【今が買い時?】三菱UFJの株価はなぜ安い?理由を紐解いた上で今後どうなるかを予想!

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【今が買い時?】三菱UFJの株価はなぜ安い?理由を紐解いた上で今後どうなるかを予想!

三菱UFJは言わずとしれた日本最大のフィナンシャルグループです。

三菱UFJ銀行は東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して2006年1月1日に誕生しました。

今では「三井住友FG」と「みずほFG」と並んで3大フィナンシャルグループとして君臨しています。

 

総資産額は2.3兆ドル(約300兆円)となり世界第9位の規模となっています。

11位が三井住友FG、12位がゆうちょ銀行、18位がみずほFGとなっています。

 

三菱UFJは世界第9位のフィナンシャルグループ

2023年時点

 

ただ、三菱UFJ銀行は誕生以来の高値を超えることができず安い状態で放置されています。

 

三菱UFJの株価推移

参照:Yahoo finance

 

本日は三菱UFJがどのような事業構成となっているのかお伝えした上で三菱UFJの株価が低迷している理由についてお伝えしていきたいと思います。

 

三菱UFJフィナンシャルグループの事業概要とは?

まずは三菱UFJフィナンシャルグループの事業概要についてお伝えしていきます。

グループの構成会社は50を超える

三菱UFJフィナンシャルグループという名前からわかる通り、様々な会社によって構成されています。

当然、銀行だけではありません。有名な企業は以下となります。

 

三菱UFJフィナンシャルグループの代表的な構成会社

  • 三菱UFJ銀行
  • 三菱UFJ信託銀行
  • 三菱UFJモルガンスタンレー証券
  • 三菱UFJ国際投信

 

その他にも海外に様々なグループ企業が存在しています。

銀行、証券、資産運用会社、リース会社など金融に関わる様々な事業に関わっています。

 

事業別利益構成

以下は三菱UFJフィナンシャルグループの構成事業となります。バランスよく分散されていますね。

三菱UFJフィナンシャルグループの事業本部別営業利益

略称 事業名称 事業概要
市場 市場事業本部 金利、為替、株式のセールス&トレーディング業務
GCIB グローバルCIB事業本部 グローバル大企業に対して商業銀行機能、証券機能、投資銀行機能を提供
受託財産 受託財産事業本部 資産運用、資産管理事業
GCB グローバルコマーシャルバンキング事業本部 米国と東南アジアにて現地の中小企業や個人に金融サービスを提供
JCIB コーポレートバンキング事業本部 日本の大企業に貸出、決済、投資銀行機能を提供
R&C 法人・リテール事業本部 国内の個人や法人に銀行機能を広範に提供
DS デジタルサービス事業本部 国内の法人、個人にデジタル金融サービスを提供

参照:MUFGの事業詳細

 

いわゆる銀行が伝統的に行ってきた貸し出しビジネスは法人・リテール事業本部とGCIBとJCIBとGCBで全体の半分以上の利益を上げています。

ただ、GCIBやJCIBはM&A関連の投資銀行事業も生業にしており、単純に預金ビジネスだけではなく高度に多角化されています。

特に2022年は米金利や国内金利が上昇したことが追い風となり利益が堅調に推移したことが読み取れます。

 

その他にもいわゆるトレーディングで稼ぐ市場部門が堅調に利益を上げています。

グローバルに広範な金融機能を提供して安定した収益基盤を築いており、地銀とはまるで別の形態となっています。

 

三菱UFJフィナンシャルグループの業績推移

それでは肝心の業績推移についてみていきたいと思います。

以下は過去10年の業績推移です。今期なんとか過去最高益を達成していますが長い間収益は停滞していました。

三菱UFJフィナンシャルグループの業績推移

決算期 売上高 経常利益 当期利益 EPS
2007/03 6,094,033 1,457,080 880,997 71.1
2008/03 6,393,951 1,029,013 636,624 51.4
2009/03 5,677,460 82,807 -256,952
2010/03 5,040,282 545,697 388,734 31.4
2011/03 4,528,933 646,432 583,079 47.1
2012/03 4,951,095 1,471,991 981,331 79.2
2013/03 4,763,225 1,344,176 852,623 68.8
2014/03 5,176,102 1,694,820 984,845 79.5
2015/03 5,638,402 1,713,001 1,033,759 83.4
2016/03 5,714,419 1,539,486 951,402 76.8
2017/03 5,979,568 1,360,767 926,440 74.8
2018/03 6,068,061 1,462,418 989,664 79.9
2019/03 6,697,402 1,348,043 872,689 70.4
2020/03 7,299,078 1,235,770 528,151 42.6
2021/03 6,025,336 1,053,610 777,018 62.7
2022/03 6,075,887 1,537,649 1,130,840 91.3
2023/03(予想) - - 1,000,000 80.7円

