世界には様々なファンドが存在しています。
特に金融先進国として名を轟かせている英国や米国に多いですね。
以前、取り上げたダブルブレインもロンドンのヘッジファンドであるマネージャーズが運用を担当する投資信託でした。
→ 安全性が高いと評判の投資信託「ダブルブレイン」を徹底評価!ブル型(=ダブブル)やマイルド型との違いを含めて紐解く。販売停止の理由とは?
本日、取り上げるのもロンドンのヘッジファンドであるファンドスミス社が運用を担当するファンドスミスグローバルエクイティファンドという投資信託です。
本日はファンドスミスグローバルエクイティファンドがどのような投資信託なのか?
運用実績はどうなのか?
今後の見通しはあかるいのか?
という点を中心にお伝えしていきたいと思います。
筆者もヘッジファンドをポートフォリオの中心に添えているのですが、魅力的なものについては以下で纏めていますので参考にしてみてください。
【2022年以降】管理人が考える日本のおすすめヘッジファンドランキング!(投資信託・ETFを含む)個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
ファンドスミスグローバルエクイティファンドの特徴とは?
では、ファンドスミスグローバルエクイティファンドの特徴についてみていきたいと思います。
投資対象は世界の株式
ファンドスミスグローバルエクイティファンドの投資対象は長期的に値上がりが見込める世界の株式です。
哲学としては、優良企業を割安な水準で購入するという至極真っ当なものとなっています。
優良株式として以下を定義しています。
優良企業に定義
・投下資本に対する高いリターンを維持できると考えられる優良企業
・他社による模倣が困難な事業を展開していると考えられる企業
・収益獲得のために大きな借入を必要としていないと考えられる企業
・収益性の高い事業への再投資により成長が期待できる企業
・技術革新などの環境変化に耐性があると判断される企業
そのほかにも、成長が見込みにくかったり、景気敏感セクターをさけて、時価総額3000億円以下の小型企業はさけるという方針をとっています。
組み入れ銘柄は20-30銘柄とファンドとしては比較的に少ない銘柄選定となっています。
運用を担当するのはファンドスミス社(Fundsmith)
運用を担当するのはFundsmith社となっています。
Fundsmithはロンドンに拠点を置く投資運用会社で、2010年にTerry Smithによって設立される比較的若い運用会社です。
スミスは、米国の投資家と同様の戦略で優れた投資リターンを達成し、「英国のウォーレン・バフェット」と呼ばれています。
スミスは、1984年から89年までロンドンのバークレイズ銀行でNo.1の評価を受けた銀行アナリストでした。
Fundsmithは、長期的なバイ・アンド・ホールドの投資哲学を採用しています。
同社のファンドは競争上の優位性、魅力的なバリュエーションに基づいて選択された長年にわたって価値を増大させる引用ビジネスの集中ポートフォリオを所有することを目的としています。
個々の銘柄は、社内の厳密なボトムアップ分析によって選択されます。
Fundsmithは、消費財や医療消耗品など、日常的に繰り返される多くのイベントや取引によって駆動されるセクターで、資本に対して高いリターンを生み出す企業を選択します。
また、新興テクノロジー企業は、その固有の予測不可能性から避け、航空会社や不動産など、大きく循環する産業の企業も避けています。
構成上位銘柄
以下は2022年9末時点の構成上位銘柄です。
銘柄名 | 業種 | 比率 |
マイクロソフト | 情報技術 | 9.30% |
アマゾン | 一般消費財 | 8.90% |
アップル | 情報技術 | 5.70% |
アルファベット(GOOG) | コミュニケーション | 5.00% |
アクセンチュア | 情報技術 | 3.50% |
アメリカン・タワー | 不動産 | 3.40% |
パロアルトネットワークス | 情報技術 | 3.30% |
KLAコーポレーション | 情報技術 | 3.20% |
エクイニクス | 不動産 | 2.90% |
シスコシステムズ | 情報技術 | 2.80% |
ちなみに以下は2022年6末時点の構成上位銘柄です。
銘柄 | 国・地域 | 業種 | 事業概要 |
マイクロソフト | 米国 | 情報技術 | 圧倒的なソフトウェアでの地位を持ち、企業向けクラウドサービスのアズールでも成長 |
ノボ・ノルディスク | デンマーク | ヘルスケア | インシュリン等の糖尿病治療薬で世界トップクラスの製薬会社 |
フィリッピモリス | 米国 | 生活必需品 | 世界的なたばこ企業 |
ロレアル | フランス | 生活必需品 | 世界的大手の化粧品メーカー |
エスティローダー | 米国 | 生活必需品 | 世界的大手の化粧品メーカー |
アイデックスラボラトリー | 米国 | ヘルスケア | ペット向けの診療危機メーカーの大手 |
ペプシコ | 米国 | 生活必需品 | 言わずと知れたコーラのメーカー |
