AR国内バリュー株式ファンド 『愛称 : サムライバリュー』を評価。ヘッジファンド型投信の運用成績は評判と乖離あり?

投資信託

(考察シリーズ)AR国内バリュー株式ファンド 『愛称 : サムライバリュー』を評価。ヘッジファンド型投信の運用成績は評判と乖離あり?

今日も国内ファンドを分析していきたいと思います。

取り上げるのは「サムライバリュー」という風変わりな愛称を持つ「AR国内バリュー株式ファンド」について見ていきたいと思います。

 

投資妙味があるかどうかについては、結論として、なしと判断しています。理由は単純に直近3年間がマイナス運用だからです。

投資は損失を出さず、毎年コンスタントに利益を出すことが資産倍増の絶対条件になります。

 

➡︎ 投資信託銘柄考察シリーズ

 

 

AR国内バリュー株式ファンド 『愛称 : サムライバリュー』とは

日本の株式と株価指数先物取引を組み合わせた運用により、絶対収益の獲得を目指すとされています。

αを追いつつもβを組み合わせ着実な収益を狙っていくという、非常に基本に忠実な戦略であると思います。

 

株式選定は割安銘柄、中小型株を中心としたポートフォリオとなっています(後述)。

 

個人的には、面白そうなファンドであり、国内バリュー株投資を実践するBMキャピタルやかつて大きなリターンを上げていたグロース株投資のひふみ投信を彷彿とさせます。

 

【BM CAPITAL】安定運用が評判のBMキャピタルの運用実績・利回り・投資手法を紐解く!日本のアクティビスト型バリュー株ヘッジファンドの実態は?

 

不調にあえぐ「ひふみ投信」「ひふみプラス」の時代は終わった?危ないという評判がたっている理由を分析して評価する!

 

 

概要

目論見書を一部抜粋します。

 

<商品分類>

  • 単位型・追加型:追加型
  • 投資対象地域:国内
  • 投資対象資産(収益の源泉):株式
  • 補足分類:特殊型(絶対収益追求型)

<属性区分>

  • 投資対象資産:その他資産
  • 決算頻度:年1回
  • 投資対象地域:日本
  • 投資形態:ファミリーファンド
  • 特殊型:絶対収益追求型

 

 

日本株で絶対収益追求型なのでヘッジファンド型の投信ですね。ファンドマネジャーの腕次第で成績が決まります。

過去の実績が気になるところです。

 

電気機器と建設セクターに多くを割くポートフォリオ

2022年2月末時点のポートフォリオを見ていきましょう。

まずは業種です。電気機器、卸売業、機械が上位に来ています。

 

順位 業種名 比率
1 電気機器 11.00%
2 卸売業 9.30%
3 機械 6.60%
4 その他製品 6.00%
5 建設業 6.00%
6 サービス業 5.30%
7 銀行業 4.80%
8 化学 3.50%
9 非鉄金属 3.40%
10 小売業 3.40%

 

以下は2020年07月22日時点のポートフォリオでしたが、卸売業、機械が2022年は上位に来ていることがわかります。資源・石油需要など、インフレによって高騰する業種の株価が上昇したことにより上記のようなポートフォリオになっていると想像します。激動ですね。

 

業種別上位(株式) (2020年07月22日)
電気機器 14%
建設 12%
小売 8%
サービス 7%
卸売 6%

 

具体的な銘柄は以下です。上位10銘柄で22.90%を占めます。1銘柄への割り当てが低いですね。分散投資していることがわかります。

 

順位 銘柄 業種 組入比率
1位 大紀アルミニウム工業所 非鉄金属 2.80%
2位 オルガノ 機械 2.80%
3位 セーレン 繊維製品 2.70%
4位 琉球銀行 銀行業 2.50%
5位 グローブライド その他製品 2.30%
6位 ミライト・ホールディングス 建設業 2.20%
7位 近鉄エクスプレス 倉庫・運輸関連業 2.00%
8位 新光電気工業 電気機器 1.90%
9位 日総工産 サービス業 1.90%
10位 大建工業 その他製品 1.80%

 

 

2020年07月22日時点のポートフォリオは以下でした。新光電気工業とミライト・ホールディングスの比率がだいぶ下がりました。今ではポートフォリオ1位の大紀アルミニウム工業所は10位以内にも入っていなかった銘柄です。インフレの威力恐るべしという感じですね。

