アクティブファンドの考察シリーズを続けていきたいと思います。
今回取り上げるのは、SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ「愛称: jrevive」です。
名前が長すぎるのでジェイリバイブとここからは呼びます。
ジェイリバイブ は「ひふみ投信」と同じく高いリターンを出してきたファンドとしてしられています。
どのようなファンドなのか、運用実績はどうなのか、総評として買っていって良い投資信託なのかを考えていきたいと思います。
「SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ」とは?
ジェイリバイブは日本株に投資をするアクティブファンドです。
アクティブファンドとは、代表株価指数をベンチマークとし、その指数を超えるリターンを目指すファンドです。
アクティブファンド | インデックスファンド | |
運用目標 | 指数(インデックス)を上回る | 指数(インデックス)に連動する |
組入銘柄 | 調査や分析を通じて優良な銘柄を厳選 | 指数と同様の構成 |
手数料 | 高い | 低い |
ジェイリバイブは日本株の中でも「中小型割安株」に投資をしますので、より大きなパフォーマンスが狙える確率が高いです。
その代わりに当然リスクも高いはずです。ファンド規模は50億円程度と、ひふみ投信が非常に高いパフォーマンスを実現していた頃を彷彿とさせます。
ファンドの特色は以下の通りで、PEGレシオを意識しているようです。
運用はSBIアセットマネジメントが担当、運用助言はエンジェルジャパン・アセットマネジメントが実施。
エンジェルジャパン・アセットマネジメントが運用主体と考えても良いですね。
ジェイリバイブのポートフォリオ、選定銘柄特性
上位10銘柄は以下となっております。東証一部銘柄がほとんどです。
No. | 銘柄 | 市場区分 | 業種 | 比率 |
1 | SHOEI | 東証一部 | その他製品 | 3.70% |
2 | マークラインズ | 東証一部 | 情報・通信業 | 3.70% |
3 | 東京精密 | 東証一部 | 精密機器 | 3.60% |
4 | 扶桑化学工業 | 東証一部 | 化学 | 3.60% |
5 | くら寿司 | 東証一部 | 小売業 | 3.50% |
6 | システナ | 東証一部 | 情報・通信業 | 3.50% |
7 | デクセリアルズ | 東証一部 | 化学 | 3.30% |
8 | MCJ | 東証二部 | 電気機器 | 3.30% |
9 | サイゼリヤ | 東証一部 | 小売業 | 3.20% |
10 | ホシザキ | 東証一部 | 機械 | 2.90% |
一位のSHOEIの時価総額は1000億円程度、マークラインズは330億円程度、東京精密は2000億円程度、扶桑化学工業は1470億円、くら寿司は1300億円程度となっています。
上位ポートフォリオは中型がやはりメインですね。
サービス業、情報通信業、小売業に比重を置いています。マザーズ銘柄は少なく、堅実な東証一部の中小型銘柄を選定していることがわかります。博打的ではなくて好感できます。
運用実績・パフォーマンスから見るジェイリバイブの見通し
肝心の運用実績を見ていきます。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 5.17% | -0.18% | 6.77% | -4.09% | 7.50% |
2020年 | -23.05% | 17.63% | 9.73% | 8.93% | 8.18% |
2019年 | 11.14% | -0.19% | 2.20% | 12.30% | 27.31% |
2018年 | -4.41% | -2.53% | -0.41% | -24.76% | -30.18% |
2017年 | 11.62% | 15.09% | 11.88% | 12.79% | 62.11% |
2017年の成績が凄まじいことになっていますね。しかし、2018年はチャイナショックに捕まり、その後の反動で2019年は乗り切りましたが2020年、2021年と低迷が続いています。
トータルリターンを見ると10年平均利回りが19.50%となっていますが、完全に2017年の遺産で生きている感じです。
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | |
トータルリターン | 2.09% | -5.44% | -9.41% | 1.30% | 6.48% | 7.10% | 19.50% |
2022年初頭からの株式下落はわかりやすく被弾しており、下落耐性にも不安が残ります。
なかなかコンスタントにプラスリターンを獲得することが難しいことがわかります。
これは「ひふみ投信」と同じ現象がおきていますね。
ひふみ投信も人気となってしまったことで純資産額が急増して、得意の小型株運用ができなくなりパフォーマンスが悪くなりました。
ジェイリバイブも同様に人気がでたことで申し込みが殺到して、思うようにリターンをだすことができなくなってきているのです。
筆者は、まさに「ひふみ投信」や「ジェイリバイブ 」の昔のように高いリターンを出していた小型株運用をしているファンドに投資をしています。
結果として市場下落局面でもマイナスを免れて高いリターンをだせています。以下でまとめていますので参考にしていただければと思います。
【2022年】個人投資家がアクセス可能な日本国内のおすすめヘッジファンドをランキング。個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
話を戻します。今後ですが、2022年は米国の金融引き締めを起点とし、非常に難しい相場になると思います。
ジェイリバイブも割安株で中小型株ということで、下落耐性は強いものかと察しておりましたが、2018年のチャイナショックの被弾などを見ると、強い不安を覚えますね。
2022年も大きくマイナスになっており、今後しばらくは厳しい時代なのかもしれません。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、必要に応じて次回5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で政策金利を0.5ポイント引き上げる用意があると述べた。数日前より積極的なトーンで、インフレ抑制に向けた姿勢を示した。
FOMCは先週の定例会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、2年ぶりにゼロ金利を解除した。FOMC参加者の予測中央値によれば、年内に0.25ポイントの利上げをさらに6回実施することが示唆されている。パウエル議長は5月3、4両日の次回会合やそれより後の会合で0.5ポイントの利上げが選択肢に入る可能性を示唆した。
例えば以下はFederal Funds Rateですが、2020年初頭に急激に金利が下げられ、今も横ばいとなっていますよね。
この時期は小型株は猛烈に上昇します。
以下はFEDのバランスシートです。2020年3月から凄まじい角度で膨らんでいますよね。
これが政府による金のばら撒きです。
無限に株式市場に資金が流入していき、上がってはいけない株式銘柄も沢山暴騰しました。
長年筆者は相場にいますが、投機的に株を買う人にはこれ以上のチャンスはないと言えるくらいの相場でした。
しかしそんな相場も終わりました。上記のような金融緩和で株が上がりやすい時期を金融相場と言います。
金融緩和やカネ余りを背景に上昇する相場のこと。不景気で企業業績が悪化すると株価が下がりますが、景気対策として金融が緩和されると、いわゆるカネ余り状態となり、ダブついた資金が株式市場に流れ込み、不景気の株高現象が生じます。これを「金融相場」といいます。
反対に、金融引き締めで株は全般上がらず、選ばれし銘柄(非常に優れた業績、見通しが良い、不当に割安な)のみが上昇する相場を「業績相場」と言います。割高銘柄は容赦なく売られます。ジェイリバイブが本当に割安銘柄を購入しているのであれば、まずは2022年初頭の下落は被弾しないはずですが、-10%近くのマイナスとなっており、これまでの利益を吐き出しています。
金利等の要因よりも、個別企業の業績拡大を要因として株価が上昇する局面のこと。
2022年以降は相場は読めません。材料が多すぎるので、投資信託のように柔軟な運用が許されないファンドはマイナスを受け入れるしかないかもしれません。
このような時代には、どのような相場でもプラスリターンを目指すヘッジファンド、もしくはインデックスファンドを積み立てすることに徹するなど個人投資家も柔軟性が必要です。
まとめ
ジェイリバイブについて取り上げました。
2022年以降は金融引き締め(金利引き上げ、インフレ高騰、バランスシート縮小)、戦争リスクなどあまりにも材料が多すぎ、シンプルな運用では成果が出ない時期だと思います。
複数年は厳しい時期が続くと思いますので、個人投資家にも柔軟な対応が求められます。