中国は経済成長が進展するにつれて産業も高度化しています。現在特許申請数は世界1位となっておりユニコーン企業も米国についで産まれています。
ただ、自分で個別株に投資するにしても魅力的な銘柄が何なのか分からない方も多いのではないでしょうか?
そのような方に向けて当サイトでは中国株式に投資しているファンドをランキング形式で纏めています
【2023年】中国株式に投資するおすすめの投資信託をランキング形式で発表!
今回は高いリターンが評判の深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)について注意点も踏まえてお伝えしていきたいと思います。
深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)はどんな投資信託?
ではまずどのような投資信託なのかを紐解いていきたいと思います。運用を行うのは日興アセットマネジメントです。
深セン取引所に上場されているイノベーション企業に投資
深セン・イノベーション株式ファンドが投資を行うのは深セン市場に上場されている中国本土株式市場です。
中国企業は主に上海、深セン、香港に上場されています。深セン市場に上場している銘柄はハイテク企業が多くなっています。
深センは1980年に中国政府によって経済特区に指定されて以降、飛躍的 な成長を遂げてきました。近年は新興産業の発展に力を入れており、米国 のシリコンバレーに匹敵する新たなイノベーション都市として、世界の注目 を集めています。
深セン証券取引所は、国営企業などオールドエコノミーの企業が多く上場 する上海証券取引所と異なり、IT(情報技術)やヘルスケアなどニューエコ ノミーの民間企業が多く上場しています。また、日本の東証マザーズ市場 にあたる新興企業向け市場が設けられていることも特徴です。
コラム:世界最速で発展してきた深圳
深圳は1980年に中国政府によって経済特区に指定されました。指定されるまでは僅か3万人の漁村に過ぎませんでした。
しかし、今では東京と同じ1200万人都市に成長して世界最速で発展した都市として称賛を集めています。
ただ、人口が増えただけでなくハイテク国家として中国のみならず世界から注目を集めいています。
✔︎ 露店でもキャッシュレス決済
✔︎ 中国というイメージと異なるクリーンな街並み
✔︎ 街を飛び交うドローン
✔︎ 次々と生まれるユニコーン企業
深圳では多くのハイテク企業をうみだしております。新規上場する企業は2016年の時点で深圳が世界トップとなっています。日々成長し続けるハイテク巨大企業となっているのです。
テンセント、ファーウェイ、DJIなどの世界的ハイテク企業も籍を起き、アジアのシリコンバレーとして名乗りを上げてきています。中国には米国のGAFAに対応するBATHといわれる企業群が名乗りをあげています。
構成上位10銘柄
以下は深センイノベーション株式ファンドの2023年1月の月次報告書に記載されている上位10銘柄です。上位10銘柄で33.70%しか投資していないので相当に分散していることがわかります。
銘柄 | 通貨 | 上場市場 | 業種 | 比率 | |
1 | コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー | 中国元 | 深セン市場 創業板 | 資本財 | 7.10% |
2 | イースト・マネー・インフォメーション | 中国元 | 深セン市場 創業板 | 資本財 | 5.20% |
3 | ビーワイディー | 中国元 | 深セン市場 メインボード | 自動車・自動車部品 | 3.60% |
4 | ジェイエイ・ソーラー・テクノロジー | 中国元 | 深セン市場 メインボード | 半導体・半導体製造装置 | 3.10% |
5 | サングロー・パワー・サプライ | 中国元 | 深セン市場 創業板 | 資本財 | 3.10% |
6 | チョンチン・ジーフェイ・バイオロジカル | 中国元 | 深セン市場 創業板 | 医薬品・バイオテクノロジー | 2.60% |
7 | ゼージャン・ジンシェン・メカニカル | 中国元 | 深セン市場 創業板 | 半導体・半導体製造装置 | 2.60% |
8 | タイジー・コンピューター | 中国元 | 深セン市場 メインボード | ソフトウェア・サービス | 2.20% |
9 | ベイジン・キングソフト・オフィス・ソフトウェア | 中国元 | 上海市場 科創板 | ソフトウェア・サービス | 2.10% |
10 | チャイナ・ナショナル・ソフトウェア・アンド・サービス | 中国元 | 上海市場 メインボード | ソフトウェア・サービス | 2.10% |
テクノロジーやソフトウェアといったハイテク企業が多く存在するセクターがふんだんに組み入れられています。創業板の銘柄が多いのも特徴です。創業板というのは東京証券取引所でいうところのマザーズのような新興企業向けの市場です。
また、聞いたことない企業ばかりですが、結構大型銘柄で構成されています。以下が時価総額毎の構成比率です。1兆円以上の大型企業で約80%を占めています。
時価総額 | 比率 |
超大型株(5兆円以上) | 26.8% |
大型株 (1兆円以上5兆円未満) | 42.4% |
中型株 (3000億円以上 1兆円未満) | 25.1% |
小型株 (3000億円未満) | 5.7% |
高い購入手数料と信託手数料
深センイノベーション株式ファンドはアクティブ型の投資信託なので手数料は高めに設定されています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.705%
深セン・イノベーション株式ファンドの運用成績!高いリスク(=標準偏差)が懸念