 

直近に控える2023年3月期の純利益の見通しは1兆円としていますが、非常に保守的な数値です。

現状で進捗率は100%を超えており上ぶれることは間違いないでしょう。それは既に市場も織り込んでいると思います。

わかりやすくEPSの推移を表したものが以下となります。

 

三菱UFJのEPS

EPS
Mar-07 71.1
Mar-08 51.4
Mar-09 -20.7
Mar-10 31.4
Mar-11 47.1
Mar-12 79.2
Mar-13 68.8
Mar-14 79.5
Mar-15 83.4
Mar-16 76.8
Mar-17 74.8
Mar-18 79.9
Mar-19 70.4
Mar-20 42.6
Mar-21 62.7
Mar-22 91.3
Mar-23(予想) 80.7

 

三菱UFJフィナンシャルグループの配当推移

三菱UFJフィナンシャルグループは高配当企業としても個人投資家に人気となっています。

配当金は以下の通り累進的に増加していっています。

三菱UFJの配当金の推移

 

配当利回りは2023年4月末時点で3.8%と4%近い水準になっており、そこそこの高配当銘柄となっています。

 

三菱UFJフィナンシャルグループの株価はなぜ安い状態で放置されていたのか?

それではタイトルにもある三菱UFJグループの株価がなぜ安い状態で放置されているのかという点についてお伝えしていきたいと思います。

三菱UFJの株価推移

 

理由としては単純で先ほど見てきた通り、純利益が低迷してきたためです。

ではなぜ純利益が低迷していたのでしょうか?

大きな理由を2つ上げていきたいと思います。

理由①:日本銀行がマイナス金利や量的緩和といった大規模な金融緩和を継続している

利益は多角化しているとはいえ収益の中心は伝統的な貸し出しビジネスです。

預金者から低金利で借りて、住宅ローンや事業会社に高い金利で貸し出すことで利鞘をとるのが伝統的な銀行のビジネスです。

 

しかし、日本は長年デフレスパイラルに苦しんでおり日銀はマイナス金利を実施して量的緩和を行なっていることで長期金利も非常に低い水準となっています。

金利が低いので預金者からほぼゼロ金利で資金調達はできるのですが、肝心の貸し出し金利も低下の一途をたどっています。

調達金利はずっとゼロ近辺で固定されているのですが国内の需要が減っているので貸し出し金利の低下の方が激しく利鞘が低下しつづけていました。

 

日本の銀行の貸し出し金利の推移

 

利鞘が減っているのが基調的な収益の下押し圧力になっていました。上記の図の状況で増益を達成していくのは難しいですよね。

 

理由②:ネットバンクが台頭してきている

近年、楽天銀行やauじぶん銀行などの手軽に解説できて若い世代の店舗型の銀行離れが進んでいます。

楽天銀行は1200万口座を突破して勢いは止まるところを知りません。

楽天銀行の口座数の推移

 

インターネットで完結できる銀行に魅力を感じる世代が増えてきたことはメガバンクや地銀にとっては大きな経営リスクですね。

この影響もあって三菱UFJも支店を統合したり窓口を減らすなどして徐々に対応を進めています。

 

コラム:日本銀行が実施している金融緩和とは?

日本銀行が実施している金融緩和は世界的にも特殊なので、後述する見通しの項目でもお伝えすることになるので簡単に触れておきます。

マイナス金利政策の意図とは?

まず有名なのはマイナス金利かと思います。しかし、これは金融機関が日銀に対して預ける資金の一部にマイナス金利が付与されるというものです。

 

日銀のマイナス金利

参照:ニッセイ

 

金融機関は貸し出ししていない資金を「銀行の銀行」である日銀に預けているので、その一部にマイナス金利を付与しているということです。

要は日銀の講座に資金を預けてないで貸し出しに積極的になりなさいという意図でマイナス金利を実施しているのです。

 

日銀独自の量的緩和政策であるYCC(=イールドカーブコントロール政策)とは?

