フィリピンと聞いて思いつくのはドゥトルテ大統領と中国との南シナ海の領土問題なのではないでしょうか?
意外と知られていませんが、日本はフィリピンの主要貿易国です。また、海洋国家という共通点もあります。
東南アジアと一言でいっても、既に日本以上に裕福なシンガポールや成熟が近づいているマレーシアのような国もあります。
一方、フィリピンはインドネシアやベトナムとともに東南アジアの今後の成長を担う勢いのある国となっています。
本日はフィリピンの現在の経済環境を整理した上で、2021年時点で投資妙味が高い国なのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
フィリピンの高い経済成長率
フィリピンは他のASEAN諸国に比べて経済成長率が高くなっています。上記ASEAN諸国の経済成長率の推移ですが、フィリピンはベトナムと並んで非常に高い経済成長率を継続しています。

参照:IMFデータベースとり管理人作成
ただ、コロナショックで一番落ち込んでいるところをみると脆弱な経済構成であることが読み取れます。以下はフィリピンの経済成長の寄与度毎に分解したものです。
2020年のマイナスは民間消費のマイナスに加えて資本投資のマイナスが大きく影響しています。つまりフィリピンから資本が抜けていることを意味します。
今後の経済成長の可能性は継続できるか?
重要なのは今後も高い経済成長が持続するのかを見ていきたいと思います。
人口ピラミッドは綺麗な形をしている
経済が拡大するのは生産者と消費者が増えていく必要があります。日本の高度経済成長期も人口ボーナスによってもたらされました。
以下はフィリピンの人口ピラミッドです。直近出生数が減ってきていますが大方綺麗なピラミッド型となります。
丁度、日本の1960年代と同じレベルですね。あとでお伝えしますが、フィリピンの現在の経済水準は日本の1960年代から1970年代と同水準となっています。
中間層が急激に拡大している
消費が拡大するためには人口が増えるだけでは不十分です。人口が増えて所得が増えて購買力が上昇していく必要があります。
人々が消費を拡大することで経済は拡大していきます。そのためには中間層がどれだけ拡大していくかという点を重要になります。
以下はASEAN各国の中間層と富裕層の拡大の過程です。インドネシアの伸びが凄まじいですが人口が多いので比率としてみるとフィリピンは人口の半分以上が中間層以上となってきています。
一口に中間層といっても、下限(家計所得 5,000 ド ル)に近い層と上限(同 35,000 ドル)に近い層では購 買力に差があると考えられる。そこで、そうした内訳 をさらに詳しくみるために、5,000ドル超10,000ドル 以下を「下位中間層」、10,000 ドル超 35,000 ドル以下 を「上位中間層」と位置づけ、規模の推計を行った
参照:みずほ総合研究所
株式投資を行うにはまだまだ早い(配当狙いやIPO株ももう少し時代が進んでから)
株式投資を行う場合、株価が急激に上昇するのに適したタイミングというものがあります。
以下は日本の代表的な株価指数である日経平均株価指数の過去からの超長期推移です。高度経済成長期の1960年代は実は殆ど横ばいに推移しました。
上記の通り、本格的に日経平均株価が上昇し始めたのは1980年代になってからです。
つまり、バブルの直前の水準から急激に株価が上昇しています。経済が成長するに従って、まず実需の不動産価格が上昇します。その後、時差を伴ったあとに国民所得が向上し余剰資金が出来始めてから株価が上昇しているのです。
皆さん記憶にある方もいらっしゃると思いますが、フィリピンは不動産価格が2010年代に急騰しました。つまり2010年代は日本の1960年代だったということです。
日本の株価が急騰し始めた1980年時点の1人あたりGDPは約10,000ドルという水準でした。
以下は中国と東南アジア各国の1人あたりGDPの推移です。フィリピンはまだまだ発展途中で1人あたりGDPは5000ドルとなっています。
今、まさに株価が上昇する水準に差し掛かっているのが中国とマレーシアです。マレーシアがもたついていることを考えると中国の方が分があります。
フィリピン総合指数の推移
では、フィリピン版の日経平均であるフィリピン総合指数の株価チャートをみていきましょう。以下は過去10年の推移ですが、株価は横ばいで推移しています。
まさに株価が停滞していた日本の1960年代と同じ事象が発生しています。では直近の10年間を日経平均と比べていきたいと思います。
10年間全く成長していない日経平均に対してもフィリピン総合指数は劣後した成績となっています。経済が伸びているから株価が上昇しているとは限らないのです。
新興国投資を行う際はタイミングを捉えて魅力的な国に投資をする必要があるのです。
フィリピン株を購入する方法とは?
それでは実際にフィリピン株をどのように購入できるのかという点について見ていきましょう。
楽天証券やSBI証券でも個別銘柄は購入できないがETFや投資信託は購入可能
まず、一番手軽に株式を購入する方法として近年はネット証券が台頭してきています。ネット証券の双璧といえば楽天証券とSBI証券であることについては異論がないことと思います。
しかし、残念ながら多くの海外株を取り扱っている楽天証券やSBI証券でもフィリピン株を取り扱ってはいません。
ただ、個別銘柄は取り扱っていないくてもMSCIフィリピン指数に連動するEPHE(=iシェアーズ MSCI フィリピンETF)は両証券会社とも取り扱いを行なっています。
その他にもインデックスに対してプラスのリターンを狙う「フィリピン株ファンド」のような投資信託も取り扱っていません。
個別株として購入することは出来なくても、丸ごとバックとして購入することは可能なのです。
アイザワ証券のみ取り扱い
唯一フィリピンの個別株を取り扱っている証券会社として「アイザワ証券」があります。
アイザワ証券では70銘柄以上のフィリピンの個別銘柄を取り扱っており、唯一個別株投資を行うことができる環境を整えています。
ただし、何度も言うようですが個別株式投資はそもそも難易度が高く、さらに新興国株となると現地に住んでおり情報のアクセスが容易か、また投資のプロと言える水準ではないと厳しいと思います。
今の時代は投資信託、ヘッジファンドなど様々な選択肢がありますので、色々と検討してみましょう。
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フィリピン株式市場のまとめと今後の見通し
では今までの内容をまとめていきたいと思います。
- フィリピンの経済成長率はASEANの中でも高水準
- 人口動態と中所得層の増加から今後も経済成長は継続する見込み
- 1人あたりGDPは日本の1960年代の水準
- 株価が上昇するにはまだ時間が必要
- フィリピン総合指数は過去10年横ばいで日経平均にも劣後している
- 楽天証券やSBI証券でも個別株は取引できない
今後の見通しとしては経済水準や投資環境が整えられていないことから、まだまだ本格的な上昇までは時間がかかることが見込まれます。
先進国の日本の大手証券会社からでも投資できないという点からも、まだまだ海外からの資金を受け入れる素地が整っていないことも停滞が見込まれる大きな要因です。
以下では新興国投資に長年取り組んでいる筆者の目線から、今一番魅力的な国に投資しており今後期待できるファンドをランキング形式でお伝えしています。
参考にしていただければ幸いです。