証券会社や金融会社とは関係ない独立系の資産運用会社が運用する独立系の投資信託は数多く存在します。
今回は、鎌倉に本拠地を置く一見変わった運用を行なっている鎌倉投信を取り上げます。
鎌倉は今、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で話題沸騰の地ですね。鎌倉投信の本社は以下です。趣深いですね。
そんな独立系の資産運用会社である鎌倉投信が運用する「結い2101」についてお伝えしていきたいと思います。
鎌倉投信と『結い2101』はどのような投資信託なのか
まず最初に鎌倉投信がそもそもどのような経緯で立ち上げられたのか、「結い2101」はどのような投資信託であるのかという点について紐といていきたいと思います。
鎌倉投信設立の経緯
設立者である現在の社長の鎌田さんはバブル絶頂期である1988年に入社して本社証券部門に配属されたそうです。
11年勤めた後イギリスの大手金融機関グループバークレイズ銀行の資産運用会社に9年在籍して2008年に独立しました。
ただ鎌田氏は長年の運用に携わる経験の中で短期的な利益を追求しなければいけない投資に辟易として、
社会の発展に資するような投資を行いたいと考えて同僚達に声を掛けて鎌倉投信を4人で立ち上げました。
鎌倉投信は名前の通り鎌倉で創業しております。
伝統にあふれ日本で初めて武家社会が確立された革新性を備えた場所として鎌倉を創業の場所として選んだそうです。
結い2101の特徴①:ゆっくりした安定的な資産形成を目差す
近視眼での運用目標ではなく企業の収益の成長に見合った資産形成を行うことを目標にしております。
つまり短期的には資産が減少してしまう可能があるのですが、長期的な資産の形成を目的として運用していくファンドということです。
先ほど申し上げた通り、短期的な利益のみを追求するだけで、本質的な企業の成長を促進させない運用は何か違うと考えて創業されたこともあり、「結い2101」は創業の理念を写したファンドであるということができます。
結い2101の特徴②:値下がりリスクを抑えた運用
日経平均の標準偏差つまり価格のブレ幅がの役半分の9%の標準偏差で結い2101は運用されています。
結い2101は下落リスクを抑えているのですが、原因は高いキャッシュ比率と投資銘柄の規模です。
(2022/6/30)
因みに以下は2022/3時点の構成比ですが、キャッシュ比率がさらに上がっています。
今現状だけ低いというよりは一貫して40%程度のキャッシュ比率を溜まっています。
市場が下落する局面でも損失をミニマイズすることができる作りとなっております。
また結い2101の構成銘柄の規模をご覧ください。
全体の7割型の銘柄が小型株で占められています。
ご存知の通り日経平均株価構成銘柄は日本株の中でも時価総額が非常に高い銘柄のみで構成され、市場の環境が悪くなると大型株を中心として売り崩される傾向にあります。
外国人は主に日経平均先物を取引したり日本でも日経平均連動の銘柄もあることから、日経平均の構成銘柄というだけで特の個別要因がなかったとしても下落します。
しかし、小型銘柄は市場の影響を受けにくいため下落体制が強いのです。
反面勢いよく市場が上昇するときは上昇の割合は大型銘柄に比べて小さくなります。
結い2101の特徴③:テーマ毎に投資銘柄を選定するという曖昧な基準
結い2101は投資先を以下の三つの基準で選別しており、
それぞれ約3分の1ずつ組み入れています。
- 人材を活かせる会社
- 循環型社会を作る会社(共生)
- 日本の匠みな技術や文化をもち感動的なサービスを提供する企業
結い2101の特徴④:組み入れ銘柄(投資先)が分散されている
多くの投資信託や指数でも組み入れ上位銘柄は高い比率となることが多いのですが、結い2101は組み入れ上位銘柄でみても最高位ですら投資比率は1.2%となっています。
以下は2月末時点のポートフォリオですが、1位のソウルドアウト、2位のナガイレーベン、4位の荻原工業、5位のナカニシ、8位のサンエー、9位亀田製菓、10位ホクトと7銘柄もトップ10銘柄が変わっています。かなり抜本的な置き換えであり、一位にはヘルスケア銘柄であるライフネット生命がランクインしています。

2022/02/28
ユーグレナも6位に入ってきており、間違いなく米国起点の不況到来に向けポートフォリオの入れ替えを行なっていることが理解できます。
また業種別構成銘柄も以下のように非常にバランスよく分散されています。なにか特定の業種に偏った分布とはなっておりませんが、化学、サービスと保険業の比率がここ最近では上がっています。

2022/02/28
鎌倉投信『結い2101』の運用成績
それでは結い2101の運用成績について詳しくみていきましょう。
TOPIXと結い2101の年率のリターンの比較表をご覧ください。最終的なリターンである白丸はほとんど同じなのですが最大と最小のリターンのブレ幅が少なくおさまっています。
先ほどの特徴の項でも申し上げた通り、小型銘柄でなおかつキャッシュ比率が高く保たれています。
そのため、大きな下落をせずに安定的にリターンを積み重ねて行っていることがわかります。
さらに分かりやすく著したものが以下の結い2101(青)とTOPIX(赤)のリターンの比較です。
TOPIXに比べて、この10年間大きく劣後する結果となっています。現金比率の高さが影響していますね。
それよりも深刻なのは直近の下落です。現金比率が高くなっているにも関わらずTOPIXよりも下落が激しいのは由々しいことですね。
鎌倉投信『結い2101』の見通し
本来、鎌倉投信は2021年末からの下落相場に強みを発揮するファンドでした。
しかし、先ほどお伝えした通りTOPIXよりも大きく下落しており残念な結果となっています。
今後も株式市場全体としては、金融引き締め、戦争でエネルギーや穀物が高くなっておりコスト高による景気後退が予想されています。そのため、企業利益の見通しは立ちづらく相場全体は厳しい局面が想定されます。
鎌倉投信の株式ポーションの53%は、脆弱な小型株で構成されており脆弱な状況となっています。
小型株投資でもバリュー株投資であれば妙味があるので、鎌倉投信はグロース株銘柄も数多く含まれており危うさを指摘せざるをえません。
一方、現在ある程度株価は下落しているのでチャンスと捉えることもできます。
そのため、現在の環境では仮に下落相場が継続したとしても安全に運用されており、上昇相場に転換した時に大きなリターンが狙えるファンドが有望となります。
以下、筆者が投資しているファンドを含めて、このようなファンドをまとめていますのでご覧いただければと思います。
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鎌倉投信『結い2101』のまとめ
鎌倉投信結い2101は近視眼的な利益を追求せずに長期的な資産形成を目的とする投資信託です。
結い2101はテーマ別に銘柄を選択し、小型銘柄を中心に非常によく分散されております。キャッシュで40%程度を保有しているという特徴があり、下落耐性が低く価格のぶれ幅を示す標準偏差が低く安定運用型の投資信託となっています。
一方リターンは40%程度をキャッシュで置いているということもあり、指数に劣後する結果となっています。2021年からの直近の下落相場では残念ながらTOPIXよりも大きく下落している点が懸念される点です。
リターンも低く、得意の下落耐性も剝落してきていることから筆者としては投資する魅力はないと考えています。