順位 銘柄 コード 業種 組入比率
1位 新光電気工業 6967 電気機器 4.37%
2位 ミライト・ホールディングス 1417 建設 4.11%
3位 ウエストホールディングス 1407 建設 2.90%
4位 三協フロンテア 9639 サービス 2.51%
5位 琉球銀行 8399 銀行 2.25%
6位 三益半導体工業 8155 金属製品 2.13%
7位 G‐7ホールディングス 7508 小売 2.08%
8位 東テク 9960 卸売 2.00%
9位 東京精密 7729 精密機器 1.99%
10位 グローブライド 7990 その他製品 1.83%

 

大紀アルミニウム工業所の株価は急騰しています。

5702 大紀アルミニウム工業所 E

 

業績もまさにインフレが加速し出した2021年後半から大きく伸ばしており、株価はそれについていった形です。一時的な急騰にも見えます。

 

大紀アルミニウム工業所の業績

 

決算期 売上高 (前期比) 営業利益 (前期比) 経常利益 (前期比) 当期利益 (前期比) EPS BPS
Mar-07 169,379 51.60% 6,915 126.10% 6,505 133.00% 2,949 108.70% 72.8円 638.1円
Mar-08 182,129 7.50% 2,321 -66.40% 1,602 -75.40% 175 -94.10% 4.3円 565.4円
Mar-09 133,320 -26.80% -3,039 -230.90% -3,680 -329.70% -3,066 -1852.00% -円 443.0円
Mar-10 69,248 -48.10% -290 90.50% -604 83.60% -1,041 66.00% -円 424.5円
Mar-11 103,341 49.20% 1,515 622.40% 1,199 298.50% 1,022 198.20% 25.2円 441.8円
Mar-12 102,536 -0.80% 1,205 -20.50% 1,046 -12.80% 1,029 0.70% 25.4円 457.6円
Mar-13 105,265 2.70% 461 -61.70% 294 -71.90% -101 -109.80% -円 459.5円
Mar-14 132,512 25.90% 2,000 333.80% 1,003 241.20% 228 325.70% 5.6円 489.4円
Mar-15 165,286 24.70% 3,028 51.40% 2,928 191.90% 2,175 853.90% 53.7円 568.8円
Mar-16 157,088 -5.00% 3,684 21.70% 3,088 5.50% 2,298 5.70% 56.7円 590.5円
Mar-17 150,809 -4.00% 4,730 28.40% 4,684 51.70% 3,136 36.50% 77.4円 655.0円
Mar-18 185,586 23.10% 6,861 45.10% 6,598 40.90% 4,490 43.20% 110.9円 769.3円
Mar-19 196,749 6.00% 8,111 18.20% 7,125 8.00% 5,058 12.70% 124.9円 839.2円
Mar-20 159,079 -19.10% 7,719 -4.80% 7,723 8.40% 5,586 10.40% 137.9円 941.9円
Mar-21 139,194 -12.50% 9,245 19.80% 9,046 17.10% 6,142 10.00% 151.7円 1,063.9円
2022/03予 231,200 66.10% 18,560 100.80% 18,670 106.40% 13,430 118.70% 331.6円 -円

 

上位銘柄の勢いを見ると、期待が持てそうですが、これらの銘柄の占める割合はポートフォリオの20%程度です。大きな期待を持つのは違いますが、銘柄の選定はまずまずであると言えると思います。

 

 

右型下がりの基準価格

実際の実績を見ていきましょう。まずは基準価額を見ていきたいと思います。

 

チャート・分配金

 

右肩下がりからの横ばいとなっていますね。純資産額は約29億円と小規模ファンドとなっています。

この時点であまり期待はできそうにありませんが。実際のリターンは以下の通りです。10年で平均年率3%なので、あまり期待できるファンドではないですね。やはり長期で最低でも7%程度は超えてこないとインデックス投信で良いではないか、という話になってしまいます。

 

1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率)
トータルリターン 8.99% -0.65% 0.22% 3.44%
カテゴリー -0.86% 1.45% 1.11% 3.53%
+/- カテゴリー 9.85% -2.10% -0.89% -0.09%
ファンド数 79本 64本 52本 16本
標準偏差 5.42 6.19 5.99 6.37
カテゴリー 7.42 8.34 8.13 9.75
+/- カテゴリー -2 -2.15 -2.14 -3.38
ファンド数 79本 64本 52本 16本
シャープレシオ 1.66 -0.11 0.04 0.54
カテゴリー -0.06 0.1 0.05 0.31
+/- カテゴリー 1.72 -0.21 -0.01 0.23
ファンド数 79本 64本 52本 16本

