前回、ティー・ロウ・プライス米国成長株式ファンド並びにティー・ロウ・プライス米国割安優良株ファンドについてお伝えしてきました。
→ 【アメリカン・ロイヤルロード】ティー・ロウ・プライス米国成長株式(&割安優良)ファンド の評判は?
本日お伝えするのは同じくティー・ロウ・プライスが運用しているティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドです。
他にも当サイトでは世界の株式に分散投資しているファンドについて取り上げていますので興味のある方はご覧ください。
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資産運用会社「ティー・ロウ・プライス」の特徴とは?
ティー・ロウ・プライスは名前の通りトーマス・ロウ・プライスJrが1937人に立ち上げた米国の資産運用会社です。
トーマス・ロウ・プライスJrは成長株に長期投資をすることで名をあげて、成長株投資の祖と販売用資料では謳っています。
ただ、これはあくまでポジショントークです。
筆者も米国の成長株投資は個人としても実践していますがトーマス・ロウ・プライスJrの名前は初めて聞きました。
成長株で有名な人物といえば以下です。
- ジェシーリバモア
- バフェット(グロース株とバリュー株の中間)
- ウィリアムオニール
- マーク・ミネルビニ
筆者としてはグロース株の祖といえるのはジェシリバモアであると考えています。
理由は、その後大きな成果を残しているグロース株投資家はリバモアを師として仰いでいるからです。
また、成長株投資において長期投資は必ずしも正当化されません。
理由はグロース株はバブル的に急騰したあと、ブームがさると暴落していく傾向が強いからです。
直近、最もその傾向が顕著に現れたのは米国のハイパーグロース株に投資をしているARKKの値動きです。
2020年のバブル相場をへて基準価額は4倍以上になりましたが、2022年11月現在で2020年以前の水準に完全に押し戻されています。
グロース株は株価が伸びている間だけ保有していればいいのです。
グロース株で長期投資を前提にしている時点で筆者としては疑問を抱かざるを得ません。
ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドの特徴
では本題に入ろうと思います。
投資対象①:競争優位を背景に成長する企業
まずは投資対象となる銘柄ですが「持続成長型銘柄」と「循環成長型銘柄」を対象とするとしています。
持続成長銘柄 | イノベーションや革新的なビジネスもでるなどで創造的破壊を伴って成長する企業。GAFAM等。 |
循環成長型銘柄 | 価格競争力などを背景に経済サイクルを通じてシェアを拡大させ一層強固な収益基盤を実現する企業。 |
値動きのイメージは左が持続成長銘柄であり、右側が循環成長銘柄となります。
投資対象②:ターンアラウンドが見込める企業
また、他には業績が落ち込んで株価が大きく下落している企業が事業再生や経営改革を契機に収益が急回復した企業に投資することもあるとしています。
昔のパナソニックのようなイメージをしていただければわかりやすいですよね。
株価の成長イメージは以下となります。
運用プロセス(ポートフォリオ構築のプロセス)
運用プロセスは以下の通り先進国から新興国の中型株から大型株4000銘柄の中から選択していきます。
ファンダメンタル分析にそって600銘柄から700銘柄に絞り、さらに長期的なリターンが期待できる銘柄を選定していきます。
構成上位銘柄
構成上位10銘柄は以下の通りとなります。
銘柄 | セクター | 国 | 構成比 |
チャールズ・シュワブ | 金融 | 米国 | 4.78% |
第一三共 | ヘルスケア | 日本 | 4.26% |
ユナイテッド・ヘルス | ヘルスケア | 米国 | 3.74% |
アップル | 情報技術 | 米国 | 3.72% |
エアバス | 資本財・サービス | フランス | 3.67% |
Tモバイル | コミュニケーション | 米国 | 3.45% |
アマゾンドットコム | 一般消費財・サービス | 米国 | 3.33% |
マスターカード | 情報技術 | 米国 | 3.29% |
ロンドン証券取引所グループ | 金融 | 英国 | 3.24% |
マイクロソフト | 情報技術 | 米国 | 3.23% |
日本からは第一三共がランクインしていますね。
他はアップルやアマゾンやマイクロソフトといった大型銘柄が中心となっています。
国別では上位5カ国は以下となっています。
米国 | 58.51% |
英国 | 7.10% |
日本 | 6.05% |
フランス | 3.67% |
イタリア | 3.46% |
「Aコース」「Bコース」「Cコース」「Dコース」
ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドは4つのコースが存在しています。
Aコース | 為替ヘッジを行い決算頻度は年2回 |
Bコース | 為替ヘッジは行なわず決算頻度は年2回 |
Cコース | 為替ヘッジを行い決算頻度は年4回 |
Dコース | 為替ヘッジは行なわず決算頻度は年4回 |
為替ヘッジを行わない場合はドル円が上昇した場合は基準価額が上昇し、ドル円が下落した場合は基準価額が下落します。
また決算頻度は少ない方が複利を毀損することなく長期的には資産を増加させることができます。
2022年はドル円が115円から150円まで急騰したことを受けて為替ヘッジを行わない方が高いリターンとなっています。
しかし、これからは米国の景気後退を織り込んでドル円は下落していくことが見込まれます。
そのため、これからは為替ヘッジありで決算頻度が少ないAコースをおすすめしたいと思います。
手数料
手数料は以下となります。
購入手数料:3.3%
信託手数料:年率1.683%
ティー・ロウ・プライス世界厳選成長株式ファンドの運用実績
では肝心の運用実績は以下となります。先ほどの議論の通りAコースの前提で話をすすめていきます。
ファンド名 | ティー・ロウ・プライス 世界厳選成長株式A(資産・H有) |
ティー・ロウ・プライス 世界厳選成長株式B(資産・H無) |
---|---|---|
トータルリターン1年 | -31.42% | -12.03% |
トータルリターン3年(年率) | 6.63% | 18.12% |
シャープレシオ1年 | -1.53 | -0.63 |
シャープレシオ3年 | 0.32 | 0.93 |
標準偏差1年 | 20.60 | 19.05 |
標準偏差3年 | 20.85 | 19.41 |
為替ヘッジがなかったBコースはドル円上昇のおかげで傷は浅く抑えられていますね。
ちなみにBコースと円建の全世界株式を比較したものが以下となります。
一時は成長株が強いターンが2020年に発生したため大きくアウトパフォームしていましたが、現在では結局同程度のリターンとなっています。
直近1年では大きく劣後しています。
掲示板での口コミや評判
直近の厳しい結果を受けて、辛そうなコメントで掲示板はあふれています。
口コミ①
積み立て途中でやめましたが、積み立てた分はプールしてあります。ここに限らずマイナスが酷いので。安いときに買って、高くなったら売るのが鉄則ですが、どうも安くなってくると不安で売りたくなります。性格が投資に向きませんね。
口コミ②
年初ぐらいから●村證券の営業さんに勧められて始めたティープラ
一度もプラスになりません…
今後の見通し
今後の見通しは構成比率の多くを占める米国と欧州の株式市場の先行きが重要となってきます。
現在、欧米を中心として50年ぶりのインフレが発生しています。
このインフレを退治するたびに各中央銀行はインフレを抑え込むために金利を引き上げて対応しています。
インフレを抑え込むために金利を引き上げた結果、経済は停滞して2023年には世界的な景気後退が訪れます。
結果として企業収益は減退して株価も大きく下落していきます。
このように普通の株式市場では相場環境によって大きくリターンがブレるという難点があります。
以下では、いかなる環境であっても安定したリターン獲得が狙えるファンドについて纏めていますのでご覧いただければと思います。