日本のアクティブ型投資信託は低い成績という評判になっていますが、しっかりした成績を残している投資信託も存在しています。
当ブログでも「ひふみ投信」「ジェイリバイブ」「眼力」などを取り上げてきました。今回は厳選投資の愛称で親しまれている「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」です。
本日は厳選投資について、そもそもどのような投資信託なのか?
投資する妙味がある投資信託なのか?
という点について他の優秀なアクティブ型の投資信託と比較しながら検証していきたいと思います。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)はどんな投資信託?
では、厳選投資はどのような投資信託なのかをみていきましょう。
僅か20程度の厳選銘柄に投資をする方針
通常の投資信託は基本的に50銘柄以上の銘柄に対して分散投資をしています。
ところが、厳選投資は約20銘柄に集中投資をすることでリターンを追求する方針をとっています。
非常に珍しいファンドとなっているのです。
当ファンドは、一般社団法人投資信託協会「投資信託等の運用に関する規則」第17条の3「信用リスク集中回避のための投資制限の例外」第1項第3号を適用して特化型運用を行います。そのため、一般のファンドにおいては、一の者に係るエクスポージャーの投資信託財産の純資産総額に対する比率として10%を上限として運用を行うところを、当ファンドにおいては、35%を上限として運用を行います。
参照:SPARX
通常のファンドは1銘柄最大構成比率10%未満として制限されているのですが、厳選投資では最大35%まで投資することが可能となっています。
また厳選した銘柄には長期投資することを前提としています。バイアンドアホールド、と言ったところでしょうか。
厳選投資が選ぶ銘柄は長期成長が見込める国際優良企業
厳選投資が選ぶ銘柄の特徴は以下の通りと目論見書に記載されています。
【厳選投資が対象とする国際優良企業の条件】
- 国内市場で圧倒的なシェアを持つ
- 海外売上高比率の拡大が期待できる
- 世界的なブランド力を有することが期待できる
参照:厳選投資の目論見書
この条件を満たす企業は、世界経済の成長の恩恵を受けることができることに加えて、外国人投資家からも投資対象となるので株価上昇を見込むことができるとしています。
厳選投資の構成上位銘柄
では実際、どのような銘柄に投資しているのか最新の2022年2末時点の月報を元に見ていきましょう。以下は厳選投資の上位5銘柄です。三菱商事がトップ銘柄となっています。
銘柄 | 市場 | 業種 | 比率 |
三菱商事 | 東証一部 | 卸売業 | 9.00% |
日立製作所 | 東証一部 | 電気機器 | 9.70% |
ソニーグループ | 東証一部 | 電気機器 | 9.70% |
ソフトバンクグループ | 東証一部 | 情報通信業 | 7.20% |
キーエンス | 東証一部 | 電気機器 | 7.20% |
以下は2021年6月末時点のポートフォリオ上位5銘柄です。現在はこの日本電産やリクルートはトップ5から外れています。三菱商事が上位に来たのは、先進国のインフレ、戦争などが相まった一時的な資源・石油需要による株高が要因でしょう。
銘柄 | 市場 | 業種 | 比率 |
ソニーグループ | 東証一部 | 電気機器 | 9.00% |
日本電産 | 東証一部 | 電気機器 | 8.50% |
ソフトバンクグループ | 東証一部 | 情報通信業 | 8.40% |
リクルート | 東証一部 | サービス業 | 8.30% |
日立製作所 | 東証一部 | 電気機器 | 7.90% |
上位5銘柄で42.8%と半数近い構成比率となっています。構成比率1位となっている三菱商事は全世界に資源権益などを持っており、インフレ期には事業は拡大します。(もう投資会社ですね)
業績は以下の通り売上は伸びていませんが、投資による利益が大きく、特に2021年の後半からインフレの影響で伸びています。
流石にこれからは金融引き締めなどがあり、資源需要も落ち着きそうではあります。
しかし、投資利益を売上にしても良いような業績ですよね。本業はあくまで貿易ということかと思いますが。経常利益ばかりが伸びており、事業ではなく投資でとにかく儲けているという感じですね。シンガポールや香港のような会社ですね。
決算期 | 売上高 | (前期比) | 営業利益 | (前期比) | 経常利益 | (前期比) | 当期利益 | (前期比) |
2007/03 S | 20,516,264 | 7.60% | 412,130 | 17.80% | 595,542 | 24.50% | 415,895 | 18.80% |
2008/03 S | 23,103,043 | 12.60% | 355,105 | -13.80% | 544,505 | -8.60% | 462,788 | 11.30% |
2009/03 S | 22,389,104 | -3.10% | 588,896 | 65.80% | 388,228 | -28.70% | 369,936 | -20.10% |
2010/03 S | 17,098,705 | -23.60% | 181,447 | -69.20% | 294,268 | -24.20% | 273,147 | -26.20% |
2011/03 S | 19,233,443 | 12.50% | 316,141 | 74.20% | 534,297 | 81.60% | 463,188 | 69.60% |
