グローバルAIファンド、グローバル・ロボティクスと大層な名前のファンド(投資信託)が本当に多いですよね。
トレンドに沿った名前のファンドは綺麗なプレゼン資料と未来へのストーリーを明るくするだけでポンポンと売れていきそうです。
今回紹介するのは「グローバル・フィンテック」です。
グローバルフィンテック株式ファンドはグロース株投資バブルが発生した2020年に急激に上昇しましたが、その後暴落しています。
本日はグローバルフィンテック株式ファンドについて以下の点を中心にお伝えしていきたいと思います。
本日のポイント
- グローバルフィンテック株式ファンドはどのような投信なのか?
- 株価が暴落している理由は何なのか?
- 今後の見通しはどうなのか?買い時なのか?
グローバル・フィンテック株式ファンドとは?
一言でいえば世界中の有望なフィンテック企業に投資をしてリターンの獲得を目指すファンドです。儲かりそうですね。
筆者が個人的に思いつくのは米国のペイパル、スクエア、アファーム、中国のアリペイなどですかね。
証券アプリなどもフィンテックに入ると思うので今話題のロビンフッドや中国のFUTUなどもフィンテックになりますでしょうか。
フィンテックとは
■フィンテック(FinTech)とは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、最新の情報技術を活用した「新たな金融サービス」のことを言います。
■フィンテックはスマートフォンのアプリなどを通じた金融サービスを中心に急成長しており、その利便性の高さから「私たちの生活を一変させるイノベーション」として注目されています。
日本ですと、マネーフォワードなどの家計簿アプリ、他にはPAYPAY、LINE PAY(PAYPAYに統合されるみたいです)などなどですかね。
あとPAYPAY証券ですかね。孫正義に日本のフィンテックは支配されてますよねこれ。
あとはロボアドバイザーとかもフィンテックですね。「運用をロボットに任せるのか!」と興奮したものの手数料高すぎて萎えました。
米国に比べると日本のフィンテックの盛り上がりは寂しいものを感じます。
しかし、米国で流行したものはしばらく時間を置いて日本で流行るので、日本企業のフィンテックブームはこれからなのかもしれません。
それでは、どのようなファンドなのかみていきたいと思いますl
ファンドの概要〜ARK社の助言を受けて運用〜
目論見書を抜粋します。
<商品分類>
- 単位型・追加型:追加型
- 投資対象地域:内外
- 投資対象資産(収益の源泉):株式
<属性区分>
- 投資対象資産:その他資産(投資信託証券(株式 一般))
- 決算頻度:年1回
- 投資対象地域:グローバル(含む日本)
- 投資形態:ファミリーファンド
- 為替ヘッジ:なし
ファンドの目的
主として、日本を含む世界の金融商品取引所に上場されているフィンテック関連企業の株式に投資を行ない、中長期的な信託財産の成長をめざして運用を行ないます。
世界の株式の中から主にフィンテック関連企業の株式などに投資します。
●今後の成長が期待されるフィンテック関連企業の株式(預託証券を含みます。)を中心に投資を行なうことにより、中長期的な信託財産の成長をめざします。
●外貨建資産の投資にあたっては、原則として、為替ヘッジは行ないません。
<運用プロセス>
「ARK社の助言を受けます」ということは完全にスクエアとペイパルを買いましょうというファンドだと思います。
ARK社は2020年にグロース株相場で一躍注目を集めて有名になりました。
ARK社の調査の下という点を推しに推していますがアーク社とはどのような会社なのでしょうか?
