今回は配当株ファンドについて取り上げてみたいと思います。配当金は、所謂インカムゲインという定期的に利益が入る、日本人にも大人気の投資法ですよね。
「固定給」感覚で収入を得られるのはやはり嬉しいものなのかもしれません。筆者には全く理解できませんが。
今回は人気投資信託である「ニッセイグローバル好配当株式プラス」を分析してみました。
ニッセイグローバル好配当株式プラスの特徴
それではまず概要から見ていきましょう。
投資対象は好配当株式
投資対象は好配当株式としています。筆者も知らなかったのですが「好配当」とは特に高配当に投資するわけではない場合もあるようです。
目論見書をしっかり読む必要があります。
「好配当」は、ファンドの名称に使われることがある言葉です。やや曖昧な表現ですが、配当利回りを重視しながらも海外に比べて「高配当」とは言えない日本株を投資対象とする場合や、現在の配当利回りだけでなく将来の配当の成長も重視する、といった運用方針である場合に、使われているようです。ファンドの名称に「配当」という言葉が使われていても、運用方針を目論見書でチェックすることが大切です。
好配当と聞くと高配当銘柄に投資するファンドだと筆者は思っていましたが違うそうです。しかしかなり勘違いする人が多いのではないかと思います。
後続でポートフォリオをしっかり見ていきます。
運用プロセス(プレミアムプラス戦略)
「プレミアムプラス戦略」という運用を行っているとのことです。
・オプション取引を活用し、オプション料(プレミアム)収入の獲得により、安定した収益の確保をめざす戦略を いいます。
・主として、オプション取引の満期日に、保有株式が取引開始日に定めた価格(権利行使価格)以上に値上がり していた場合、その価格以上の値上がり益を放棄する見返りとして、オプション料を受取る取引を行います。

<プレミアムプラス戦略の取引例>
正直、小賢しい戦略だなという感想しか筆者は持てないのですが、リターンを出していれば文句はありません。コールオプションの定義は以下です。
ある商品を将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で買う権利のこと。
コールオプションの取引は、買い方(買うことができる権利を買う:ロングコール:Long Call)と売り方(買うことができる権利を売る:ショートコール:Short Call)が同時に存在する。
新規に取引を開始する際には、買い方はプレミアム(オプション価格)を支払い、一方売り方はプレミアムを受取る。その後決済時等に、買い方が権利を行使すると、対象とする商品を権利行使価格で手に入れることができる。一方、売り方はこの権利行使に応じなくてはならない。
後続でリターンは見ていきます。
構成上位銘柄
最新の2023年6月末時点の構成上位銘柄は以下となります。
銘柄 | 国・地域 | 業種 | 比率 |
インテル | 米国 | 情報技術 | 3.30% |
コンチネンタル | ドイツ | 一般消費財 | 3.30% |
モルソン・クアーズ・ビバレッジ | 米国 | 生活必需品 | 3.00% |
パナソニックホールディングス | 日本 | 一般消費財・サービス | 2.80% |
インテーザ・サンパオロ | イタリア | 金融 | 2.80% |
グラクソ・スミスクライン | イギリス | ヘルスケア | 2.80% |
KDDI | 日本 | コミュニケーション | 2.80% |
オランジュ | フランス | コミュニケーション | 2.70% |
スタンダード・チャータード | イギリス | 金融 | 2.60% |
電通グループ | 日本 | コミュニケーション | 2.60% |
日本企業としてはパナソニック、KDDIや電通がランクインしていますね。ただ、これらの銘柄が高配当なのかというと疑問ですね。
ちなみに最新の2022年10月末時点からの構成上位銘柄の推移は以下となります。若干銘柄を入れ替えているのがわかりますね。
2023年6月末 | 2023年3月末 | 2022年10月末 | |
1 | インテル | インテル | インテル |
2 | コンチネンタル | コンチネンタル | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス |
3 | モルソン・クアーズ・ビバレッジ | ブリジストン | スタンダード・チャータード |
4 | パナソニックホールディングス | ハイデルベルグセメント | IBM |
5 | インテーザ・サンパオロ | 電通グループ | ウニクレディト |
6 | グラクソ・スミスクライン | オランジュ | モルソン・クアーズ・ビバレッジ |
7 | KDDI | インテーザ | シェル |
8 | オランジュ | グラクソ・スミスクライン | イタリア炭化水素公社 |
9 | スタンダード・チャータード | KDDI | サノフィ |
10 | 電通グループ | サノフィ | ヘンケル |
手数料 (購入手数料/信託手数料)
手数料は以下となります。
購入手数料:税込3.30%(税抜3.00%)
信託手数料:年率税込1.727%(税抜1.57%)
初年度は5%程度手数料を払い、それ以上のリターンを目指していくことになります。配当利回りがかなり毀損されますね。信託財産留保額はありません。
ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の運用実績
本番の運用実績です。戦略は功を奏しているのでしょうか?