リーマンショック以降、政策金利がゼロとなっても景気が良くならず先進各国の中央銀行は量的緩和政策を実施してきました。

いわゆるQEといわれる非伝統的金融政策です。政策金利は翌日物などの超短期金利を操作する金融政策です。長期金利は操作していないのです。

QEは国債を購入して長期金利まで引き下げるという政策で、短期金利も長期金利も低く抑えて投資意欲を引き上げようという金融政策です。

 

日本銀行は最初は年間80兆円規模の買い入れを行うという量的緩和を実施してきました。

しかし、2016年からは10年債金利の誘導目標を明示してイールドカーブ全体をコントロールしようとするイールドカーブコントロール政策を取っています。

 

イールドカーブコントロール政策

 

YCC政策と呼ばれているものですね。

ながらく10年債金利を0%〜0.25%が上限と定めていましたが、2022年末に誘導目標が0.50%に引き上げられています。

 

三菱UFJフィナンシャルグループの今後の株価の見通しは明るい?

重要なのは今後の見通しです。筆者は短期的にはポジティブなるも長期的には今と同じく停滞すると見ています。

この理由についてお伝えしていきたいと思います。

短期的に見通しが明るい理由:YCC政策の撤廃が期待されている

まず植田新日銀総裁の元、YCC政策の撤廃が期待されていることが挙げられます。

YCCは従来のQEに対して購入する国債を抑えるステルステーパリングの役割が期待されていました。

しかし、以下ご覧いただければわかる通りYCCが導入された2016年から減少を続けた国債購入額が2022年に急激に増えました。

日銀の月毎の国債購入金額

 

これは世界的なインフレと円安により日本にも押し寄せたインフレを見越して日銀も金融政策を修正するだろうと見越したヘッジファンドの空売りを防衛するために国債を買い占めたことが要因です。YCCで定めた10年債の誘導目標を守るために国債を買って支えたということですね。

しかし、日銀の国債保有比率は既に全体の50%を超え、国債の市場機能が失われると懸念されています。このペースで買い続けるわけにはいかないのです。

さらに日本のインフレは2023年になっても加速しており日銀もYCC政策を解除するという期待が高まっているのです。

 

YCC政策が撤廃されると短期的に長期金利も上昇するので利鞘ビジネスにとってはプラスになります。

利鞘ビジネスを根幹としている三菱UFJフィナンシャルグループにとっては追い風となりますね。実際、このYCC撤廃の期待をうけて昨年末から株価は上昇しています。

 

三菱UFJの株価推移

 

長期的に見通しが悪い理由:世界的に結局低金利に戻っていく

確かに日銀のYCC撤廃により一時的には長期金利が上昇する可能性は高いですが長続きはしません。

理由は世界的な景気後退の足音が近づいてきているからです。

 

2022年は欧米でパンデミック期のバラマキとウクライナ危機によって1970年以来の高インフレが発生しました。

このインフレに対応するため欧米の中央銀行は21世紀で最も早いペースで利上げを行いました。

欧州ではそれでもまだインフレが収まる兆しが見えません。米国では徐々にインフレが徐々におさまりつつありますが、副作用の景気後退が現実的なものになってきています。

発生後1年から1年半で景気後退が発生する兆候とされる逆イールドは既に2022年7月に発生しています。

2022年7月に逆イールドが発生

2022年7月に逆イールドが発生

 

つまり2023年後半から2024年にかけて景気後退が発生する確度が高まっているのです。

景気後退が発生すると景気をささえるために再び金融緩和的な政策が取られます。海外で事業を行なっている三菱UFJフィナンシャルグループには痛手ですね。

 

さらにグローバル化が進展している現代では米国の景気後退は当然、日本にも輸入されます。

日本の景気も悪化して結局またデフレ社会が到来して長期金利も自然とゼロ金利となっていき利鞘は縮小していきます。

中長期的にみると利鞘ビジネスは非常に厳しい環境に置かれることには変わりがないのです。

 

まとめ

今回のポイントを纏めると以下となります。

 

今回のポイント

  • 三菱UFJFGは広範にグローバルに事業を展開
  • 利益は長年低迷していたが直近の世界的な金利上昇の恩恵を受けて上昇基調
  • 短期的にはYCC撤廃によって追い風が期待できるも
  • 長期的には結局は低金利に行き着き厳しい展開が想定される
  • ネットバンクの台頭も脅威

 

結局は商社と同じく景気連動型のビジネスであることに変わりはありません。リターンは安定しないと考えた方が良いでしょう。

→ 人気株!丸紅の株価は今後どうなる?なぜ安い?10年ホールドすべきか、今が売り時なのかを決算結果、配当利回りやPERなど指標から検証

 

以下ではどのような市場環境でも安定したリターンを狙える選択肢についてお伝えしていますのでご覧いただければと思います。

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

depression

 

資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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