

口コミ①

ありがとうございます♪
特別分配金から普通分配金になって、嬉しくはなったのですが、普通分配金になると、少し減るもんなんですか?今チラッと調べたら、課税されるとかなんとか、、。

 

購入するのであれば、このかたのように分配金再投資型の方がよいでしょう。

 

口コミ②

対面の証券マンに薦められて分配再投資型にしました!
( ´ー`)y-~~

 

今後の見通しは明るい?暗い?

重要なのは今後の見通しです。以下はポジショントークが入ったJ-REIT・リサーチ・オープンの見通しです。

つまり、良い側面だけが書かれているということです。

 

J-REITの業績は、経済活動の正常化が徐々に定着するなか、都心5区オフィス空室率が概ね横ばいでの推移が続くことが見込まれ、JREIT保有物件への入居の動きも徐々に顕在化していることや、インバウンドに対する入国制限緩和により、宿泊需要や店舗売上の回復 についても徐々に期待されること等から、引き続きJ-REIT全体でみた場合の業績は回復傾向が続くとみています。 J-REIT市場は、今後も米国の金融引き締め動向や国内外のインフレの行方等を確認しつつ、J-REITの相対的な収益の安定性や利回り面の高さ、緩やかな上昇を続ける不動産価格を背景とした資産価値を見直す動きから、底堅く推移する展開を予想します。

月報

 

しかし、マクロ環境は今後悪化していくことが見込まれています。

まず、日本でも発生しているインフレです。欧米の半分ほどではありますが、日本でもコストプッシュ型のインフレが発生しています。

2023年7月時点では日本のインフレ率が米国のインフレ率を逆転してしまっています。

日米のインフレ率が逆転

 

インフレが発生すると長期金利が上昇していきます。

実際、以下のイールドカーブの推移のとおり1年前にくらべると長期金利が上昇をはじめていることがわかります。

日本のイールドカーブの推移

 

更に来年、日銀総裁が交代するタイミングで政策が転換し金利が急騰するリスクも孕んでいます。

金利が上昇すると当然、不動産価格は下落していきます。

 

次にインフレと増税によって日本に不況が訪れようとしていることです。

以下の地価の推移を見ていただければわかりますが、2008年に大きく地価は下落しています。

この時はリーマンショックで世界的な不況が到来しました。不況となると地価は下落していくものなのです。

2000年からの日本の公示地価の推移

金利の側面、経済状況の側面から不動産価格は今後厳しい状況となることが見込まれます。

今後厳しい市場ではなく、いつでも堅実なリターンを狙える投資先で運用を行なっていきましょう。

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

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資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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