最近は「ロボット」とつく金融商品に興味が尽きず、色々と見て回っています。
今日は『ロボット戦略世界分散ファンド「愛称:資産の番人」』について少し調べてみました。色んな名前の商品があり面白いですね。
本日は「資産の番人」の特徴やリターンを分析し、投資妙味があるのかを検討していきたいと思います。
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ロボット戦略世界分散ファンド『愛称:資産の番人』とは?
「グローバルロボティクス株式ファンド」と同様にロボティックな企業銘柄への投資でリターンを狙う投信だと思っていました。
しかし、予想を大きく外しました。
基本的には、外国投信を通じて、先進国・新興国の株価先物、債券先物、金利先物、為替取引など、幅広い運用をしています。
ファンドマネジャーの手腕が問われる運用方法となりますね。
コンスタントに収益を出せているのかどうか、気になるところです(あとで見ていきたいと思います)。
絶対収益追求型なので、ヘッジファンドですね。
ファンドの概要
目論見書を一部抜粋します。
<商品分類>
- 単位型・追加型:追加型
- 投資対象地域:内外
- 投資対象資産(収益の源泉):資産複合
- 補足分類:特殊型(絶対収益追求型)
<属性区分>
- 投資対象資産:その他資産
- 決算頻度:年2回
- 投資対象地域:グローバル(含む日本)
- 投資形態:ファンドオブファンズ
- 為替ヘッジ:あり(部分ヘッジ)
- 特殊型:絶対収益追加型
ファンドの目的
ルクセンブルク籍投資法人「マン・アンブレラ・SICAV」のサブファンドである「マン・AHL・ダイバーシティ・オルタナティブ」が発行する外国投資信託証券へ投資することにより、値上がり益の獲得を目指します。
海外投信を購入しリターンを狙うと。
投資対象もなんでもありですね。個別銘柄ではなく、マクロ経済と資金の需給の読みでリターンを獲得するという方針でしょう。
ファンドの仕組みはファンズオブファンズ。要するに、海外投信に投資をするだけのようにも見えますね。
国内商品はT&D本体で運用。
コンピューターによって相場のうねりを捉える
特徴はなんといっても、投資判断をコンピューターが行うことです。
次世代型ですよね。上昇トレンドと下落トレンドをコンピューターが判断し、売買します。
世界中にこのようなファンドは今ではとても多く、例えば金利などが急上昇した時などは、ロボットが売買を行います。
株価指数などが大幅に下落するなどの影響をもたらします。
株式投資を個人でやるときも、急激な指標の動きは大怪我をする可能性があるので気をつけましょう。
ロボットが売買判断を行う強みは、トレンドを感情抜きで読み、売買で利益を獲得できる点でしょう。
弱みは相場のトレンドが明確ではないときに、どうしてもリターンが取れないところです。
マーケットの細かな機微を読むことはできないということですね。
それでも、人間が感情的にトレードするよりもリターンは見込めそうな気がします。
「資産の番人」の運用成績とは?
実際の成績を見ていきます。基準価額を最初に見ておきましょう。
コロナショックで打撃を受け、少し回復しましたが2022年初頭に再び下落し、コロナショック前の株価をまだ奪還できていません。
すでにどれくらいのリターンか想像はつきますが、実際の成績を見ていきましょう。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) |
トータルリターン | -11.60% | 0.46% | 0.33% |
標準偏差 | 7.5 | 9.13 | 9.79 |
シャープレシオ | -1.55 | 0.05 | 0.03 |
1年で-11.60%、3年(年率)で0.46%のリターンとなっています。
ロボットの限界を感じてしまいましたし、損失を出してしまう時点で筆者の投資対象にはなり得ません。毎年で見ても悲惨です。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2022年 | 3.09% | 6.81% | - | - | - |
2021年 | 4.05% | 0.93% | -5.72% | -4.52% | -5.47% |
2020年 | 1.89% | -5.77% | -1.11% | 1.84% | -3.30% |
2019年 | 3.82% | 4.11% | 8.71% | -3.70% | 13.14% |
2018年 | -1.57% | -0.22% | -6.88% | 5.09% | -3.89% |
2017年 | 0.72% | 1.48% | 0.27% | 3.19% | 5.75% |
マーケットは全く同じ動きをすることは少なく、傾向こそ読めますが、なかなか感情抜きの運用をしても市場には投資家の感情も存在しますので、読みきれないところがあると想像します。
特に昨今は、従来までの機関投資家と影響力の小さい個人投資家が相場に存在していた訳ではなく、個人投資家の影響力がどんどん大きくなっています。
つまり、過去のデータを集積して、市場を読むにしても、過去は過去、未来のデータは集められず、やはり柔軟に相場と向き合っていくしかない、ということを示唆しているように思います。
標準偏差(リスク度合いを測ります)はとても低く、リスクは非常に少ない投資先となります。
ロボットが運用しており、大きく損失を出すほどのリスク許容に設定していないからなのではないかと思います。
その分やはりリターンも低くなるということでしょうか。マイナスを出してしまっていますが・・・。
「資産の番人」の口コミ・評判
口コミは、想像通りあまり良くなかったです。わざわざ資産の番人を買う必要はないと思いました。世の中にはたくさんの金融商品があります(良いものも少ないのですが)。
ロボット戦略世界分散ファンド(資産の番人)はクズレベルの酷さ|投資信託の虎 https://t.co/M6Dn5aTqhm ・・・信託報酬が2%を超えて、なおかつ成功報酬まで取るという世界分散投資ファンド。絶対収益を追求すると言いながら、インデックスファンドにボロカスに敗北。 pic.twitter.com/n7ytTZDSaD
— 投資信託の虎 (@seisobijo) October 24, 2017
資産の番人買うんじゃなかった〜〜wwwww
— あ〜〜 (@ayuuumiii93) May 24, 2018
まとめ
ここまで見てきましたが、まず、ロボット(AI)で運用という現代の投資戦略の先端を走っている、試みている投資ファンドだとは思います。
その試みは面白いのですが、個人投資家からすればそんなことに興味はありません。やはり、リターンを狙いたいところです。
損失を出さない点は、私自身も好きな運用です。ウォーレンバフェット氏の格言を参考にしています。
- 絶対にお金を損しないこと。
- 絶対にルール1を忘れないこと。
この意味するところは、コンスタントに利益を積み上げることこそが大富豪への近道だからです。
1年だけ30%の利益を出し、他の年は損失を出したり微益だったり、また大きくリターンを出したり、と。
大きくリターンを出しているのであればそれで良いように感じますが、それは違います。
どこかで大損を出すかもしれないメソッドは、資産運用では大きく他者を劣後します。
コンスタントに、しっかりと利益を獲得し、複利を追い風にすることこそが、長い時間をかけて膨大な資産を作るための戦略なのです。
しかし、ロボット戦略世界分散ファンドは損失を出さない点は評価するものの、如何せんリターンが小さすぎますし、運用期間も短く、まだ信用に足る存在になり得ません。
口コミに悪いものはたくさんありましたが、それは短期で大きなリターンを目指す人たちの声のような気もしますが、それにしてもやはり利回りが悪いです。
もっと長期間実績のある、しっかりとコンスタントに利益をだす、戦略が明確化されたファンドを選んで投資をするようにしましょう。
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