 

年間収益率の推移を見るとわかりますが、2018年以降の成績が芳しくないですね。

 

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-12月期
2021年 0.43% 1.86% 2.84% 1.59% 6.88%
2020年 -6.06% 0.76% 0.75% 0.81% -3.88%
2019年 -3.35% 0.09% -4.67% 4.06% -4.03%
2018年 -0.57% 0.22% -0.32% -6.94% -7.55%
2017年 2.41% 2.95% 7.44% 0.27% 13.58%

2018年はVIXショック、米長期金利の上昇と中国経済の減退(チャイナショック、9年半ぶりの低い伸びでした)により相場は下落。

2018年は以下の通り勝つのが難しい相場でした。右肩下がりですからね。米金利上昇は金融相場の出口であり、業績相場へ移行されるタイミングです。つまり、金融相場はゴミ株でも上昇する時代ですが、真に優秀な企業の株以外は上昇しない年でした。

とはいえ、アクティブ投信は相場のアウトパフォームを目指す義務があります。

また、2019年は比較的相場はよく、また2020年はコロナショックはあれど株価は低金利政策を背景にした金融相場となり、株高だったのですが、サムライバリューはなんとマイナスの運用成績となっています。

 

2018年の相場

 

2020年の相場

 

2021年のリターンはインデックス投信が+10%以上のリターンとなる中サムライバリューはまたも6.88%とアンダーパフォームしました。

2022年はどうでしょうか?本番を迎えている利上げとQT(バランスシート縮小)懸念が露呈しており、今年の1月からの相場はすでにギクシャクしています。

 

私の投資方針では、損を出さない、そしてコンスタントに利回りを出す場合に投資をしますが、AR国内バリュー株式ファンドは下落耐性も弱く、金融相場でもリターンが低いので投資するには少し厳しいです。

 

 

まとめと投資妙味

ウォーレンバフェット氏の格言にある通り、

ルール1 絶対に損をしないこと。 ルールルール1を絶対に忘れないこと。」

AR国内バリュー株式ファンドはやはり損失を出すファンドということで投資に踏み切ることは無いと思います。

 

あるとすれば、3期連続プラスで、他ファンドよりもコンスタントに利回りを出せる場合のみでしょう。

しかし、そのようなファンドは滅多に見つかりません。1年だけ超ハイリターンを出しても、次の年にマイナスを出したり、株価指数に劣後していては仕方ありませんので。

堅実なリターンを狙えるファンドを選んでいくようにしましょう。

 

優秀な投信は以下のカテゴリーでも分析していますので参考にしてみてください。

 

➡︎ 投資信託銘柄考察シリーズ

 

 

結び

金融資産2〜3億円で完全リタイアは可能か?安定した生活を送るための運用法(50歳、60歳など年代別ポートフォリオを検討)

 

長期的に資産を形成し老後の安定資産を築くために必要なことは、ただ一つです。それは、どのような市場環境であっても資産を守り「堅実なリターンを複利で積み上げる」ことです。しかし、多くの人は派手なリターンを謳う運用先に虜になり、資産を増やすどころか失ってしまうのです。しかし、この情勢は変わりません。歴史は繰り返すのです。いつの時代も「無知はコスト」です。

 

depression

 

資産運用の極意は「プラスのリターンを複利で積み重ねること」であり富裕層に到達するにはこの方法しかありません。

 

上記を実現するための投資先(ファンド)を選ぶポイントは、非常にシンプルです。以下は大枠ですが、これを外さなければ大きく失敗することもありません。

  1. 相場環境に左右されない明確で確固たる投資理論・哲学を有する
  2. 過去に成果を出し続けているファンドマネージャーによる運用

 

世の中にはあまりにも間違った情報が溢れていると日々感じていました。
そして今回、筆者の証券アナリストとしての知見や、マーケットに関する仕事に従事した経験を基に様々なファンドを分析してきました。

その結果(堅実運用の思考とおすすめと言える投資先)をまとめました。ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

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