米国では2020年のコロナバブルにおけるスーパーヒーロー的ファンドでした。
ETFなのに+170%などというリターンを叩き出したりと大暴れしたファンドです。
●アーク・インベストメント・マネジメント・エルエルシー(アーク社)では、破壊的イノベーションを発掘するには、従来の伝統的なリサーチ手法だけでは不十分と考え、ユニークなプロセスで調査を行なっています。
●テーマ選択や調査対象企業群の特定は主にトップダウンで行ない、企業の分析・銘柄選択などは、主にボトムアップで行なっています。
ARK Investの代表はキャシー・ウッド氏。
ARKのお墨付きということで、人気のあるファンドなのかもしれませんね。
ARKファンドは筆者も2020年の活躍ぶりを見て魅力を感じました。
この金融引き締めの場面でキャシーウッド氏が年率+40%も可能との発言を公にしており、
ビジネスとはいえあまりにも現実とかけ離れているため危険を感じました。
アクティブ運用の上場投資信託(ETF)の旗手、キャシー・ウッド氏は17日に自身のウェブサイトで、旗艦ファンドのアーク・イノベーションETFが「向こう5年に年間40%のリターンを上げ得る」とコメントした。アーク・インベストメント・マネジメント設立以降で最悪の成績となった2021年末としては大胆な発言だ。
利上げ、QTが迫っているにも関わらずこのコメントは厳しいです。
向こう5年ですからどこかでリセッションになり、複数年で+100%以上のリターンを叩き出すということであれば可能かもしれません。
しかし、もう少し投資家に寄り添った相場観を示してほしかったです。
実際、旗艦ファンドであるARKKは急騰しましたが金融緩和が終了するとともに暴落していっています。
現在では2019年と同じ水準に全戻ししています。
ただただブームに乗っただけのファンドを運用していたということですね。
投資はやはりどんな相場でもコツコツ利益を積み重ねる方が近道なのですが、多くの初心者投資家は夢を見てしまいます。
ハイテク系が多くを占める正気とは思えないポートフォリオ
それでは話をグローバルフィンテック株式ファンドに戻します。2023年11月末時点での構成順位は以下となります。
銘柄の順位こそ変わっていますが、ほとんど同じ銘柄に1年以上長期投資していることが分かります。
2023年11月 | 2023年7月 | 2023年4月 | 2022年12月 | 2022年8月 | |
1 | COINBASE | BLOCK | SHOPIFY | BLOCK | Shopify |
2 | BLOCK | COINBASE | BLOCK | SHOPIFY | BLOCK |
3 | ROBINHOOD | SHOPIFY | COINBASE | ADYEN | ADYEN |
4 | UIPATH | ADYEN | ADYEN | MERCADOLIBRE | COINBASE |
5 | SHOPIFY | UIPATH | MERCADOLIBRE | UIPATH | TWILIO |
6 | TWILIO | ROBINHOOD | UIPATH | COINBASE | MERCADOLIBRE |
7 | MERCADORIBRE | TWILIO | ROBINHOOD | ROBINHOOD | UIPATH |
8 | DRAFTKINGS | DRAFTKINGS | DRAFTKINGS | TWILIO | ROBINHOOD |
9 | ADYEN | MERCADOLIBRE | TWILIO | DISCOVERY | DISCOVERY |
10 | JSC KASPI | DISCOVERY | DISCOVERY | TOAST | DRAFTKINGS |
1位は想像通り仮想通貨取引所のCOINBASEがポートフォリオの上位となっていますね。2位のBLOCKは仮想通貨決済サービスです。
このポートフォリオですと、2022年初頭から大暴落している銘柄ばかりです。
<Block/スクエア>
<COIN/コインベース>
グローバルフィンテック株式ファンドの実際の運用成績とは?
実際の成績を見ていきましょう。基準価額は2020年に大きく跳ね上がり、今となってはほぼ全て吐き出してしまった形です。
金融引き締めがこれから本番のタイミングですから、まだまだ吐き出し足りないくらいだと思います。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 25.53% | 20.70% | -6.22% | ||
2022年 | -21.78% | -37.98% | -0.42% | -11.31% | -57.15% |
2021年 | 4.27% | 11.25% | -10.31% | -15.74% | -12.33% |
2020年 | -15.34% | 48.92% | 21.90% | 18.85% | 82.66% |
2019年 | 21.10% | 2.15% | -4.34% | 15.75% | 36.98% |
2018年 | -0.84% | 7.10% | 10.35% | -22.28% | -8.92% |
参照元:wealth advisor
2020年3月のコロナショックから、リモートワーク銘柄を中心にフィンテック企業の株価も大きく上昇しました。
しかし、現在は全戻しとなっています。ARKKと殆ど似た動きとなっています。
ブームではなく堅実に資産を積み上げる選択肢とは?
