米国株式ブームがまだまだ続いています。
2022年の大幅な米国株式市場の下落を見ても、日本国民のS&P500インデックスへの信仰に変化はありません。
しかし、いつの時代も「大衆が動く方向」は毎回誤っています。
これまで米国のIT企業は20年間も成長ドライバーとして株式市場を牽引してきましたが、それはいつか終わりが来るものです。
そして、いつの時代も、終わりが来た途端に、終わりが来た市場へ投資をする投資信託がたくさん生まれます。
今回のティー・ロウ・プライス米国成長株式(&割安優良株式)は昔からある等身ではありますが、今後の見通しを占っていきたいと思います。
ティー・ロウ・プライス米国成長株式の概要
それでは概要から見ていきましょう。
米国の成長株に投資をするとのことで、2022年は厳しかったのではないでしょうか。そして、今後も厳しいのかもしれません。
運用は当然、ファンド母体であるティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社です。
- 単位型・追加型:追加型投信
- 投資対象地域:海外
- 投資対象資産 (収益の源泉):株式
- 投資対象資産:その他資産 (投資信託証券 (株式一般))
- 決算頻度:年1回
- 投資対象地域:北米
- 投資形態:ファミリー ファンド
- 為替ヘッジ:なし
運用方針とプロセス
原則時価総額80億米ドル以上に設定しており、超成長株などは狙わない方針であることがわかります。
成長株投資というと、5000万ドルなどの投資対象を狙うのが基本なので、ティー・ロウ・プライス米国成長株式はかなり保守的であることがわかります。
80億ドル以上ですと成長株とは言えないような気がしますが、たしかに成長株はリスクが高いのでこれくらいにしておくかという感じなのかもしれません。お決まりのGAFAMがポートフォリオに入っていそうで怖いです。全然ユニークではありません。
当ファンドの運用は、ティー・ロウ・プライスの「米国成長株式運用チーム」が担当します。
主として米国の株式の中で、成長性が 高いと判断される企業を中心に投資を行います。なお、米国以外の企業にも投資する場合があります。
組入銘柄
想像していた通りのポートフォリオであり、今後の見通し的に良いイメージが全く湧かないポートフォリオでした。
時価総額80億米ドル以上の会社で成長性のある銘柄と書かれていましたが、アップルの時価総額は2.4兆ドルです。
マイクロソフトの時価総額は1.85兆ドルです。成長性がどこにあるのでしょうか。
順位 | 銘柄名 | セクター | 国 | 比率 |
1 | アップル | 情報技術 | 米国 | 8.80% |
2 | マイクロソフト | 情報技術 | 米国 | 8.70% |
3 | アルファベット (注1) | コミュニケーション サービス | 米国 | 8.40% |
4 | アマゾン・ドット・コム | 一般消費財・サービス | 米国 | 7.80% |
5 | ユナイテッドヘルス・グループ | ヘルスケア | 米国 | 4.50% |
6 | リビアン・オートモーティブ | 一般消費財・サービス | 米国 | 4.00% |
7 | テスラ | 一般消費財・サービス | 米国 | 3.20% |
8 | ビ ザ | 情報技術 | 米国 | 3.00% |
9 | インテュイット | 情報技術 | 米国 | 2.80% |
10 | マスターカード | 情報技術 | 米国 | 2.60% |
ポートフォリオの中で目を引いたのはリビアン・オートモーティブですが、これはAmazonの傘下です。時価総額は既に273億ドルです。
基本的にナスダックで投資をしているようなものなので、手数料なども鑑みてナスダックのインデックスを買ったほうが良いのではないでしょうか?