マコーミック | 米国 | 生活必需品 | スパイス、調味料で世界最大手 |
ストライカー | 米国 | ヘルスケア | 人工関節などを手掛ける医療機器メーカー |
オートマチック・データ | 米国 | 情報技術 | クラウドベースの人事管理業務システムなどを企業向けに提供するインターネットソリューション企業 |
全部で28銘柄なので1銘柄あたりの比率は大きくなります。
タバコや化粧品などの生活必需品セクターが多いといった感じですね。先ほどお伝えした投資哲学と合致していますね。
以下は業種別構成比率と国別構成比率です。
また、米国の株式が73.6%と一見すると多く見えますが、全世界の株式にしめる比率も米国が60%なので特段大きな比率というわけではありません。
購入手数料と信託手数料
手数料水準は以下となります。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.8335%
結構、高い手数料水準ではありますね。ただ、リターンが高ければ問題ではないです。
ファンド・スミス・グローバル・エクイティ・ファンドの運用実績(=チャート)
以下はファンド・スミス・グローバル・エクイティ・ファンドの基準価額の推移です。
運用開始してから半年以上たっていますが下落幅は10%程度となっています。
ファンド・スミス・グローバル・エクイティ・ファンドはインデックス投資に対してプラスのリターンを狙うアクティブファンドです。
→ アクティブ型とパッシブ型(=インデックス型)の投資信託の違いとは?どちらのファンドがおすすめか徹底比較。現実を知っていれば大損地獄も回避可能
ファンド・スミス・グローバル・エクイティ・ファンドは全世界の株式を投資対象にしているので全世界の株式インデックスと比較したものが以下の図となります。
青:ファンド・スミス・グローバル・エクイティ・ファンド
赤:全世界株式インデックス
全世界の平均点に負けているという残念な結果となってしまっています。
アクティブファンドとしては情けない結果と言わざるを得ませんね。
口コミと評判(掲示板より)
まだ設立してから期間が経っていないということもあり、口コミは少なくなっていますがTwitterでは以下の口コミとなっています。
あまりポジティブなものはありませんでした。
『ファンドスミス社は2010年ロンドンで設立』 1度の上昇相場しか経験していない。 どんなデューデリをしたらこのファンドが採用されるのか教えてほしい。
ファンドスミス、年始からのハイテク株下落でこっぴどく負ける Terry Smith suffers big losses in 2022 tech sell-off via
重要な今後の見通しとは?
重要なのは今後の見通しです。
以下は月次報告書で記載されている見通しです。
経済の正常化が進む中、インフレ率の高進が各国の中央銀行の金融引き締め姿勢につながっており、今後も経済情勢や中央銀行の政策動向を巡り、グ ローバル株式市場は変動の大きな展開が続くと予想されます。また、ロシアによるウクライナ侵攻とそれによる資源価格への影響が、市場の不透明感を高め ています。このような市場環境においても、運用チームでは、優良企業を、比較的割安な水準で購入し、長期保有するという哲学を維持し、それが長期的なパ フォーマンスに寄与するという考えを堅持しています。当ファンドにおける優良企業とは、他社には模倣の難しい強みを有し、経済情勢に関わらず、高い投下 資本利益率を長期に亘って維持できる企業です。このような企業を、徹底した銘柄調査によって選別し、集中投資を行っていく方針です。こうした個別銘柄選 択の結果として、生活必需品、ヘルスケア、情報技術セクターの銘柄などを多く保有する一方、金融、素材、エネルギー、不動産、公益事業セクターの銘柄な どを非保有とするポートフォリオを維持しています。
上記に書かれている通り、現在インフレが世界的に発生しており金融政策として各中央銀行は引き締めを実行しています。
金融引き締めはハイテクセクターに特に大きな重しとなりますが、ファンド・スミス・グローバル・エクイティ・ファンドは生活必需品の比率が多いので影響は軽減されるかと思います。
他のハイテク企業に集中投資をする投信にくらべると安定した推移が期待できますが、まだ基準価額が上昇に転じるには時間がかかりそうです。
筆者がおすすめしたいのは、どのような環境でもリターンをだせるファンドです。
以下では、どのような環境でも安定したリターンをだせるファンドを中心にお伝えしていますのでご覧いただければと思います。
【2022年以降】管理人が考える日本のおすすめヘッジファンドランキング!(投資信託・ETFを含む)個人投資家が投資失敗で大損しないための、富裕層が実践する哲学を理解しよう。
まとめ
今後のポイントを纏めると以下となります。
ポイント
- 運用を担当しているファンドスミスは比較的新しいファンド
- 生活必需品セクターやヘルスケアセクターが多く組み入れられており安定性はある
- しかし運用開始以降の成績は全世界株式に負けておりアクティブファンドとしては残念な結果に