筆者が資産運用に詳しいとしった親戚から「ポジティブチェンジはどうなんだ?」と聞かれました。
何のことかと思いましたがこちらもベイリーギフォードのファンドでした。
ベイリー・ギフォードの投信といえば、ロイヤルマイルだと考えていましたが、ついでなのでこちらも考察してみたいと思います。
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ポジティブチェンジはモーニングスターのESG部門において優秀ファンド賞を受賞しています。
しかし、まだまだ運用歴が短いファンドでも賞を受賞できてしまう構造はどうなのかと筆者個人的には疑問を持っています。
宣伝の一環でしょうね。
ベイリー・ギフォードインパクト投資ファンド「ポジティブチェンジ」とはどのような商品なのか?
日本を含む世界各国の株式に投資をし、またその選定方法は「インパクト・テーマ」に沿ったものになるとのこと。
インパクトテーマとは以下を指すようです。
インパクトテーマとは
- 持続可能であらゆる人々を受容する世界の実現に向け、好ましい社会的インパクト(社会的変化)をもたらす
- 重要な社会的課題の解決に資する事業活動を、公正かつ誠実に行う企業
要するに、社会貢献性が高いものに投資をしてリターンを獲得しますという話でした。
筆者は捻くれているので、まだ中身を見ていないにも関わらずこれは儲からないだろうなと思いました。
そもそも社会貢献性が高いものとはつまり、収益機会よりも貢献性が問われる訳であり、投資対象は自ずと低収益になってしまうからです。
非常に高貴な投資ですね。
例えば筆者のようにまだまだ資産10億円に到達していない個人投資家からすると社会貢献は後で自分でやるからまずはリターンを獲得してくれと思うわけです。
まだ何も見ていないのにここまでいうのは烏滸がましいので、内容をしっかり見ていきたいと思います。
運用元のベイリーギフォードはロイヤルマイルの時にも調査しましたがここでも軽く触れておきます。
ベイリーギフォードの運用・助言残高は52兆816億円とは大規模です。
三菱UFJ国際投信と手を組み、同社の運用商品を日本でも展開したということですね。
ベイリーギフォードは100年以上前に設立されたパートナーシップ制の資産運用会社です。弊社は1989年に三菱UFJ信託銀行(旧東洋信託銀行)との間で合弁会社を設立しました。日本の運用・助言資産残高の全ては三菱UFJ信託銀行グループを経由したものとなっており、同グループを通じて数多くの日本お客様に弊社プロダクトにご投資いただいていることを幸運に思っています。
ベイリーギフォードでは投機ではなく、長期投資を行います。弊社における株式の投資哲学では成長性に焦点を当て、またグローバルの視点を取り込みます。独自のファンダメンタルズ分析が、長期に亘るボトムアップによる銘柄選択の成功の鍵を握ります。英国エディンバラを本拠に、知的好奇心と厳格さを共存させたアプローチを効果的に実践しています。私たちのプロセスでは、投資アイデアの共有や活発な討論が極めて重要な役割を果たします。弊社はこれまで内部成長のみによりビジネスを着実に伸ばしてきました。今日では、株式特化型、債券特化型、マルチアセットのポートフォリオを世界中のクライアントのために構築し、運用・助言資産残高は52兆816億円にのぼります。(2021年9月末現在)
ポジティブチェンジのポートフォリオ
以下が2023年2月末時点のポートフォリオです。
銘柄名 | 国・地域 | 業種 | 比率 | |
1 | MERCADOLIBRE INC | ブラジル | 一般消費財・サービス | 7.70% |
2 | ASML HOLDING NV | オランダ | 情報技術 | 6.50% |
3 | TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC | 台湾 | 情報技術 | 5.40% |
4 | DEERE & CO | アメリカ | 資本財・サービス | 5.30% |
5 | DEXCOM INC | アメリカ | ヘルスケア | 4.90% |
6 | MODERNA INC | アメリカ | ヘルスケア | 4.90% |
7 | BANK RAKYAT INDONESIA PERSER | インドネシア | 金融 | 4.20% |
8 | HOUSING DEVELOPMENT FINANCE | インド | 金融 | 4.20% |
9 | SHOPIFY | カナダ | 情報技術 | 4.10% |
10 | ALNYLAM PHARMACEUTICALS | アメリカ | ヘルスケア | 4.10% |
メルカドリブレ(MercadoLibre, Inc.)は、南アメリカを中心に活動するオンライン商取引プラットフォーム企業です。主要な事業内容は以下の通りです。
- オンラインマーケットプレイス事業
- 支払い処理サービス事業
- ロジスティクス・サービス事業
- 広告事業
つまり南米のアマゾンということですね。
2位のASMLと3位のTSMCはともに半導体製造業です。TSMCは世界で圧倒的な地位を占めているファウンドリです。