今回のようにブームの波にのっている間は高いリターンをだすものの、一度転落すると大きく下落する投資はおすすめできません。
大きく資産を失う可能性があるからです。
資産を着実に安定的に積み上げていくには市場環境に依拠せずに安定したリターンを叩き出す資産に投資するのが合理的です。
実際に筆者が投資しているのはヘッジファンドという選択肢です。
ヘッジファンドは以下の通り、市場の影響を極力抑えながら安定したリターンをだしインデックスより高いリターンを出してくれています。
S&P500指数などが50%下落する局面もうまく下落を抑制しながら安定して資産形成を行うことができるのです。
以下で筆者が投資しているファンドを含めて魅力的なヘッジファンドをランキング形式で纏めていますのでご覧いただければと思います。
掲示板での口コミや評判とは?
掲示板での口コミや評判は以下となります。
基本的に成績が悪すぎて盛り上がっていないのですが書き込まれているものについては怨嗟に近いものを感じるものばかりとなっています。
相場が反発している時でもARKKが沈んでいるのでグローバルフィンテック株式ファンドも沈み続けており投資家は嫌気がさしているという感じです。
Yahoo finance
いやもうね、、、地合いっていうなら手数料下げろよ。いや遠吠えにしかならないか
Yahoo finance
死屍累々
Yahoo finance
ひ、ひどい
株価暴落の理由と今後の見通しとは?今は買い時なのか?
ではなぜグローバルフィンテック株式ファンドの株価は暴落しているのか?
今後の見通しはどうなのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
暴騰と暴落の理由は長期金利にあり!
グローバルフィンテック株式ファンドが投資を行っているのはハイテク系のグロース企業です。
グロース企業は将来の利益の価値に重きをおいて株価が決定づけられます。
そして、将来の利益の現在時点の価値は金利水準に大きく影響を受けます。
金利が低くなると将来の利益の現在の価値は高くなります。一方、金利が高くなると将来の利益の現在の価値は低くなります。
2020年のパンデミックで経済を支えるために大規模な金融緩和で金利はさがり、その後のインフレを抑え込むために金利は急上昇しています。
2023年12月時点では若干落ち着いていますが依然として高値圏です。
金利が急低下している時にARKKもグローバルフィンテック株式ファンドも株価が上昇しています。
しかし、金利が急上昇している局面で株価は暴落しています。
つまり、金利の急騰がグローバルフィンテック株式ファンドの株価暴落の要因となっています。
2023年後半以降の今後の見通しとは?
今後の見通しもしばらく期待できません。
理由は金利がしばらく下落する見込みがないからです。米国のインフレは10月になっても止まるところを知りません。
家賃や賃金などの影響で粘着しており1970年代と同様の水準になります。
インフレが沈静化するまでは米国の中央銀行であるFRBは金利を下げることができません。
2023年11月現在、インフレ率は3%台まで下落していますが未だにFRBが目標とする2%には距離があります。
そのため金利が現在の水準で高止まりすることが見込まれています。
また時給平均も上昇し続け、一番厄介なサービスインフレが下がってきません。まだまだ予断を許さない状況で、一歩間違えると金利はまだまだ上昇します。
つまりしばらくの間、グローバルフィンテック株式ファンドも厳しい展開が続くことになります。
更にインフレが収まってきたとしても今度は景気後退による企業収益の減退が待ち受けています。
テック業界の利益見通しは特に厳しく1株あたり利益の減少による株価下落が駄目押しとして襲ってきます。
そして日本円建という点も重要なポイントです。ドル円は2023年11月に152円まで上昇しましたが直近145円まで急落しています。
しかし、今後の景気後退や日銀の金融政策転換を視野にいれると更に円高が進んでいくことが想定されます。
すると、円建でのリターンは更に悪化していくことが想定されます。
グローバルフィンテックのようなテーマ型のファンドはブームが過ぎれば暴落していくのが世の定めです。
市場環境によらず安定したリターンを継続することが重要となります。現在は買い時ではありません。
以下で筆者が投資しているファンドを含めて長期的に安定的に資産を形成できるファンドについてお伝えしていますのでご覧ください。
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