それでは肝心の深セン・イノベーション株式ファンドの運用成績についてみていきたいと思います。以下大きく値を伸ばしています。分配金をだしていない点もポジティブですね。
データとしてみていきたいと思います。以下は深センイノベーション株式ファンドのリスクとリターンです。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) |
---|---|---|---|
トータルリターン | -14.13% | 10.70% | 8.59% |
標準偏差 | 33.64 | 31.72 | 29.64 |
シャープレシオ | -0.42 | 0.34 | 0.29 |
5年のリスクリターンをもとに考えると今後1年のリターンは確率毎に以下の範囲に収束することが見込まれます。
【68.2%の確率】
▲21.05%(8.59%-29.64%) 〜 38.23%(8.59%+29.64%)
【95%の確率】
▲50.69%(8.59%-29.64%×2) 〜 67.87%(8.59%+29.64%×2)
【99.7%の確率】
▲80.33%(8.59%-29.64%×3) 〜 97.51%(8.59%+29.64%×3)
やはり値動きの激しい新興国の中でもハイテクに集中していることもあり、リスクである標準偏差が高いことで最大損失が大きいことが気がかりですね。
まだ、トラックレコードが短いのでわかりませんが、今後大暴落を被る可能性も加味しておく必要があります。新興国株式で安定的に高いリターンを狙いたいという方は以下参考に頂けますと幸いです。
深セン・イノベーション株式ファンドを上海総合指数・深圳総合指数・香港ハンセン指数と比較
それではアクティブファンドとしてどれだけ多くの超過リターンを稼ぎ出しているのかという点についても触れていきたいと思います。
橙色:深センイノベーション株式ファンド
青色:深セン総合指数
赤色:上海総合指数
緑色:香港ハンセン指数
結果的に深センイノベーション株式ファンドが一番高い成績を出していますが、一旦40%ほどのマイナスをだしている時期もあります。指数に比べて値動きが激しいのが分かります。
他の中国株式投資信託と比較
では他のアクティブ型の中国投信と比べてみたいと思います。以下の4つの投信と比較した過去3年のチャートが以下です。
深セン・イノベーション株式ファンドが不調であった2017年が表示できない仕様なのが残念ですが、他の投信に比して大幅にアウトパフォームしているのが見て取れます。
では、より詳しくデータで見ていきましょう。(以下のデータも2017年-2021年の4年間のデータはでていません)
ファンド名 | 深セン・ イノベーション 株式ファンド (1年決算型) |
三菱UFJ チャイナ オープン |
HSBC チャイナ オープン |
UBS 中国株式フ ァンド |
MSCI中国 (配当) |
運用年数 | 3年 | 24年 | 19年 | 14年 | -- |
---|---|---|---|---|---|
トータル リターン1年 |
67.80% | 49.57% | 43.07% | 33.82% | 41.88% |
トータル リターン3年 (年率) |
24.47% | 11.18% | 8.13% | 11.78% | 8.87% |
トータル リターン5年 (年率) |
-- | 15.34% | 14.55% | 22.05% | 16.63% |
トータル リターン10年 (年率) |
-- | 10.84% | 10.01% | 15.25% | 10.89% |
標準偏差1年 | 28.98 | 18.41 | 19.61 | 16.70 | -- |
標準偏差3年 | 30.74 | 22.70 | 22.65 | 20.16 | -- |
標準偏差5年 | -- | 19.20 | 19.42 | 17.67 | -- |
標準偏差10年 | -- | 22.12 | 23.68 | 21.40 | -- |
深センイノベーション株式ファンドは確かに高いリターンを残しているのですが、価格の値動きの荒さを表す標準偏差が他より著しく高い値を示しています。
3年のリターンだと高いのですが、今後ハイテク偏重の投資が正しいかは考える必要があります。
今後の見通し!世界的に既にハイテク銘柄は割高水準
この3年間、特に2020年度は世界的にハイテク株が強い相場が続きました。
日本でも成長株が多いマザーズ指数がTOPIXを大きく上回って推移しましたし、米国でもハイテク企業が多く上場しているナスダックがダウ平均を大きく凌駕して推移しました。
黒:ナスダック総合指数
緑:ダウ平均
しかし、ハイテク銘柄のバリュエーションが高くなっており現在は軟調に推移しています。今後も暫くは軟調な相場が続く可能性が高いのです。
強いセクターというのは定期的に入れ替わっていきます。臨機応変に投資するセクターを選択できるファンドの方が常に投資機会が狙える可能性が高いのです。
筆者は中国株式市場を今一番アツイ新興国株式市場であると確信しています。
筆者の場合は、2022年の下落相場をもプラスで乗り切り、今後の市場回復に合わせて高いリターンが見込めるオリエントマネジメントへ投資をしています。
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【2023年】中国株式に投資するおすすめの投資信託をランキング形式で発表!
まとめ
深センイノベーション株式ファンドについて纏めると以下となります。
✔︎ 深センに上場する主にハイテク企業に投資している
✔︎ リターンは高いが最大60%程度の損失は覚悟する必要がある
✔︎ 実際一時40%のドローダウンを経験している
✔︎ ハイテク相場は現在高騰しており必ずしも今後も魅力的とは限らない
組み入れるのであれば、大きなポーションでは小さいポジションで夢を買うという範囲にとどめておくのがよいでしょう。