半導体におけるファウンドリ(foundry)とは、半導体メーカーが製造する半導体ウエハを受託製造する会社のことを指します。ファウンドリは、設備投資やプロセス開発に高額な投資が必要なため、半導体メーカー以外にも需要があります。
半導体の製造には、微細な回路が必要であり、高い精度と安定性が求められます。ファウンドリは、そのような微細な回路を作るための設備や技術を保有し、顧客から受けた設計図に基づいて、高品質で正確な半導体ウエハを製造することができます。
ちなみに以前分析した2021年末から構成は殆どかわっていません。ずっと長期保有していることがわかりますね。
2023年2月末 | 2021年12月末 | |
1 | MERCADOLIBRE INC | ASML HOLDING NV |
2 | ASML HOLDING NV | TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC |
3 | TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC | TESLA INC |
4 | DEERE & CO | DEXCOM INC |
5 | DEXCOM INC | DEERE & CO |
6 | MODERNA INC | MERCADOLIBRE INC |
7 | BANK RAKYAT INDONESIA PERSER | MODERNA INC |
8 | HOUSING DEVELOPMENT FINANCE | ORSTED A/S |
9 | SHOPIFY | ILLUMINA INC |
10 | ALNYLAM PHARMACEUTICALS | BANK RAKYAT INDONESIA PERSER |
ポジティブチェンジの運用実績
運用先を判断するには実績を見るのが一番です。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 8.11% | -- | -- | -- | -- |
2022年 | -5.79% | -18.55% | 1.52% | 2.40% | -20.23% |
2021年 | 5.78% | 13.91% | 5.02% | -4.38% | 21.01% |
2020年 | -10.57% | 36.82% | 19.66% | 18.88% | 74.05% |
2020年、2021年のパフォーマンスはたしかにポジティブチェンジは優れていました。
しかし、2022年から発生したインフレに対応するために金利を引き上げたことでグロース株が暴落しポジティブチェンジの株価も大きく下落しました。
2020年3月にポジティブチェンジに投資できていればたしかに勝ち組でした。しかし、相場を読んで投信を選ぶのは困難を極めます。
ファンド選びは、相場がどうこうではなく、コンスタントにどんな相場でも計算できるリターンを出せるかどうかに価値があるのです。
ポジティブチェンジは年初来の成績を見る限り、金融引き締め懸念により暴落しております。
このままでは金融緩和時のリターンを吐き出してしまうのではないかとすら思ってしまいます。
例えば以下はFederal Funds Rateですが、2020年初頭に急激に金利が下げられ、今も横ばいとなっていますよね。
この時期は成長株は猛烈に上昇します。
以下はFEDのバランスシートです。2020年3月から凄まじい角度で膨らんでいますよね。
これが政府による金のばら撒きです。
無限に株式市場に資金が流入していき、上がってはいけない株式銘柄も沢山暴騰しました。
長年筆者は相場にいますが、投機的に株を買う人にはこれ以上のチャンスはないと言えるくらいの相場でした。
しかしそんな相場も終わりました。上記のような金融緩和で株が上がりやすい時期を金融相場と言います。
金融緩和やカネ余りを背景に上昇する相場のこと。不景気で企業業績が悪化すると株価が下がりますが、景気対策として金融が緩和されると、いわゆるカネ余り状態となり、ダブついた資金が株式市場に流れ込み、不景気の株高現象が生じます。これを「金融相場」といいます。
反対に、金融引き締めで株は全般上がらず、選ばれし銘柄(非常に優れた業績、見通しが良い、不当に割安な)のみが上昇する相場を「業績相場」と言います。割高銘柄は容赦なく売られます。
金利等の要因よりも、個別企業の業績拡大を要因として株価が上昇する局面のこと。
同じくベイリーギフォードの投信であるロイヤルマイルはかなりの利益を吐き出してしまっています。
【ロイヤルマイル 】今後の下落もやばい!? 評判のベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンを掲示板での口コミや運用実績を含めて徹底評価!
ポジティブチェンジも下落基調ですね。どこまで市場の下落に耐えられるか、そしてパフォーマンスをあげられるか。
2022年−2025年が実力を見せるにはもってこいの相場だと思います。
まとめ
まだまだ運用歴が浅すぎるファンドですので、筆者は投資する判断を下せません。
可能な限り長期間で堅実な投資リターンを獲得しているファンドが最も良い選択です。これを間違えなければ資産運用は失敗しないはずです。
まだまだ新しいファンドはしばらく様子を見るのが懸命です。