そして、上位銘柄は2022年は全て暴落しています。ナスダックと同じ動きをしています。為替ヘッジはありませんので、円安でその大幅下落を相殺しているものと簡単に想像できます。
なおさらティー・ロウ・プライス米国成長株式を買う意義が全く見当たりません。
手数料(買付手数料/信託報酬)
購入時手数料はに3.3%(税抜3.0%)を上限、運用管理費用 (信託報酬)は年1.463%(税抜1.33%)となっています。
ナスダックインデックスのような投信なのにアクティブ投信として手数料が徴収されます。高いですね。それでも売れるんでしょうね。
ここからはティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドを見ていきます。
こちらは流石にインデックスと同じようなポートフォリオにはなっていないはずです。
ティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンド
こちらは成長株ではなく割安株で投資をするということで、バリューファンドという位置付けです。
- 単位型・追加型:追加型投信
- 投資対象地域:海外
- 投資対象資産 (収益の源泉):株式
- 投資対象資産:その他資産 (投資信託証券 (株式一般))
- 決算頻度:年1回(C/Dコースは年12回(毎月))
- 投資対象地域:北米
- 投資形態:ファミリー ファンド
- 為替ヘッジ:なし(A/Cコースはフルヘッジ)
運用方針とプロセス
米国の株式の中で、企業の本質的価値に 比較して過小評価されていると判断される株式を中心に投資を行うとあります。
銘柄選択はボトムアップアプローチを採用。成長株式ファンドでは時価総額80億ドルでしたが、こちらでは90億ドルとなっています。
組入銘柄
流石にバリューファンドですので、インデックスと同じにはなりませんでした。ホッとしました。
バリューファンドは下落耐性の強さが試されますので、以下のヘルスケア中心の不況を織り込む形でのポートフォリオが機能しているのかどうか気になるところですね。
順位 | 銘柄名 | セクター | 国 | 比率 |
1 | エレバンスヘルス | ヘルスケア | 米国 | 4.85% |
2 | ベクトン・ディッキンソン | ヘルスケア | 米国 | 4.14% |
3 | バンク・オブ・アメリカ | ⾦融 | 米国 | 3.71% |
4 | エクソンモービル | エネルギー | 米国 | 3.60% |
5 | ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | ヘルスケア | 米国 | 3.53% |
6 | サザン | 公益事業 | 米国 | 3.06% |
7 | ウェルズ・ファーゴ | ⾦融 | 米国 | 3.02% |
8 | チャブ | ⾦融 | 米国 | 2.98% |
9 | フィリップ・モリス・インターナショナル | ⽣活必需品 | 米国 | 2.83% |
10 | アッヴィ | ヘルスケア | 米国 | 2.28% |
手数料(買付手数料/信託報酬)
購入時手数料はに3.3%(税抜3.0%)を上限、運用管理費用 (信託報酬)は年1.4575%(税抜1.33%)となっています。
ティー・ロウ・プライス米国成長株式の購入時手数料は3.3%(税抜3.0%)を上限、運用管理費用 (信託報酬)は年1.463%(税抜1.33%)でした。
ほぼ一緒ですね。それでは最も重要な運用実績を見ていきましょう。
運用成績、利回りを基準価格チャートなどから
ティー・ロウ・プライス米国成長株式(アメリカン・ロイヤルロード)の実績
まさにロイヤルロードですね。基準価額は13,579円と3年間で30%上がっているように見えますが、全て為替かと思わせるような成績です。円安が+35%とか進んでいるので、2020年〜21年のコロナバブルで儲けたお金を吹き飛ばし、為替でなんとか利益が残ったといった感じです。
つまり、米国インデックス投信ですね。
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | 設定来 | |
トータルリターン | 6.21% | 0.88% | 1.31% | -17.08% | -- | -- | -- | 35.79% |
インデックスと同じような成績でした、で説明が終わりそうです。
ちなみに、インデックス投信と連動するのであれば(表現がもうおかしいのですが)、インデックスの未来を考える必要があります。
2022年時点、米国インデックスへの投資は大ブームです。大衆が考える正解とはいつも不正解です。
インデックスがここまで人気なのは、ITバブル崩壊、リーマンショックをも吸収した右肩上がりのS&P500指数の上昇でしょう。
20年間で平均利回り7%という実績があります。しかし、この20年間はFRBの異次元金融緩和、そしてIT企業のダイナミックな成長がありました。
Amazonの株価は上場来1,000倍を超えました。あり得ない成長であり、世界はITで変わったわけです。しかし今の生活では全員がインターネットを使っています。
頭打ちです。そして、大手IT企業のリストラは断続的に続いています。これは一時的ではなく、今後大手テック企業が世界を牽引していくのは難しいでしょう。
