投資信託を色々と調べるのは本当に面白いですね。人気の投信などを調べていると、ファンドが考える未来と、それをどう個人投資家が捉えているかどうかが浮き彫りになります。
当然、最も大事なのはリターンなのですが、やはりAI、ロボティクス、フィンテックなどは投資をしていて面白いわけです。火傷する可能性の方が今は高いのですが・・・。
テーマ株に特化したファンドを選ぶのは難しいですし、何よりも金融引き締めの際には大損を被るという点が資産形成において非常に厄介です。
ここで思い出すべきなのは、本当の資産運用はとてもつまらない、ということです。
つまらないですが、損を出さずにコンスタントなリターンを出す、ということが理想です。
つまり、コンスタントに利益を出すファンドさえ見つけてしまえば、本業などに集中すべきなのですよね、株式相場を専業で張ろう!と考えている人以外は。
蛇足が長くなりましたが、今回はまた投資信託について調べてみたいと思います。
取り上げるのは、「マクロ・トータル・リターン・ファンド」です。
➡︎ 投資信託銘柄考察シリーズ
マクロ・トータル・リターン・ファンドとは?
グローバルなマクロ環境に関する複数のテーマを選定し、当該テーマに沿った投資戦略を組み合わせて運用を行い、絶対収益の追求をめざすファンドとされています。運用は三菱UFJ国際投信株式会社です。
「グローバル」という言葉がこの3年、本当に流行っていますね。以前からも使われている言葉ですが最近は特に異常です。
例えば
など、グローバルだらけですね。世界の株式に目を向けてみようというメッセージでもあるかもしれませんね。
常にテーマ株が流行する中で、グローバルを見渡すとトレンドが多数あり、それを追いかけるファンドが増えているということだと思います。
ただし、テーマ株はテーマ株。トレンドはトレンドです。
世界各国の株式と債券に投資
目論見書を一部抜粋します。
<商品分類>
- 単位型・追加型:追加型
- 投資対象地域:国内
- 投資対象資産(収益の源泉):資産複合
- 補足分類:特殊型(絶対収益追求型)
<属性区分>
- 投資対象資産:その他資産
- 決算頻度:年2回
- 投資対象地域:グローバル(日本を含む)
- 投資形態:ファンド・オブ・ファンズ
- 為替ヘッジ:あり(部分ヘッジ)
- 特殊型:絶対収益追加型
ファンドの目的
日本を含む世界各国の株式、債券およびデリバティブ取引等の幅広い資産を実質的な主要投資対象とし、特定の市場に左右されることなく収益の獲得をめざします。
グローバルなマクロ環境に関する複数のテーマを選定し、投資戦略を組み合わせ運用し絶対収益の追求を目指すということで、完全にヘッジファンドですね。
世界中を見渡してリターンを狙うと。特定の市場に絞らずに投資をするということですね。
JPMグローバル・マクロ・オポチュニティーズ・ファンドに実質的いん投資を行なっている
ファンドの仕組みは以下の通りとなっています。
ファンドオブファンズですので、ファンドマネジャーの手腕というよりも、マクロトータルリターンファンドが選んだ投資信託(つまりJPモルガンと三菱国際投信)のファンドマネジャーの手腕が問われるということですね。
JPモルガンは米国有名証券会社ですね。
◆ J.P.モルガン・アセット・マネジメントは、世界有数の金融サービス会社であるJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー傘下の資産運用部門です。長い歴史における数々の企業再編を経て、豊富な知識、経験、資源をグローバルに共有し、競争力のある情報と投資ノウハウを世界中のお客さまにご提供する実績豊富な資産運用グループです。
テクノロジー銘柄に多く投資するポートフォリオ
ポートフォリオをみていきましょう。
ほとんどの運用をJPモルガンアセットマネジメントに運用を任せています。
資産構成 | 比率 |
JPMグローバル・マクロ・オポチュニティーズ・ファンド(Iクラス)(円建て、円ヘッジ) | 99.20% |
マネー・マーケット・マザーファンド | 0% |
コールローン他(負債控除後) | 0.80% |
合計 | 100% |
JPMグローバル・マクロ・オポチュニティーズ・ファンドの最新のポートフォリオ分配は以下の通りになっています。
これ以上はJPMグローバル・マクロ・オポチュニティーズ・ファンドに投資していないと中身は見えませんが、株式68%、テクノロジー24%と世界中のテーマを追いかけていることがわかります。
特に、北米は当然ボリュームが大きくなりますが、次に日本を除くアジアに積極的に投資をしており(大半が中国と想像)、バランスの取れた構成になっているように感じます。
マクロ・トータル・リターン・ファンドの運用実績
まずは基準価額をチェックしましょう。2022年3月31日現在です。
純資産も右肩下がり、基準価額も2018年以降苦しい時期が続いています。
トータルリターンは以下の通りです。設定来14.13%と相当に厳しい成績です。ここ1年もマイナス運用です。これでは資産は増えません。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) |
トータルリターン | -3.98% | 3.26% | 4.66% |
カテゴリー | -0.86% | 1.45% | 1.11% |
+/- カテゴリー | -3.12% | 1.81% | 3.55% |
ファンド数 | 79本 | 64本 | 52本 |
標準偏差 | 6.57 | 5.67 | 6.41 |
カテゴリー | 7.42 | 8.34 | 8.13 |
+/- カテゴリー | -0.85 | -2.67 | -1.72 |
ファンド数 | 79本 | 64本 | 52本 |
シャープレシオ | -0.61 | 0.58 | 0.73 |
カテゴリー | -0.06 | 0.1 | 0.05 |
+/- カテゴリー | -0.55 | 0.48 | 0.68 |
ファンド数 | 79本 | 64本 | 52本 |
コロナショックの影響がそこまで見受けられないのはもうダウンサイドが埋まってしまってたということなんでしょうか。金融緩和があり米国株は上昇しましたが、マクロ・トータル・リターン・ファンドは2018年初頭の水準には戻っていないですね。
大きなリターンもないものですから、損は出さずに堅くプラスを積み上げていくファンドなのかというと、年間収益率の推移を見るとそうでもありませんでした。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 2.43% | 1.52% | -0.27% | 0.22% | 3.94% |
2020年 | 2.37% | 0.17% | 1.69% | 5.75% | 10.28% |
2019年 | 0.68% | 2.31% | -0.44% | -1.78% | 0.73% |
2018年 | 1.45% | -3.00% | -3.39% | 0.68% | -4.29% |
2017年 | -1.46% | 4.42% | 7.19% | 4.14% | 14.86% |
2016年(ここにはありませんが記憶しています)、2018年にマイナス運用、2017年は14.86%と良い結果ですが、私個人としてはそこまでのボラティリティをファンドに求めたくありません。
2019年は2018年のチャイナショックのリバウンドがあった年ですがそこでも辛うじてプラスに終わる成績と、厳しいです。
投資妙味はあるのか?
正直、6年間のうちマイナスリターンが2回、プラスリターン4回(うち一年微益)となってくると、資産運用にはこの堅実ではない運用は障害になります。
上記でも確認した通り、同じカテゴリーの投信の中でも良い成績ではないので、まずこのファンドを購入することはありません。
➡︎ 投資信託銘柄考察シリーズ