レバレッジ型の投資信託は投資信託の中でも人気上位に多くランクインしています。
直近、日経平均がバブル後最高値を更新して人気が高まっています。
第4位:楽天日本株4.3倍ブル
第9位:SBI日本株4.3倍ブル
第13位:楽天日本株3.8倍ベア
本日は大人気の楽天日本株4.3倍ブルについて取り上げます。
まず、レバレッジ型の投資信託の危険性についてお伝えした上で、投資する妙味があるのか紐解いていきたいと思います。
レバレッジ型の投資信託の罠!知られざるリスクとは?
実はレバレッジ型の投資信託には知られざるリスクが存在しています。
毎日のリターンにレバレッジをかける特徴
レバレッジ型の投資信託は日々の値動きにレバレッジをかけます。
例えば10月1日から10月30日の間に対象となるインッデクスが20%上昇したとします。
するとダブルブルの場合、2倍の40%上昇するわけではありません。
あくまで日々の値動きの2倍なので結果は異なったものとなります。以下シミュレーションをご覧ください。
0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 3日間 トータル |
|
指数上昇率 | - | +10% | +20% | ▲10% | +18.8% |
指数 | 10,000 | 11,000 | 13,200 | 11,880 | - |
ダブルブル 上昇率 |
- | +20% | +40% | ▲20% | +34.4% |
ダブルブル 基準値 |
10,000 | 12,000 | 16,800 | 13,440 | - |
指数が18.8%上昇しているにもかかわらず、ダブルブルは2倍の37.6%より低い34.4%しか上昇していません。
指数が横ばいでもレバレッジ型投信は下落する
指数が思った方向と違う方向で下落したら大暴落となります。
しかし、指数が期間を通して横ばいであったとしてもレバレッジ型投資信託の基準価格は下落してしまいます。
0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 3日間 トータル |
|
指数上昇率 | - | +20.00% | ▲33.33% | +12.5% | 0% |
指数 | 10,000 | 12,000 | 8,000 | 10,000 | - |
ダブルブル 上昇率 |
- | +40% | ▲66.66% | +25% | ▲41.7% |
ダブルブル 基準値 |
10,000 | 14,000 | 4,666.2 | 5,832.75 | - |
これがダブルベアだったとしても結果は違うもののダブルベアも下落してしまいます。
0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 3日間 トータル |
|
指数上昇率 | +20.00% | ▲33.33% | +12.5% | 0% | |
指数 | 10,000 | 12,000 | 8,000 | 10,000 | |
ダブルベア 上昇率 |
▲40% | +66.66% | ▲25% | ▲25% | |
ダブルブル 基準値 |
10,000 | 6,000 | 10,000 | 7,500 |
つまりレバレッジ型の投資信託というのは流れが明確な時にのみ投資妙味があるのです。
相場が停滞している時でもジリジリと値を下げるということを十分認識しておきましょう。
楽天日本株4.3倍ブルはどんな投資信託?
では本題の楽天日本株4.3倍ブルがどのような投資信託なのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
日経平均の日々の値動きの4.3倍
楽天日本株4.3倍ブルは日々の基準価格の値動きが日経平均の概ね4.3倍の値動きになるように設定された投資信託です。
目論見書には「わが国の株式市場全体」と記載されていますが、レバレッジを使用するために用いているのは日経平均株価先物指数です。
つまり、日経平均に対して4.3倍のレバレッジをかけることを目的とした投資信託であるということができます。
楽天日本株4.3倍ブルの手数料は高い
楽天日本株4.3倍ブルはアクティブファンドですが、行なっていることは日経平均先物にレバレッジをかけているだけです。
しかし、購入手数料と信託手数料は高い水準となっています。
購入手数料:3.3%
信託手数料:1.243%(年率)
初年度は5%近い手数料が発生することになってしまうのです。
楽天日本株4.3倍ブルの悲惨な成績
では肝心な楽天日本株4.3倍ブルの悲惨な成績について見ていきましょう。
設定来のパフォーマンスは60%
楽天日本株4.3倍ブルのパフォーマンスは運用が開始された2016年から6年間たって+60%という結果になっています。
ただ、最大70%の下落も経験しており非常にボラティリティの高い値動きとなっています。
では肝心の対象となっている日経平均株価と比べてみましょう。
日経平均と比較して劣後した成績
以下は楽天日本株4.3倍ブルと日経平均を比較した図です。
青色:楽天日本株4.3倍ブル
赤色:日経平均株価
楽天日本株4.3倍ブルは2016年や2018年末からの横ばい相場でも大きく基準価格を下げています。
結果的にブルファンドであるにも関わらず、日経平均と同等の成績になってしまっているのです。
まさにレバレッジ型投資信託の罠にはまってしまっている状態ということができますね。
とってるリスクに対してリターンが見合っていませんね。
楽天日本株トリプルベアも同様に下落
さらにベアファンドと比べて見ましょう。
青色:楽天日本株4.3倍ブル
緑色:楽天日本株トリプルベア
赤色:日経平均株価
日経平均がプラス圏で推移しているにも関わらず、ブルファンドもベアファンドもマイナスの結果となっています。
楽天日本株トリプルベアは2022年3月に償還となっています。
レバレッジ型投信の活用方法とは?