米Amazon.comは11月17日(現地時間)、「アンディ・ジャシーCEOからの職の削除に関するメモ」という全社向け書簡を公式ブログで公開した。ジャシーCEOはこのメモで、リストラは2023年にも続くと説明した。
AmazonのジャシーCEO、大規模リストラは2023年も続くと説明
イーロン・マスク氏が大改革を行っているTwitterでは従業員の半数がレイオフの対象になり、話題となりました。また、Facebookを運営するMetaでも数千人規模の大規模なレイオフが実施されます。そして、ビッグテックの一角であるGoogleでも社員の業績評価システムがより厳しくなったことで、1万人以上の従業員が削減される可能性があると報じられています。
FRBは緩和(利下げ)を続けてきました。緩和は株式価値を上昇させる起爆剤です。それを30年近く続けてきました。
企業は容易に資金調達し、成長を加速させてきました。主にIT企業が急成長してきました。
しかし、それは終焉しました。Youtubeの成長が前年同期比でマイナスです。明確にインターネットが経済成長を牽引する時代は終わりました。
次なる成長はどこかというと、アメリカではなく、新興国になってくるかと思います。歴史は繰り返す、ですね。ITバブル後も新興国株式は途方もない成長をしました。
総括すると、ティー・ロウ・プライス米国成長株式(アメリカン・ロイヤルロード)に投資する意味はそもそもインデックスとほぼ同じポートフォリオと成績です。
わざわざ高いアクティブ投信としてアメリカン・ロイヤルロードを購入する意味はありません。
また、インデックスを買うにも上記の要因により、おすすめできません。大衆はインデックスを好みますが、大衆が信じるものはいずれも不正解です。
ティー・ロウ・プライス米国割安優良株式の実績
ファンドの本当の実力がわかるのは「為替ヘッジあり」となりますので、そちらを見ていきます。(2022年は円安が35%程度動いてしまっていますからね)
基準価額は8,751円とマイナス運用となっています。やはり厳しいですね。
2021年9月に運用開始ですから、一番悪い時期に開始してしまった運の悪さもあると思います(金融引き締めは見えていたのだから運用開始しなくてもよかったのではないかとも思います)
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | 設定来 | |
トータルリターン | 8.14% | -2.46% | -6.76% | -13.66% | -- | -- | -- | -12.49% |
こちらは株式市場に対してプラスのリターンではあるため、まだマシですね。下落耐性はあると思いますが、なんとかプラスにして欲しいものです。派手なリターンがないわけですからね。
掲示板やSNSでの口コミ評判
(ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド)アメリカン・ロイヤルロード
やはりナスダック銘柄の多さへの不満がありました。
ナスダック銘柄ばかりなので下がるばかりですね。我慢して保有してますが、復活あるのかな? 銘柄見直し欲しいところです。
一番のお願いは、戦争が即時終わる事をウクライナに平和が訪れる日々を願い、ここの値上がりは我慢致しますよ🙏🙏😞
少しは、それなりの仕事をプライド持ってやってくれよな‼お前らプロだろう😠‼
こんなに、下がったの初めてだよ‼😱時の流れに身(値上下)を任せだよ🙏テレサ・テンの歌・詩だよね。
https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1160010543/eb68486b83b742dc6bfba7f25ab375e9
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株ファンド
下がりっぱなし。。。
米国株は上がってるので、その影響が少し。
一旦、下れば、大きく下がるのでは?いきなりつまずいてるがここは案外魅力的
ここ大丈夫かな?
も少しまってからが良さげ
https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1160010543/1f8e36ad504a278064e2eab9d9568190
今後の見通し
ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド、アメリカン・ロイヤルロードに関しては、ナスダックインデックスなので上記で説明した以上のことは言えません。
あまり期待できないですし、そもそも今はまだまだFRBが利上げしている最中なのですから、買いにいくという判断にはどう考えてもならないはずです。今買いたい、と思う人は明らかに投資の勉強が不足しています。
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株ファンドですが、こちらはS&P500に対して4%ほどアウトパフォームしているので、そこまで悪くないと思いました。さすがバリューファンドですね。
とはいえ金融引き締めには勝てず、そしてまだまだ引き締めは続いているのでしばらくは下落が続きそうですね。
バリューファンドを選ぶのであれば、より高いパフォーマンスを見込める先もありますので、もっと幅広くファンド探しをしてみましょう。
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