2012/03 S | 20,126,321 | 4.60% | 271,122 | -14.20% | 458,970 | -14.10% | 453,849 | -2.00% |
2013/03 I | 6,009,887 | -70.10% | - | -% | 442,726 | -3.50% | 323,457 | -28.70% |
2014/03 I | 7,635,168 | 27.00% | - | -% | 531,954 | 20.20% | 361,359 | 11.70% |
2015/03 I | 7,669,489 | 0.50% | - | -% | 574,722 | 8.00% | 400,574 | 10.90% |
2016/03 I | 6,925,582 | -9.70% | - | -% | -92,823 | -116.20% | -149,395 | -137.30% |
2017/03 I | 6,425,761 | -7.20% | - | -% | 601,440 | 747.90% | 440,293 | 394.70% |
2018/03 I | 7,567,394 | 17.80% | - | -% | 812,722 | 35.10% | 560,173 | 27.20% |
2019/03 I | 16,103,763 | 112.80% | - | -% | 851,813 | 4.80% | 590,737 | 5.50% |
2020/03 I | 14,779,734 | -8.20% | - | -% | 648,864 | -23.80% | 535,353 | -9.40% |
2021/03 I | 12,884,521 | -12.80% | - | -% | 253,527 | -60.90% | 172,550 | -67.80% |
直近はいきすぎた株価になっているようにも見受けられます。金融引き締めでインフレが収まりを見せれば、これ以上の上昇は厳しいとは思います。
比較的高い手数料水準
厳選投資はアクティブ型の投資信託です。以下は手数料水準なのですが、購入手数料、信託手数料ともに比較的高い手数料体系となっています。
購入手数料:3.3%
信託手数料:年率1.804%
厳選投資の成績とは?利回りは高い?
では重要な厳選投資の成績について見ていきましょう。
設定以来TOPIXを大幅にアウトパフォーム
以下は設定痛いの厳選投資のリターンをTOPIX(配当込み)と比較したものです。税引前分配金再投資後の基準価格はTOPIX(配当込み)を大幅にアウトパフォームしています。
2008年3月に100万円投資したら550万円に増えているということですね。
ただ、あくまで分配金を拠出した場合は税金が自動的に差し引かれるので実際のリターンは黒と赤の間ということになります。
ちなみにコロナの2020年1月から3月に42000円から26000円まで一気に約40%の下落を被ってしまっています。また2022年初頭も上記グラフの通り大きく下落を経験しています。過去半年でスパークスのパフォーマンスは-14.19%と沈んでいます。
この下落は投資家としては耐えられるものではないでしょう。長期投資をする上でリターンと同様、それ以上に重要なのが下落をできる限り避けながら運用を行うことです。
以下では安定した年率10%以上のリターンを出しながらも、過去年度ベースで下落したことない筆者が主軸として投資しているファンドを含めてランキング形式でお伝えしていますので参考にして頂ければと思います。
【2022年】個人投資家がアクセス可能な日本国内のおすすめヘッジファンドをランキング。個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
日経平均や他の優秀なアクティブ型の投信との比較
以下は日経平均と他の優秀なアクティブ型の投資信託との比較です。
青:厳選投資
赤:日経平均
緑:ひふみ投信
黄:ジェイリバイブ
長期でみると日経平均を上回り、日経が下がればパフォーマンスが落ちてしまう投信になってしまったひふみは上回っています。
ジェイリバイブに対してはアンダーパフォームしています。
ただ、「ひふみ投信」然り、「ジェイリバイブ」「眼力」などは人気がでてから本来の運用ができなくなり直近の成績は軟調に推移していることをお伝えしました。
厳選投資は長期の成績はジェイリバイブにアンダーパフォームしており、3年で見てもパッとしません。
アクティブ投信はもはや日経平均に勝てない成果となっており、ファンドマネジャーはクビにならないのでしょうか?
青:厳選投資
赤:日経平均
緑:ひふみ投信
黄:ジェイリバイブ
ここからわかることとして、やはり他の投信も同じなのですが日経平均と同様の動き方をします。
日経平均が暴落する時も暴落しているのです。
まとめ
厳選投資は国際優良企業に集中投資する投資信託です。
通常の投資信託は50社以上に分散投資していますが、厳選投資は20社程度に集中投資をしているという特徴があります。
過去10年でみると日経平均には勝っていますが他のアクティブ型投信をアンダーパフォームしています。ただ過去3年でみると最もよい成績を残しています。
しかし、株式市場が暴落する時には一緒に暴落する傾向にあります。
資産価格を下落させることなく安定的に増加させたいという方は以下おすすめできるファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。