戦略の要因でボラティリティの高い運用成績になっています。分配金再投資の利回りは10年で8%程度となっています。
それなりのリターンは意外にも出せています。
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | |
トータルリターン | 4.72% | 10.27% | 18.47% | 15.29% | 25.02% | 8.09% | 8.28% |
基準価格が下落し続けていることが意味することとは?特別配当金の罠に気をつけよう
もう一度先ほどのチャートを見ていただきたいのですが基準価額は下落し続けています。
基準価額は1,763円となっているので、元々の基準価額10,000円から6分の1になっています。つまり運用リターン以上に分配金をだしているということになります。
現在、毎月20円、つまり年ベースで240円の分配金をだしています。現在の基準価額1,763円ベースで考えると分配利回りは14%となります。過去10年の平均年率リターンは8%なので、明らかに過剰な分配金をだしていることになります。
高い分配金に満足している方は注意しましょう。ただ、自分が預け入れた資産から資金を引き出しているだけに過ぎないのです。
ニッセイグローバル好配当株式プラスの掲示板での口コミ評判
掲示板での口コミは以下です。
掲示板口コミ
ここもうダメでしょ!
次1500円行くね
掲示板口コミ
組んでいる銘柄個々を見てないけど、昨日
欧州 アメリカが爆上げでこの下げだけは理解できない。
掲示板口コミ
この投資信託は、注文日の翌々日が約定日となっています。タイムリー感がないですよね❗その上休業日もあります。最近、分配金も下がってきました‼️ 長い付き合いなので、当分様子見って感じです🎵
掲示板口コミ
基準価格がもっと下がって特別分配になると思ってたので再投資にしてました。
ところがどっこい思ったほど下がらずで全額普通分配でした。
税金引かれての再分配。もったいない。受取にしておけばよかった。大失敗。
掲示板口コミ
此処の投稿も、格段に少なくなったね。
寂しい限りです。
まとめと今後の見通し
配当株でテクニカルに取引をし、リターンを稼いでいく一風変わったファンドであり、どんな相場でも基本的には積極的にリターンを狙っていく形になってくると思います。
ただ、当然株式相場が不調となり、企業が配当金を減少させていけば、ニッセイグローバル好配当株式プラスも分配金の減少に繋がっていくことになるかと思います。(他の銘柄を選ぶ手もありますが、戦略がワークするかもまた問題があるかもしれません)
2023年現在は、株式市場自体はまだまだ金利引き上げ局面であり、不安定な相場環境が続いています。少し間違えれば再度インフレ再燃など要素で大きく株式市場は下落に転換する可能性もまだまだ大きいです。
そんな環境下では、ニッセイグローバル好配当株式プラスも大きくリターンを出せる局面ではないかと思います。
以下ではどんな相場でも安定的にリターンを獲得しているファンドなどを、筆者の経験からまとめている記事がありますので、参考にしてみてください。