今まで見てきた通り特性上レバレッジ型投資信託に長期間投資を行うと基本的に基準価格が下落します。
レバレッジ型投資信託はあくまでピンポイントで相場のどちらかの方向に勢いがある局面のみ有効となる投資先です。
ただ、予想が外れると大出血となるので投機と同様の性質があると見ておいた方がよいでしょう。
今後の見通しを予想
重要なのは今後の見通しです。当然ですが、日経平均が停滞または下落すると楽天日本株4.3倍ブルは下落します。
2023年6月8日現在、日経平均はバブル後最高値の32,000円をとっています。
これは2つの要因に支えられています。
✔︎ 日銀が大規模金融緩和を継続して円安傾向が継続している
✔︎ 海外のリセッション到来が遅れている
日本は既に米国のコアインフレ率にならぶレベルまでインフレが発生していますが、日銀が重い腰を上げず金融緩和を継続しています。
YCC政策すら撤廃せずに「動かざること山の如し」を貫いているので日米金利差の拡大を背景にドル円は140円を超えてきています。
円が安くなるとドル建でみた日経平均は割安になるので海外投資家からの資金が大量に流入しているのです。これが日経暴騰の主因です。
日銀が植田総裁に変わって政策転換がなされるかと懸念されてましたが黒田路線踏襲が鮮明化して海外からの資金が流れ込んでいるのです。
しかし、流石に現在のインフレ率がつづくと国民生活が困窮するので通貨防衛のために日銀も重い腰を上げざるを得なくなります。
金融政策転換は時間の問題であると考えています。
二点目について、インフレと金利高によって早々にこけると見込まれていた欧米の経済がまだ耐えているという点が挙げられます。
しかし、徐々に貯蓄率は減ってきており景気後退の足音は聞こえてきています。
景気後退となると当然、日本にも余波が到来するので株式市場にとっては厳しい展開が待ち受けています。
そのため、この上昇の息はながくなく超短期投資以外は控えておいた方が賢明でしょう。下落する時の勢いは凄まじいものがありますからね。
相場によらず安定したリターンを狙い方は以下参照いただければと思います。
【最新版】管理人が考える日本のおすすめヘッジファンドランキング!(投資信託・ETFを含む)個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
掲示板での口コミや評判
2023年6月現在、日経平均の急騰によって沸き立っていますが、ここから危険な香りがしますね。
Yahoo 掲示板
一年半以上の塩漬けブルベアがようやく本日プラ転しました😭
せめて手数料くらいは稼がせて貰いたい。
明日も上がると信じて…
Yahoo 掲示板
あ~あ
こんな天井でブルを購入して後悔しています
投資3年目ですが
相場は怖いわ
ただ、減価の凄まじさに頭を悩ませている人もいます。
Yahoo 掲示板
でも…減価はエグいのねやっぱり
まとめ
レバレッジ型の投資信託は賭けた方向と逆の方向に行った時は大損となることは勿論のこと相場が横ばいの場合もジリジリと基準価格を下げて行きます。
結果としてある程度の期間でみるとレバレッジをかけたブルファンドもベアファンドも指数に対して大幅なマイナスの成績となってしまっています。
仮に活用するとするのであれば、ピンポイントで相場に方向感が生じている時に短気的に取引するようにしましょう。
資産形成も急がば回れです。レバレッジ型投資信託は資産形成には不向きな投資信託です。
下落をミニマイズしながら着実に資産形成を行いたいという方は以下ランキング形式でおすすめできるファンドについて纏めていますので参考にしていただければと思います。